ある夏の日、婚約者である眼球が大きな彼が呼び出してきたので指定された場所へ行ったのですが、そこで告げられたのは……。
ある夏の日、婚約者である眼球が大きな男性ディットレットが呼び出してきたので指定された場所へ行ったのだが、するといきなり心ない言葉を多数投げつけられてしまった。
彼は私を批判した。
半分ほどは妄想で残りの半分くらいは事実を捻じ曲げて解釈したようなことでの批判であった。
つまり悪意しかない批判。
……いや、それはもう、批判と言えるようなものではない。
悪口だ。
ただひたすらに悪意の塊を吐き出しているだけである。
そしてその心ない言葉たちの果てに――告げられたのは婚約破棄。
「じゃあな、さよなら」
それが彼が最後に私に向けた言葉であった。
……馬鹿げている。
こんなことをするなんて。人のことを好き放題言うなんて。しかも傷つけるような言葉を敢えて選んで。そんな悪事は許せない。そういう悪事の罪は婚約破棄したところで消えはしない。
なので私は行動することにした。
知り合いの暗殺者と花火名人と魔法使いにお金を支払ってディットレットとして打ち上げてもらうことにしたのだ。
まずは暗殺者にディットレットを捕まえてきてもらう。
続けて魔法使いに彼が火薬になるよう特殊な魔法をかけてもらう。
そして最後に花火名人にディットレットだったものを花火として打ち上げてもらうのだ。
そうすれば彼とはもう二度と会わなくて済む。
そして酷いことを言われたお返しもしっかりとできる。
――あの作戦は成功した。
ディットレットは勘の鋭い男ではなかったのですべてが順調に進み予定通り花火として打ち上げることに成功した。
彼は束の間の光となって夜空の果てへ散って消えた。
心ないことをしてきた彼が皆の目に映る美しい花となったのだから、罰としては優しい方だろう。
ディットレットだったもの。
打ち上がった花火。
それを見て私は思わず泣いてしまった――当たり前だが、彼がこの世を去って悲しかったからではない。
ああ、これで彼に罰を与えることができた……。
そう実感したから。
その散りざまを目にして達成感に包まれたのだ。
◆終わり◆




