世のため人のために戦うことが好きなのです。貴方に何と言われようとも、私は私が行きたい道を進みます。
「ベリーナは凄いわ! 自慢の娘よ! だって、この年でもう最強なんだもの」
「可愛い娘が最強でわたしはとても嬉しく思っている」
母も、父も、私の戦いの才能を認めてくれていた。
若くして冒険者となった私は、正規の冒険者登録後一年も経たないうちにかなり高ランクにまで出世した。
若い女性で高ランク。
そんな冒険者は今までほとんどいなかった。
つまり、前例がなかったのだ。
それゆえ、時に他人から戸惑いの声をかけられることもあったけれど、それでも私は冒険者の道を歩む道を迷いなく選んだ。
なぜなら人や世のために戦うことが好きだったから。
物心ついた時から傍にあった戦いというものを私は純粋に愛していた。
◆
「ベリーナ、君とはやっていけない。よって、婚約は破棄とする」
二十歳でできた婚約者ラストスロルスは冒険者である私を嫌っていて。
「君のような野蛮人とは生きてゆけない」
「野蛮人だなんて……」
「事実だろう」
「私はただ、世のため人のためになることをしようと、そのために戦ってきただけです」
説明をしても聞いてはくれず。
「うるさい! 黙れ! 言い訳ばかりするな!」
そんな言葉を投げつけられただけだった。
◆
婚約破棄後、再び本格的に冒険者として活動し始めた私は、五年もかからないうちに国王から表彰されるほどの成果を挙げることに成功した。
ただ、初めから表彰を狙っていたわけではない。やりたいことをやる、そのために日々を熱く生きていたら、気づけばそうなっていたのだ。やりたいことや好きなことに取り組む時の人間というのは大抵かなりの熱量と勢いがあるもの、だからそれ以外の時よりも順調に成長できるものなのだ。
そういえば。
私が表彰を受けた翌日にラストスロルスから連絡があり「今の君となら結婚を考えてやってもいい」と言われたのだが、それはもちろん丁重にお断りした。
……当たり前だろう?
散々否定しておいて今さらすり寄ってこられても迷惑なだけだ。
ちなみにラストスロルスはというと、後に、爆発物が入れられていることを知らないまま郵便受けを開けてしまったことで落命した。
◆終わり◆




