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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 5 (2025.1~)   作者: 四季


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「あんたのこと、もう、愛してないんだ」婚約者の口から出たのは、そんな言葉でした……。

「あんたのこと、もう、愛してないんだ」


 婚約者ロバートは冷たい目をしている。

 そして、その口から放たれる言葉もまた、目つきといい勝負をするくらいの冷たさである。


「だから、婚約は破棄な」


 その時はいきなりやって来た。二人の関係が終わる時。これまで築いてきたものが、これまで歩いてきた道が、笑ってしまいそうなほど呆気なく崩れ落ちてゆく。


「ばいばい」


 こうして私と彼の関係は終わったのだった。



 ◆



 婚約破棄を告げられた日から一週間も経たず、ロバートはこの世を去った。


 彼はその日家の近くを散歩していたそうだ。

 すると突然背後から何者かに襲われて。

 何かよく分からないもので頭部を殴られ、その一撃によって気絶。


 ……そして、そのまま死亡した。


 犯人が何者か、ということについて、詳しい情報はない。ただ、男性だったらしい、とは言われているようだ。しかし犯人はまだ捕まっていない。否、それどころか、目撃情報すらない。


 なぜロバートが襲われたのか。

 どうして襲われるのがその日その場所だったのか。


 ……結局、すべて、謎に包まれたままだ。


 ただ一つ確かなことは。

 ロバートがこの世を去ったということだけ。


 彼は何も得られないままこの世界から去っていった。


 悲しいことだ。彼は死んでしまったのだから。死んでしまった人間には誰ももう二度と会えない、そういうもの。ゆえに普通は死とは悲しいものなのだ。


 けれども、今回に関しては、自業自得だろう。


 彼が選んだ道には幸せな未来はなかった。


 ただそれだけだ。

 それ以上の意味なんてありはしない。



◆終わり◆

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