表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/96

チート名探偵になってやろうじゃないの



 前世のことを思い出した私はまずはノートにまとめてみることにした。


 前世の私は、滝川千歩という名前で高校三年生だった。そして、今世の私の世界は前世の私が読んでいた漫画の世界に酷似している。


 まずは漫画の中の世界の整理。


『恋にほんの少しのスパイスを』

 ヒロインは男装で入学してきた特待生の浅海奏あさみかなで。男装の理由は確かお兄さんも元花ノ宮学院の特待生で制服があまりにも高かったため、お兄さんの制服のお下がりを着るしかなかったという設定。少し大きめの制服だが中性的な顔立ちで、ごく一部を除いては彼女を男の子だと信じている。


 元々庶民という理由で周りから煙たがられていたヒロインは、ある日とんでもないことをしてしまう。それが学院の『花ノ姫』と呼ばれている一人である綾小路にスープをぶっかけてしまうのだ。そこから『花ノ姫』を敵に回し、綾小路の取り巻きが一気にヒロインに敵意を向け始めて陰湿なイジメが始まる。


 ちなみに『花ノ姫』とは、学院の中で選ばれた優秀な女子生徒にしか与えられない称号。『花ノ姫』になる条件は家柄や外見までも関係しており、望んでいても選ばれるとは限らない。選ぶのは『花ノ姫』の会長だ。その年の会長に気に入られなければ、いくら家柄や外見が良くても選ばれることはない。


 その『花ノ姫』に嫌われてしまったヒロインは、生徒達から疎まれる存在になってしまう。そんな中、匿名で嫌がらせをしている犯人を当ててヒロインを助けたのが学院の王子様ポジションの天花寺てんげいじ ゆう。最初は正義感で救ったがヒロインの可愛らしい笑顔にきゅんとしてしまい男相手に抱いている自分の感情に戸惑っていた天花寺は、ラッキースケベが起こり実は女だと知ってしまう。


 そこから天花寺は必死にヒロインにアタックをしていくが、それを見ていて面白くないのが、天花寺に想いを寄せていた『花ノ姫』の一人である雲類鷲 真莉亜。


 真莉亜達からしてみれば、憧れの殿方があのような庶民の小汚い犬と戯れていて不愉快だわ。といった感じで、引き離したくて色々と意地悪をするのだ。そして、ヒロインが嫌がらせを受ける以外にも学院内で様々なトラブルが起きて、天花寺の頭脳とヒロインの発想力で見事に解決していく。

 そして、最終章にて雲類鷲 真莉亜は何者かに刺されて階段から転倒して死亡。実は真莉亜には最近匿名で脅しの手紙が届いていたのだった。果たして犯人は……?



 というところで私は最終話を読めずに人生が強制終了してしまったのだ。


「一番大事なところを知らないなんて……」


 わかるのは高校三年で私は誰かに殺されてしまうことだ。恋スパの内容だと、全く漫画に登場していなかった人物が犯人っていうのはありえないだろうから、私が知っている登場人物の誰かなんだろうけど……殺人を犯すようなキャラいたかなぁ。


 とにかく人に恨みを買わないように生きよう。それと階段から落とされないように、誰かに追いかけられても逃げ切れるように力をつけよう。まだ時間はある。もしもの時のために色々と対策を練って、防いでいくのだ。


 そういえば、恋スパで起こる事件はなにかと真莉亜が怪しいんじゃないかとか言われていた。

 あ! そうだ、私漫画読んだもん。自分を殺す犯人以外わかるじゃん! それなら疑われる前に犯人見つけられちゃうじゃん! なにこれ名探偵みたい! チートだけど。いや、チート万歳。チート名探偵になってやろうじゃないの。そして、私はアレを購入することを心に決めた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ