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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 5 (2025.1~)   作者: 四季


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ただチーズトーストを食べていただけなのですが……。~やりたいことをやっていれば誰もが強く輝けるものですね~

 とろけるチーズを贅沢にかけたトーストを朝食に食べていたら、婚約者である彼ダワワンにその姿を見られてしまい、ごみを見るような目をされたうえ「うっわムリ。婚約、破棄するわ」とさらりと言われてしまった。


 前もって聞いてはいなかったので知らなかったのだが、ダワワンは、小さい頃にチーズで火傷したことがあったそうでそれ以来溶けているチーズを極度に嫌っているのだそう。


 いやいや、そうなら、先に言っておいてよ……。


 そんなことを思いながらも。

 今さら関係を修復することもできず。


 婚約者同士という私たちの関係はあっという間に壊れてしまったのだった。



 ◆



「こんにちは~」

「いらっしゃいませ! 本日はどの商品でしょう?」

「いつもので、お願いできるかしら」

「承知しました! ではお持ちしますね。しばらくお待ちください!」


 あれから数年、私は今、国内初となるチーズ専門店を開き忙しい日々を過ごしている。


「お持ちしました!」

「わ~、嬉しい、ありがとう~。今日も美味しそうね」

「ありがとうございます!」

「このチーズね、孫がすっかり気に入っちゃって。だからまた買いに来るわ。次回もよろしくね」


 私は働いている時間が好き。

 なぜなら一人で静かにしているよりも輝ける気がするから。


「ありがとうございました! ……あ、次の方、お待たせしました」

「オデ美味いチーズ探してるだ」

「どのようなタイプがお好みでしょう?」

「あー、ぶぶぶ、そだな好きなのはー……トロトロになるやつだ」

「癖のあるお味がお好きですか?」

「んんんーやのののん。普通が好き、ノーマルなチーズが好みと伝えておくだ。良いやつ教えでくれでは嬉しいだ」


 ちなみにダワワンはというと、先月食あたりで亡くなった。


「これやこれ、など、この辺りはいかがでしょう?」

「最高!!」

「それは良かったです」

「美味そうなチーズ! チーズチーズチッチチチーズチーズチーチッチチチーズチーズチッチチチーズチーズチッチチチーズチッチチチッチチチチーズーチーズチッチチチッチチチッチチーチーズッズズチーズ! チーズだ! 絶対美味だごのチーズは! 勘で分かるだよ、このチーズは美味いっで!」


 ダワワンは帰らぬ人となったのだ。


「ではこちらにしましょうか?」

「お願いじだす!」


 もう、生涯、ダワワンと顔を合わせることはない。


「やっだやっだぁ! 嬉しいだよ! わあいーっ! 良いチーズが買えそうで、今はとってもとってもワクワクしてるだ。オデ! 胸が高鳴って! 凄い凄い状態だで! こんな経験初めてで、オデ、ときめいてきただよ! ときめきときめくときときめきめくときめくときめくときめきときめく! ときめくときめくときめきときめきときめくときめきときときめきめきめくときめくめく!」



◆終わり◆

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