婚約破棄された瞬間助けの手を差し出してくれた彼と……。~常にハッピーエンドを目指します~
「お前はみっとない女だ! よって、婚約は破棄とする!」
私が婚約している男性ルルテット・アングーロオ・ティフォフォニックスはある晩餐会にて突然そんなことを宣言してきた。
参加者誰もが戸惑いを隠せていない。
だがそれも無理はないことだろう。
なんせあまりにも唐突に発生した出来事だから、誰も想像できなかったような展開だから。
「ルリス、お前は本当に品がない。みっともないの極み。そのような女と付き合っていく気は俺にはない」
彼は平然と私を侮辱するけれど。
「――では私が彼女をいただきましょう」
ちょうどそのタイミングで謎の男が現れて。
「な、何だ、お前は」
「隣国からたまたま来ていたしがない旅人ですよ」
「嘘つけ!」
「ふふ。ま、何とでも言っていただいて問題ありません。その程度のことは些細なことです」
この手を握ってくれる。
「一旦ここを出ましょう」
「あ……は、はい」
切り捨てられた瞬間は孤独だった。
でも手を握ってくれる人が現れて。
ほんの数十秒くらいのことではあるのだけれど、急に心強さが感じられて、一気に勇気が湧いてくる。
◆
あれから数年、私はあの時助けの手を差し出してくれた男性と結婚した。
彼は本当に隣国の人間だった。
その点には偽りはなく。
けれどもその位は想像していたものとも言っていたものとも違っていて、彼は実はかなり高貴な家の子息であった。
ただ、身分さはあれど感情は重なっていて、しかも確かなもので。
なので私たちは結婚するに至った。
一方ルルテットはというと、あの後歴史的犯罪者とも言われている正体不明の男『パンツ脱がしカメーン』に襲われてパンツを脱がされそこを知り合いにたまたま目撃されてしまいそれに関する負の噂を流されたために社会的に終わってしまったそうだ。
◆終わり◆




