婚約者である彼は私に関する嘘の悪口を言い広めていました。~罪は償ってもらいます~
婚約者ルドールは裏で私の悪口を言い広めていた。
しかも事実でないことを。
束縛してきて鬱陶しい、とか、いちいち細かいルールを押し付けてくる、とか――そんな欠片ほども事実を含んでいないことばかりを周囲にこぼして私の印象を悪くしようとしていた。
なので、慰謝料を請求することにした。
「はあ!? 何だそれ、ふざけるな! 俺が何をしたっていうんだ!!」
「名誉を傷つけましたよね」
「ふざけんな! お前絶対金欲しいだけだろ! 俺は悪いことなんてしていない!」
わざわざ自分でしかも大声で「悪いことなんてしていない」なんて言っている人の言葉など信用するに値しない。
「私についての嘘の悪口を言い広めましたよね」
「……は?」
「もうすべて知っています。貴方は私の悪い評判を広めようとした……それも、事実でないのに……ですからその罪を償っていただくつもりです」
彼とは付き合っていけない。
「……そ、そんなの、ただの冗談に決まってるだろ」
「そういう問題ではありません」
「はあ!? あんなくらいのネタ、本気にするなよ! 分かるだろ、冗談だって。簡単なことだろが!」
「受け入れられませんね」
「ふざけんな! 金目当て女!」
「……いえ、ふざけてはいません。私は本気です。本気で、貴方に腹を立てています」
その後色々な手続きを経て、第三者にも判断してもらい、ルドールに慰謝料請求ができることとなった。
もちろん婚約も破棄。
でも当然だろう。
彼は悪行によって私を傷つけたのだから。
名誉も。
心も。
すべてを傷つけた。
だから彼は償うべきだ。
「お、ま、え、なー……ふざけんなよおおおおおお! 慰謝料とか払うわけねえだろうがああああああ! んなくだらねえことしやがってえええええ……絶対許さねえからなああああ! クソ女がああああ! ふざけんなふざけんな俺は悪くないふざけんなよおおおおおおおおお!」
そうしてルドールは嘘つき男のレッテルを貼られながら生きてゆくこととなったのだった。
仕事はクビになり。
友人は離れていった。
◆終わり◆




