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思い出す
詩のような作品です。
長い髪を撫でる
その指先を
確かに覚えているから
わたし
きっとこれから先も
何度も
何度も
あの頃のことを思い出す
わたし
きっとこれから先も
何回も
何回も
あの時のこと思い出す
それもまた確かなこと
艷やかな唇に
口づけを落とすことは
きっとない
過ぎ去った悲しみは
梅雨の夕暮れのように
淡い日射しを
胸の奥に落として
過ぎ去った幸せを
梅雨の夕暮れのように
葉の上に雫
空の雲は流れた
会えないね
もう二度と
さよならは
突然に訪れるもの
悲しいね
きっとね
それでも
さよならはやって来る
だからさ……
長い髪を撫でる
その指先を
確かに覚えているから
わたし
きっとこれから先も
何度も
何度も
あの頃のことを思い出す
あの時間は
いつまでも宝物
だからこそ
この胸に
希望の光を灯してゆく




