表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 5 (2025.1~)   作者: 四季


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

234/548

ある春の日、婚約者が女性を自室へ連れ込んでいました。~そんなことをする人とは共には生きてゆけません~

『ある春の日、婚約者が女性を自室へ連れ込んでいました。~そんなことをする人とは共には生きてゆけません~』


 婚約者ロバーズが浮気していたことが判明した。


 ある春の日。

 ふと思い立って彼に会いに行ったのだが、彼が見知らぬ女性といちゃついているところを見てしまったのだ。


「ね〜ぇ、もっとぉ、大胆でいいのにぃ」

「好きだからこそ照れるんだよぉ」

「んもぉ〜! かぁわぁい〜い〜! ロバーズったらぁ〜」

「魅力的な女性と触れ合うと照れるものなんだよ、男は」


 二人はロバーズの自室にこもり薄着になって腕と腕を絡め合っている。


「んふふぅ〜! すっきぃ〜! 好き好き好き好き大好きなのぉ、大好きなのよぉ、んもぉロバーズ大好きぃ〜! 好きよぉ〜、んもぉほんとぉ、すっきぃ〜! ちゅきちゅきちゅきぃ、だいちゅきなのぉ〜! うふふぅ、大好きなのぉ〜!」


 そんな姿を見せられては黙ってはいられない。

 躊躇いつつも勢いよく扉を開ける。

 ばぁん、と、豪快な大きな音がしたけれど、今はそんなことを気にしている余裕はない。


「ロバーズ! 何してるの!」


 思いきって突撃。


「ぇ……」


 まさかの展開に青ざめるロバーズ。


「な、なんで……どうしてお前が、こんなところに……」

「どうして? 婚約者だもの、訪問するくらい普通じゃない」

「ふざけるなよ!」

「それに、前に取り決めしたじゃない。お互いの家には自由に行けることねって」


 ロバーズの横にいる女性は「うそぉ。なーんかこれ、めんどくさぁい」と呟いていた。


「おっ……おかしい、だろっ! 勝手に入ってくるとか! お、おかっ、おか、おかっ……おか、お、かかっ……おかし、し、おかし、いだろっ! 不法侵入だろ! 不法侵入だっ! 不法侵入だろ、だろが、だろっ……なんて女だ! おかしいだろおかしいだろ、お、おかっ……おか、しいっ……お、おか、おっ……おかしい、だろ……おかしいおかしいおかしいだろぉっ!」


 自室に異性を連れ込み、薄着になっていちゃつき、好きと言い合う。

 自分の婚約者がそんなことをしているなんて耐えられない。


「私、貴方との婚約は破棄するから」


 生きることは我慢すること。

 そう言う者もいる。

 けれどもこちらも人間である以上我慢するにも限界がある。


「慰謝料は払ってもらうから。そこは覚悟しておいてちょうだいね」

「ええ!? ムリ! ムリムリムリムリムリ! そんなムチャな話は受け入れられない!」

「貴方には選択権はないわ」

「えええーっ」

「浮気したのはそちら。非があるのはそちらよ。だから……覚悟しておいて」


 その後正式に婚約は破棄とした。


 ロバーズからも。

 浮気相手の女性からも。


 慰謝料はしっかりともぎ取った。


 そして、それによって、私たちの関係は終わりを迎えた。


 もやもやすること。イライラすること。色々あるけれど、過去のものは過去のものとして流して歩んでいきたい。どんなことも、すぐには無理でも、いつかは過去にしてしまえば良いのだ。



 ◆



 あの後、ロバーズと女性の関係は呆気なく消滅したようだ。


 というのも慰謝料支払い関連で揉めたそうなのだ。

 しかも両家の親も巻き込む揉め事。

 そんなこともあり、二人の関係は、面白いくらいあっさりと終わりを迎えたようである。


 結局、二人とも、そこまで真剣には付き合っていなかったのだろう。


 ちなみに私はというと。

 婚約破棄事件の後に知り合った同じ年の青年と仲良くなっていて、少しずつ未来について考え始めているところだ。


 今はまだ芽生え始めたばかりの関係だけれど。

 大切に育ててゆきたい。



◆終わり◆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ