あの頃は泣いてばかりでしたが、歩んだ先には幸せな日々がありました!
私には婚約者がいた。
名はマハド・アンブロタロジローニ・ニシハ・エグゼグティベリオスという。
だがマハドは私を愛さなかった――彼はある夜私を自宅へ呼び出すと「キミは面白みがないカラもうここにイナクテいい、オーケィ? キミは価値がない人間、女、ネ? だからもうどっかいってイイよ、というかさっさとどっかイッテ。ネ? 婚約は破棄するコトニしたからさよならダヨばいばいダヨ、ネ?」と言って二人の関係を一方的に叩き壊したのだった。
その時はかなりショックで、しばらく毎晩泣いていた。
ただ、泣いてばかりいた私がそこから立ち上がれずそのまま流されるように不幸になったというわけではなくて。
……むしろ逆。
私はその後資産家の男性に見初められ結婚、今は幸せに暮らせている。
毎日笑顔。
毎日愛される。
最高の日々が待っていた。
できるなら、あの泣いてばかりいた頃の私に、笑顔で教えてあげたい――将来幸せになれるよ、未来では笑って生きているよ、と。
それとは対照的に、マハドは幸福への坂を転がり落ちた。
彼はあの後一人の女性に惚れる。とても可愛らしい女性だったらしく、すっかり惚れ込み、彼女のために大金を使ってしまって。借金までするほどになったそうだが、ある時突然別れを告げられて。結果的にはお金を使っただけということになり。愛しい女性、お金、などなど、借金以外何もかもを一斉に失うこととなってしまった彼は精神崩壊。
……以前のような勢いのある彼はもうどこにもいないらしい。
◆終わり◆




