朝が好きな私ですが、その日の朝は到底喜べないようなことが起こってしまいました……が! それでも幸せになることは諦めません!
私は朝が好きだ。
なぜなら爽やかな気分になれるから。
――だがその朝は真逆のことが起きた。
「アリサ、君との婚約は破棄とすることにしたよ」
朝起きてすぐに婚約者である青年バロートが訪ねてきて、珍しいことなので何かと思っていたら、いきなりそんな宣言をされてしまった。
「え……それは、一体、どういうことですか」
「どういうことも何もない。ただ君とはおしまいにしたいと思っただけだ」
「そんな曖昧な理由で婚約破棄なんて……」
「うるさいな! ごちゃごちゃ言うなよ! 僕はもう決めたんだ、大人しく受け入れてくれよ!」
バロートはまともに説明や話し合いをする気はないようで。
「終わりなものは終わりなんだ! もう終わってるんだよ全部! ……アリサ、僕たちはもう終わるんだ。だからさ、もう、話はここまでにしよう。これ以上話したって何の意味もない」
こうして無理矢理婚約破棄を受け入れさせられてしまったのだった。
爽やかな心地よい朝には程遠い。
残念さしかなくただひたすらに重苦しい。
そんな朝となってしまった。
◆
数年が経った。
時の流れとはあっという間だ。
バロートは私と別れた後、別の女性と婚約していたそうだ。
しかし婚約期間中に浮気をしてしまい。
その結果、女性とその両親に激怒され、かなり高額な慰謝料を払わされたうえ婚約破棄されてしまったそう。
また、その話を世に広く流されたため、バロートの社会的な評価は地に堕ちることとなったようだ。
一方私はというと、もうすぐ結婚式を迎える予定となっている。
私は迷わず進み続ける。
それこそが人生というものだから。
今までもそうしてきたし、これからもそうしていく――そのつもりだ。
◆終わり◆




