運命に引き裂かれた二人。~変わるものと変わらないもの~
どうしてかしら。
私たち離れてしまったのは。
……あんなに、純粋に、愛し合っていたはずなのに。
互いを想っていたはずだったのに。
運命は残酷なもの。時に人と人を強制的に引き離す。どんなに強く想い合っている者同士のことであっても。目に見えないその力はいつも唐突に干渉して、関係を弄ぶ。
私は彼と共に生きてゆくものと思っていた。
彼もきっとそうだったと思う。
けれども私たちは離れてしまった……。
今はただ悲しい。
誰のせいでもないけれど。
だからこそなおさら胸が痛い。
もしも誰かのせいで関係が壊れたなら、まだ、その原因となった人を責めることで少しは心が晴れるかもしれない。けれども運命を責めることはできないから。嘆いてもどうしようもない。それゆえ生まれたもやもやは独り抱えることしかできなくて。胸に宿るこのどうにもならないものを投げ捨てる方法はなくて、ただ薄暗い闇でじっとしているしかない。
でもね、どうか、一言だけ告げさせて。
――私は貴方を愛していた。
きっともう二度と彼と会うことはない。
だから真の心を告げられる機会もない。
でも、それでも、決して変わることのない想いはこの胸に在り続ける。
人も世も時の流れと共に移り変わるものだけれど。そんな中でも変わらないものもあるもの。あまりにも呆気なく流れ去ってゆくものもあり、しかし、強固に築かれ永遠に散りはしないものもある。
◆終わり◆




