125/548
するりとすり抜ける
詩のような作品です。
するりとすり抜ける
指と指の間を
春の香りみたいに優しい
恋という季節の匂いが
柔らかな肌を撫でるように
ただ流れてゆく
ただ移ろってゆく
過ぎ去ればもう戻ることはないと
理解しながらも
どうしてかしら
言葉にならないくらいの
束の間の感覚
恋する乙女だけが感じられる
特別な感覚
するりとすり抜ける
身体と心の間を
夕暮れの香りみたいに緩やかな
恋という感情の匂いが
艷やかな髪を撫でるように
ただ舐めてゆく
ただ触れてゆく
通り過ぎればもう帰ることはないと
分かっているけれど
どうしてかしら
言葉にはできないの
束の間の幸福
恋する乙女だけの特権のような
特別な幸福
恋することは
特別なこと
恋することは
唯一無二
不思議ね
何度心折れても
また
どこかで
必ず恋をしてしまうのだから
それが人の性なら
きっとそれは永遠のものなのね




