教会でいたずら……って、それは駄目でしょう!? 〜婚約破棄後に大成功〜
春が来た。
なんてことのない穏やかな春が。
「君との婚約だが、破棄とすることとしたよ」
平穏そのものだった晴れた日、婚約者である彼ランドルフが珍しい私の家に現れたと思ったら、婚約破棄を告げてきた。
「え……」
「婚約破棄すると決めたんだ」
ランドルフはさらりと言ってくる。
……それも、何の躊躇いもなさそうな顔で。
「理由は一つ。君といることに飽きたから。それだけだ」
「それが理由ですか?」
「ああ」
「そのような勝手な理由で婚約破棄できると本気で思っていらっしゃるのですか?」
「呆れた。そんな話はしていない。婚約破棄は決定事項だ。俺を飽きさせた君が悪い」
ランドルフは口もとにふっと笑みを浮かべる。
「君に何か言う権利はないよ」
穏やかな春に終わってゆく。
私たち二人の関係が。
◆
あれから三年。
私は今、成功者として、とても忙しい日々の中にある。
というのも、あの婚約破棄の後、軽い気持ちで生み出した反復横跳びダイエットが大ヒットしたのだ。
それによって私は一躍有名人に。
そして驚くほどの富を得ることとなった。
ちなみにランドルフはというと、教会でいたずらを繰り返して遊んでいたために天罰が下り、五回ほど雷に打たれ亡くなったそうだ。
◆終わり◆




