表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 5 (2025.1~)   作者: 四季


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

154/548

妖精を使役する能力を持っているからといって悪女扱いされるのは不快です。

 幼い頃から妖精を使役する能力を持っていた私は、たびたび妖精の力を借りていた。

 ただ、それで悪事を働いていたわけではないし、私利私欲のために妖精たちの力を利用していたわけでもない。


 才能は人々のために。

 幼い頃から親にはそう言われて育ってきた。


 だから私は妖精を使役する能力を自分のためではなく他人のために使ってきたのだ。


 だが、婚約者となった青年リオールイにはそこを理解してもらうことができず。私利私欲のために妖精を使役していると勘違いされてしまっていて。それゆえ、悪女であると理解され、最初から嫌われてしまっていた。


 もちろんこちらも誤解を解きたくて一生懸命説明したけれど、そんな行為には何の意味もなくて。

 結局、彼の中の私はずっと『妖精使いの悪女』のままだ。

 彼の中の私はいつまでも変わらない。どんなに説明しても、それでも。こういう時は、所詮、事実なんて何の関係もないのだ。彼が思い込んでいることがすべてであり、彼の中の事実だけが事実なのである。


「お前との婚約は破棄とすることにした」


 そんなリオールイがようやく婚約破棄を告げてきたのは、婚約から数ヶ月が経った頃だった。


「悪女と結婚するなんて無理だ。だから関係はここまでにする。……さらば、永遠に」


 こうして私たちの関係は終わった。



 ◆



 時は流れ、あれから数年が過ぎた。


 私は妖精の力を借りて多くの人を助けた。

 困っている人、苦難に見舞われている人、悲しんでいたり泣いていたりする人――多くの人に寄り添い、そういった人たちを支援することを続けてきた。


 そして国王から表彰を受けて。


 後に、貴族の男性と結婚した。


 その人は私を悪女扱いしない。

 私の能力のことも正しく理解してその上で寄り添い関わってくれている。


 だから彼のことは好きだ。


 ちなみにリオールイはというと、三回も事故に遭い、それらの時に負った怪我が原因となって先月ついに亡くなってしまったそうだ。



◆終わり◆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ