婚約破棄を宣言した彼は直後この世を去りました。~なぜか天井が……?~
「婚約は破棄だ! 生きている価値のないお前のような女は偉大な俺の前からさっさと消えろ!」
婚約者ロバートがそんなことを言った……次の瞬間、突然凄まじい地鳴りにも似た音が響き渡り、直後天井が崩れて落ちてきて。
「うわあああああ!!」
ロバートは降ってきた天井だったものに押し潰された。
もう彼の姿は見えない。
今や彼は瓦礫の山の下に沈んだ。
見下し、心ない言葉をかけ、私を傷つけようとしていたロバート。彼の望みは達成されなかった。否、むしろ真逆の結果となったのだ。傷ついたのは、終わったのは、私ではなく彼だった。
ああ、そうか、きっと天罰が下ったんだ……。
婚約者が落命した瞬間に居合わせることになるなんて思わなかった。それは多少ショックを受けるようなこと。もう婚約破棄にはなっていたのだから無関係、そう思ってはいても。それでも、知り合いが目の前で、というのは衝撃的な出来事。動揺せずにはいられない、それが現実で。
ただ、さすがに可哀想とは思えなかった。
なんせ彼は酷い人。
なんせ彼は心ない人。
私の味方ではいてくれなかった人なのだから。
「さよなら、ロバート」
だから別れだけ告げておくことにした。
もう彼とはおしまい。
もう二度と会わない。
ならば告げるべきは……さよなら、だけ。
◆終わり◆




