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Vtuberの陰キャとギャルが百合する話  作者: 二葉ベス
第3章:聖夜のように綺羅びやかな毎日
36/75

第34話:赤の聖夜。オフコラボ配信始まり

:お

:ついた

:来た?!

:おきねるオフコラボだぁああああああ!!!


「これ配信ついてんの?」

「もうついてますよ」

「はぁ?! じゃあ言ってよ!」

「言おうとしたら聞いてきたんじゃないんですか!」


:痴話喧嘩助かる

:ついてるよー

:こんねるー

:こんねるー

:起きてーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!


 まぁまぁ。もう出だしから滑ってしまったけど、別にいっか!

 じゃあさっさと挨拶でもしよう。っと、その前に。


「じゃあ一曲歌いまーす!」

「え、聞いてないんですけど」

「ほら、音瑠香ちゃんも!」


 クリスマスと言えばもちろん、ジングルベルだ!

 軽快なBGMと共に2人して、少々小声で歌い出す。音瑠香ちゃん、もとい青原の自宅はそこそこ防音対策はされているみたいだが、大きな声を出せばそれだけ近隣住民への迷惑となってしまう。

 むしろこの時期ぐらいは大目に見てほしいものだが、音瑠香ちゃんが配信者ってバレたらなんかいろいろまずいだろうしね。

 一曲歌い終えた頃には、コメント欄が「8888888」と拍手の嵐に包まれていた。


「はーーーい! そんな感じでおきてーーーーー!!! 朝だよーーーー!!! バーチャル目覚ましギャルの朝田世オキテだよーーー!!!」


:朝(夜)

:朝(クリスマス

:朝だよ(夕食時)

:おはよーーーーーーーーー!!!!!

:おはーーーーーーーーー!!!!!


 うーん、開始一発目にしてはなかなかいいんじゃない?

 というか、音瑠香ちゃんの歌声初めて聞いたけど、結構普通だなー。


「はい次、音瑠香ちゃん」

「毎回思うんだけど、これの後にわたしが自己紹介するの、なんか嫌だ……」

「音瑠香ちゃん次!」

「はーい。こんねる。バーチャルいつも眠たい系Vtuberの秋達 音瑠香です」


:こんねるー

:こんねるー

:こんねるーー! 朝だよーーーーーー!!!!

:おきねるキターーーーーー!!

:こんねる! 俺は好きやぞ


「まぁ、ありがとう」

「お、音瑠香ちゃんの素直じゃないデレきたー!」

「うるさい……」


 あたしと音瑠香ちゃんの配信の始まり方は大体こんな感じだ。

 あたしがボケて音瑠香ちゃんをイジり倒して、彼女を辱める。この瞬間だけは今まで考えてきたことを全部忘れられるからいい。正直さっきにか先生の話をされた時は焦って不機嫌になってしまったけど。

 まぁ、これも嫉妬だって分かって何よりだ。人間、やはり誰かに相談することが1番だ。

 今回に関しては半ばなし崩し的に行われたこと以外は良しとしよう。


「さて! 今日は何の日だっけ、音瑠香ちゃん!」

「……知ってるでしょ」

「んーーー? ギャル知らないなー! 音瑠香ちゃんの口から聞きたい!」


:俺も!

:聞きたい!

:何の日だっけ?

:12月24日……うっ、頭が……


「それ、わたしに言わせるんだ」

「楽しそうだからねー」

「このギャル……」

「ギャルだからねー」


 音瑠香ちゃんもだいぶこの流れに慣れてきたのか、軽口を叩く程度には信頼の置ける間柄になったことだろう。最初は百合営業だの何だのと言っていたが、コンビになってしまえば案外普通だということが見聞きできる。

 あたしももうVtuber2ヶ月目だし、その辺分かってきちゃったよ、うんうん。


「クリスマスイブです」

「はいということで、オタクくんのみんなー! 音瑠香ちゃんはあたしのもんだからなー!」


:泣いた

:草

:もう2人でくっつけよ

:性夜のクリスマスを送れ

:クリスマスにわざわざいちゃつかんでも

:はい営業おつ

:自称百合営業だからな


「自称じゃないしー! 公認ですしー!」

「それはオキテさんが勝手に言ってるだけでは」

「ちーがーいーまーすー! あたしと音瑠香ちゃんは百合営業です!」


 ふふふ、羨ましかろう。妬ましかろう。例え画面の前にいようとも、あたしが音瑠香ちゃんの隣にいるんだからな。ぬおっほっほっほ!!

 と、キモオタバンザイなセリフは脳内だけにするとして、そろそろ概要のほどを説明しようと思う。

 今回の配信はクリスマスパーティにおきねる2人ではしゃごうという企画だ。飲んで食べてと言うのは間違いなく本音だが、もっとやりたいことがあるとあたしの方から提案したことがあった。


「あたしと音瑠香ちゃんの2人でゲームをして、負けた方が自語りします!」


:え

:自語り

:罰ゲームじゃないの?


「理由はみんなにあたしらのことをもっと知ってほしいのと! 音瑠香ちゃんがあまりにも自分のことを喋らないからです!!」

「……わたしにとっては罰ゲームなんです。はい」


:草

:草

:草

:草

:ウケる

:lol


 かつて配信上で言っていたが、やはりあたしは音瑠香ちゃんのことを、逆に音瑠香ちゃんはあたしのことを全然知らない。

 画力は最強クラスのくせに自分にはキャラデザ力がないと自信なさげに言う事も知らなかったし、何故今日に限って鮭をこんなにも推してくるのか分からないし。好きな食べ物なのだろうか? 知らないからこそ聞きたくなる。そんな企画だ。

 だらだら喋るのもいいけど、こうやってメリハリをつけるのも配信としては重要だろう。


「そんな感じー! ぶっちゃけそれ以外用意できなくてごめんねー!」


:推しが配信してくれるだけで嬉しい

:クリスマス、ぼっちだったから嬉しいよ……

:おきねるしか勝たん

:彼女と見てます

:自分のペースで活動していけー?


「彼女と見てますニキは許さないから。わたしにも恋人欲しい……」

「あたしがいるだろ……?」

「百合営業は黙ってて」


:草

:泣いていい

:こんなでもきっと裏では付き合ってるんだぜ

:ニキは刺していいが、おきねるはもっと流行って

:百合営業もっとしろ

:草


「イケボ気味だったのが余計に腹立つ」

「ウケるー! こっちの方が良かった?」

「別に、いいとか悪いとかの話ではないですし……」

「おっ、照れてやんのー」


:てぇてぇ

:オキマシタワー

:オキマシタワー

:てぇてぇ

:おきねるてぇてぇ

緑茶レモン:おきねるてぇてぇ


「あ、レモンさんいらっしゃい」

「1コメがそれなのは流石にウケる」


 こんな事を言っているが、実は緑茶レモンさんのこと、よく知らないんだよなー。ちょこちょこ音瑠香ちゃんが話題に出しているけれど。

 何しろ音瑠香ちゃんが百合営業って言い出した原点は彼女(?)にあるらしい。ボイチェンで声を誤魔化してるから、配信に行っても抑揚ぐらいで声色は全然分からない。

 ただ、なんとなく。本当に女性の人なんだろうなー、とかは思ってる。もしくはオカマの人の線は拭えないけれど。オカマだったら音瑠香ちゃんのそばにいても安心だ。何故ならオカマだから。


「じゃあそんな感じで始めていくよーーーーーーー!!!」

「皆さん、コップは手に持ちましたか?」


:朝だよーーーーーーー!!!!!

:朝だーーーー!!!

:朝だよのノリ

:行くぞーーーーーーーーーー!!!!!!

:二人のこといっぱい知りたい!!

:持ったぞ!

:缶ビール持った

:日本酒持った


「それじゃあ!」

「「かんぱーい!」」


 そんな感じでもう忘年会ムードだが、大体そんな時期だし関係ないよね!

 コーラをごくごくと飲みながら、両手でコップを持つ音瑠香ちゃんを隣に見る。今日もかわいいなー。

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[一言] これは百合営業じゃなくて百合だ(確信)
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