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冷たい雨
詩のような作品です。
雨が降る
冷たいの
どうしてかな
あなたといられた頃は
雨すらも
楽しくて
嫌なことなんてなかった
でも今は冷たい雨
あなたは今
どこにいるの
どうしてかな
なぜかすごく
気になってしまう
また降り始める
……冷たい雨が
カーテンの向こう側で
柔らかな色が芽生えても
ここまでは届かない
腕を伸ばしたとしても
窓の外までは触れられないから
夢をみながら
それなりの満足で
生きてゆくしかないのだと
少しずつ分かり始める
いいえ
本当はずっと
もっと前から分かっていたのだけれど
信じたくないから
分かりたくないから
嘘をついていた
他の誰でもない
わたし
そうよ
わたしに
また降り始める
冷えきった心に似た雨が
雨が降る
冷たいの
どうしてかな
あなたといられた頃は
雨すらも
楽しくて
嫌なことなんてなかった
でも今は冷たい雨




