婚約破棄のその後で。〜すべての出来事が今の私を作っているのですね〜
今から一年ほど前のことだ。
将来を誓い合っていた婚約者である男性から「君と生きる気はなくなった」なんて急に言われて婚約破棄されたのは。
その時はかなりショックだった。
……だってそうだろう?
私は彼と生きてゆくものと思っていたし、彼もその未来を受け入れ誓ってくれていたのだ。だから二人で行く未来は確かなものなのだと思い込んでいた。それが私の人生なのだ、と。何の疑問も抱かずにいたのだ。
それが急にそんなことになって。
関係の終わりが。
さよならを告げる時が。
唐突にやって来たものだから、ショックを受けずにはいられなかったのだ。
ただ、それから時が過ぎてゆく中で、徐々に落ち着きを取り戻し――花を育てたいという夢を見つけたこともあって、気づけば前向きに歩んでゆく心を取り戻すことができていた。
今は彼に感謝している。
彼のおかげで今の私がある――ある意味そうとも言えるのだと、そう考えているから。
生きてきた道に無駄なことなんてきっとなかったのだ。
……そう、きっと。
すべての出来事があって、今の私がある。
ちなみに元婚約者である彼はというと。
あの後親しくしていた女性にある時急にふられたそうで、現在は心を病んで自宅で療養しているそうだ。
ただ、回復傾向はないとのことで。
いつか治るのか、いつか健康を取り戻せるのか、その辺りは完全に不明だそうだ。
……色々あったけれど。
結果的に幸せになれたのは彼ではなく私だったようだ。
◆終わり◆




