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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 5 (2025.1~)   作者: 四季


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婚約者に突然呼び出されたと思ったら……。~すべてを糧として、幸せな未来を掴みます~

 私の婚約者である青年リッティフォはスキップが好きだ。


 彼は大抵朝から晩まで家の庭をスキップで何周もしている。


 なので彼は近所の人たちからは変わり者と言われている。


 そんな彼は私のことをあまり良く思っていなくて、ある日突然私を自宅へ呼び出すと「君との婚約はさ、破棄とすることにしたから」と告げてきた。


「婚約破棄、ですか?」

「うん。決めたんだ。もう決めたからさ、これは絶対の決定だよ」

「また唐突ですね……」

「驚いているみたいだね。ま、そりゃそうか。でも何を言っても変わらないことっていうのはあるものなんだよ。君だって赤ちゃんじゃないんだから、そのくらいのことは分かるよね?」


 なんて勝手な人だろう……。


「ちなみに理由はシンプル。もっと素晴らしい女性と結婚したいって思ったからだよ。君もそこまで悪くはないけどさ、でも、妥協しての結婚は嫌だなって。だから、ばいばい」


 こうして私たちの関係は唐突に終わりを迎えたのだった。




 婚約破棄を告げられた日の晩、リッティフォが亡くなったと聞いた。


 言いたかったことを言うことができた彼は浮かれていたそうで、その日はいつも以上に激しく家の中でスキップし続けていたそうなのだが、途中で足を滑らせ転倒しその拍子し太い柱で頭を打ってしまい――その場で落命したそうだ。


 驚くほど呆気ない最期であった。


 あんなにも堂々と『もっと素晴らしい女性と結婚したい』なんて失礼なことを言ってきていたリッティフォだけれど、その彼には未来はなかったようだ。




 ――あれから数年。


 私は良き人と巡り会うことができ、結婚し、幸せを掴むことができた。


 あの時、リッティフォとの関係はあっさり終わってしまったけれど。それがあったからこそ幸福な現在があると思えるから、今は生きてきた道に対して後悔している部分は欠片ほどもない。過去に起こったこと、そのすべてが幸せな今へ続く道だったのだと理解できているから、ここへ至るまでに遭遇してきたすべての物事を前向きに捉えることができている。



◆終わり◆

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