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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 5 (2025.1~)   作者: 四季


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結婚式前夜、婚約者に珍しく呼び出されたと思ったら……?

 結婚式前夜。

 婚約者である彼レーカーに珍しく呼び出され会いに行ったのだが。


「君との婚約は破棄とする」


 そこで告げられたのは、そんな、あり得ない言葉だった。


「え……」

「妥協して結婚するのは嫌だ、と、段々思ってきたのでな。やめるならもう今日しかない。なので今日告げることにしたのだ」

「ま、待ってください! それはさすがに無理があります! だってもう明日が結婚式ですよ」

「聞いていなかったのか? だから、だろうが。明日結婚式、それが終わればもうやはりやめたいとは言えない。だから今告げているのだ」


 常識的に考えて、もう遅いだろう。

 ここまで進んできてから関係を終わらせたいと言うなんて。


「間に合っていませんよ」

「黙れ!」


 とはいえ、常識で考えて理解できるような話ではないのだろうということは理解できている。


「……そのようなことを仰るなんて、幻滅しました」

「はあ?」

「乱暴な大声で相手を威圧する殿方は私は嫌いです」

「くだらないな。君のような女の言葉など、聞く価値がない。ゆえに、どうでもいい」


 何を言っても無駄。

 説得することも不可能。


 そういうことなのだろう、きっと。


「決定は決定だ。ではな。永遠にさようなら」


 こうして私たちの関係は終わった。



 ◆



 あれから数ヶ月が経った。


 先日レーカーに関する話を聞いた。


 彼はあの後私ではない別の女性と婚約したそうなのだが、婚約した途端浮気し、女性を怒らせてしまったそう。


 で、怒った女性に魔法をかけられて。


 レーカーはお皿となってしまったそうだ。


 そして意図的に地面へ投げ捨てられて。

 お皿は粉々に砕け散った。

 それが彼の最期となったようである。



 ◆



 あの婚約破棄から二年半。

 明日私はついに結婚する。

 レーカーとはこの日を迎えられなかったけれど、今はそれで良かったと心の底から思えている。


 ……だって、もしレーカーと上手くいっていたとしたら、今の彼には出会えなかった。


 それを考えると。

 あの時、たとえ理不尽な形であったとしても、切り捨てられていて良かったと心から思えるのだ。



◆終わり◆

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