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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 5 (2025.1~)   作者: 四季


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真実の愛のためなら、険しい道でも歩めるものですね。~私が愛する人は彼女だけです~

 なんてことのない、平凡な夏の昼下がり。


「あんたには飽きた」


 婚約者から告げられたのは。


「だからおしまいにしよう。婚約は破棄とする。さよなら、永遠に」


 ――関係の解消だった。



 ◆



「で、強制的に婚約破棄されたってこと?」

「そうなの……」


 あの衝撃的な出来事から一週間。

 ようやく現実を現実と捉えることができるようになってきた。


 今日は同性の親友ミリアとお茶をしている。


 婚約破棄されたという話を聞いた時、ミリアは、とても驚くと同時にかなり心配してくれていた。


 というのも彼女は親友をとても大切にする女性なのだ。

 これまでも私に何かあるたびに色々気にかけてくれていた。


「でもさ、ま、良かったよ。もっと落ち込んでるかもって気になってたから」

「ミリア……ごめんね、心配かけて」

「いやいや! いーの! あたしが勝手に心配してただけだし」

「こんな風に傍にいてくれる人がいて私はとても幸せ。だから感謝しているの。ありがとうミリア、本当に」


 ふとした瞬間の頬を赤らめるミリアはとても可愛らしい。


「う……そんな風にお礼言われたらちょっと……照れるじゃん」


 日頃はさばさばしているのに時折乙女になる、そんなミリアが好き。


「ミリアってたまに赤くなるね」

「や、やめてって!」

「ごめんごめん」

「んもー! おもちゃにしないでよー」


 私が大切にしたいのはミリアだ。



 ◆



 あれから十二年。

 私とミリアはこの国で初めてとなる同性結婚を形にした。


 今は二人、共に、一つの屋根の下で暮らしている。


 同性で結婚なんて。そんな風に言う人もいたけれど。私たちは共に困難を乗り越えてきた。そして夫婦になった。いや、正しくは、掴み取ったのだ。夫婦という形を。


 女性同士であっても良きパートナーにはなれるのだ、と、私たちはこれまで多くの人に伝えてきた。


 そして、今まさに、それを現実のものとしてこの世界に見せている。


「そういえばさ。元婚約者いるじゃん」

「ええ」

「あの人亡くなったらしいよ」

「そうなの?」

「何か事故だって」

「へえ……知らなかった。教えてくれてありがとうミリア」



◆終わり◆

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