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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 5 (2025.1~)   作者: 四季


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婚約破棄を告げられたあの日からちょうど一年が経ち、私は今。

 貴方に婚約破棄を告げられたあの日から、今日でちょうど一年が経ちます。


 あの時は泣いていたけれど、今の私はもう泣いてばかりの弱々しい私ではないのです。


 貴方はあの日「つまらない女だ」とか「お前みたいな女と結婚したい男なんていない」とか言ったけれど、そんな言葉は何の意味も持たない言葉。なぜならそれは真実ではないからです。貴方は本気でそう思っていたのでしょう、けれどもそれは真実ではありませんでした。


 ――私を心の底から愛してくれる人はいた。


 私は出会えたのです。

 私という人間を大切にしてくれる男性に。


 だからもう悩まない。

 だからもう泣かない。


 私は、私を大切にしてくれる人を信じて生きてゆくと決めたから、もう心ない人や言葉へは目を向け続けはしないのです。


 どうせ生きるなら前向きに生きられるほうが幸せでしょう?


 ですから私はそうやって生きるのです。

 悪いことへ目を向けるのではなく、良いことに目を向けて――希望を信じて、歩むのです。


 貴方はもうこの世にいないのですよね。

 先日聞きました、貴方は嵐の夜に寂しくこの世を去ったと。


 それゆえ、貴方に何か言うことはもうできないし、もしできたとしてもしないつもりだけれど。


 ただ、あの時の貴方に、今なら笑顔で言い返すことができる――貴方の言葉は間違っている――そんな風に、真っ直ぐ、貴方の目を見て言える気がするのです。


 ……私、貴方が言ったほど価値のない女じゃなかった。


 貴方の言葉はただの刃。

 所詮あれは他人を傷つけるためだけの言葉。


 現在地を見れば分かるでしょう?


 私と貴方のそれぞれの正しさが。



◆終わり◆

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