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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 5 (2025.1~)   作者: 四季


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このたび婚約破棄されまして。~前を向こうと決意しました~

 今日婚約破棄された。


 婚約者であるはずの彼は私の知らない女性といちゃいちゃしていて、それをたまたま通りかけた私が見てしまって、そのことに焦った彼は突如大声で婚約破棄を宣言した――そんな流れである。


 私は浮気現場を偶然通りかかっただけ。にもかかわらず彼は私が悪いかのような言葉を発する。怖い女だの、どうかしているだの、そんなことばかり言う。都合が悪いからこそなのだろうが。彼は常に自身の罪から逃げていたし、悪の立ち位置を私へなすりつけることに必死だった。


 だが私は前を向こうと決意した。


 なぜなら、あんな人のために落ち込むのは無意味だと思ったから。


 良き人生のため。

 幸福ある日々のため。


 必要なのは彼ではない。


 私が幸せになる未来は私の努力で作り出せる。


 過ぎた出来事を振り返ることで生まれるものはない。いや、多少はあるかもしれないが。しかしその行為は幸せな未来を生んでくれるものではないだろう。


 見つめるなら前を。


 不快な思いをしたことは過去というゴミ箱に捨てて。

 ただの記憶に変えてしまえばいい。



 ◆



 あれから一年半、私は、自らの力でオープンした喫茶店で働いている。


 そこそこ盛況だ。ここ一ヶ月くらいは特に。最初こそ数えられるほどのお客さんしかいなかったけれど、地道な努力を続けているうちに段々努力が実ってきたと感じる。


「いつも美味しいケーキありがとねぇ、孫が喜んでて」

「いえいえ」

「ほら、あんたもお礼、言いな?」


 日々の努力が少しずつ実ってくるというのはとても嬉しいことなのだと分かってきた。


「おねえちゃんありがとう! おいしいけぇき! だいすきだよ!」

「それは良かった。褒めてもらえて嬉しいわ。よかったらまた来てね」

「うん! いく! おいしいけぇきまたたべるね!」

「来店お待ちしています」


 私は私の道を行く。

 それで良いのだと今は胸を張ってそう思える。


 これからも喫茶店営業を続けようと考えている。


 なぜならそれが今の私がやりたいことであり、また、何よりもの幸せだから。


 ああそうだった、そういえば、だが。

 あの時私を切り捨てた例の彼はあの後複数人の女性と交際するも上手くいかずやがて心が折れてしまったそうで、現在は床に伏しているそうだ。


 彼に幸せな未来はなかった――そんなオチである。



◆終わり◆

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