寒い昼下がり、婚約者の彼から呼び出されました。そしてそこで告げられたのは……。
雪降る日、寒い昼下がり。
婚約者ダモスに呼び出されたので厚着をして彼の家へ向かったのだが。
「君との婚約だが、破棄とすることとするよ」
彼はいきなり告げてきた。
関係を終わらせる言葉を。
「え……」
「だから婚約破棄だって」
「ええっ」
「うるさいな! 婚約破棄だって言ってるだろ!」
ダモスは突然鋭く言い放ってくる。
「一回で理解しろよ! 馬鹿か!」
こうして私たちの関係は終わった。
◆
婚約破棄された日から数年。
私はそこそこ良い家柄の男性と結婚した。
出会ってすぐの頃から、彼は私を大切にしてくれていた。そして純粋に愛してくれた。優しくしてくれるし、思いやりを持った接し方をしてくれるし、何より私を一人の人間として扱ってくれる。だからこそこちらも安心して彼を見つめることができるのだ。
一方ダモスはというと。
あの後、若干暇になったために派手に女遊びをしていたそうなのだがその中で不治の病を貰ってしまったらしく、やがてそれが悪化し落命するに至ったそうだ。
ダモスは幸せになれないままこの世を去った。
だがきっとそれもまた運命。
ならば他の道はなかったのだろう。
◆終わり◆




