婚約破棄宣言ができたからと浮かれて走っていた彼はこの世を去ることとなりました。~私は私の幸せを大切にして生きてゆきます~
「君はパッとしない。だから俺は君ではなくもっと魅力的な女性を選ぶ。君とはここまでだ。婚約は破棄とする! ……分かったな。じゃ、そういうことで。さようなら」
ある日の昼下がり。婚約者である彼アンドロスが突然現れたので珍しいなと思っていた。すると彼はそんなことを言ってきた。見下すような冷たいを目をして、彼は、私との関係を壊すことを選んだという意味合いの言葉を迷いなく発したのだ。
私には言葉を返す権利はなかった。
というのも私が言葉を発するより早く彼は「じゃあな! ばいばい!」と言って走り去っていったのだ。
……だが、彼は、浮かれて走ってしまったがためにこの世をさることとなった。
帰り道、言いたいことを言えたことが嬉しくてはしゃぎ気味だったアンドロスは、左右を見ずに走っていたため馬車と激突。
そうして彼はこの世を去った。
あまりにも呆気ない最期であった。
婚約破棄され、婚約者だった人が亡くなり、と……私の人生はいろんな意味で慌ただしくなってしまったけれど、それもその時だけ。
それから少しして良い出会いがあって。
おかげで私はとても魅力的な気の合う男性と結婚することができた。
◆終わり◆




