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Vtuberの陰キャとギャルが百合する話  作者: 二葉ベス
第3章:聖夜のように綺羅びやかな毎日
27/75

第25話:青の動揺。神絵師にフォローされた!

3章です

お仕事の都合上、31話以降は投稿が少しマチマチになるかも……

 月は巡り、12月中旬。

 本格的な冬の寒さに身を震わせながら、もうすぐ冬休みか、と長期のニート期間に期待を寄せる。

 それにしても最近はいろいろありすぎて、少し疲れ気味だ。

 特にあのギャル、もとい赤城露久沙のせいで。最初のコラボが成功したからと言って、翌日「週1でコラボ配信しない?! どうせ暇でしょ? あたしもバイト休みの日にやろうと思ってたからさ!」などと言われ、その圧に押されながらも承諾してしまったのがだいたい3週間ぐらい前。

 それから週1のペースでオキテさんと配信する仲になった。


 まぁ、わたし的にはチャンネル登録数が鰻登り、というほど勢いづいてはいないが今は120人と、一時期の倍にまで膨れ上がったことを考える。ふふふ、わたしの承認欲求の獣も湧き上がるってものよ。相手はもうその4倍ぐらいまで伸びてるんですけどね。

 実際オキテさんの配信は面白い。朝活の朝田世配信は元気そうに挨拶してくれるだけで、配信に来てよかったと思わせる。この後あるであろう学校や仕事のやる気を分けてくれるんだから、すごいよなぁ。

 夜のゲーム配信だって、てんわわんやで面白い。

 この前のえぺっぺ配信だって銃を見つけてテンションが上がってるところを襲撃され、何も分からず連射してたらキルを取れてしまうという撮れ高を生み出していた。

 レモンさんも「初心者2人抱えて今度コラボしようか?」なんて言いだすし、色んな人から愛されている。


「すごいよなぁ……」


 わたしの前ではやたら甘えてきたり、人の弱みや喜ぶところを知ってるんだろうなぁ、って。

 いや、わたしに甘えてくるのはデフォっていうか、わたしは結構迷惑してるんだけどさ! でも構ってくれることは嬉しいといいますか、なんと言いますか。


 まぁそんなこんなでもうすぐ終業式。テストも終わり……。はぁ……。期末テスト、終わった……。


「青原、なに頭抱えてるん?」

「…………」

「何も言わねぇ。ただの死体じゃん」

「おーきーろー! 青原ー!」


 何故か星守さんにも気に入られて、3人で絡むようになったお昼の時間。

 わたしは赤点ギリギリのテストを隠す。非力なわたしでは案の定赤城さんと星守さんに暴かれてしまったわけですが。


「うーわ。ひっど」

「青原、マジでイラスト特化型すぎない?」

「だって……。勉強面倒くさいし」

「分かる! 数学のセンセーとか見てると、殴りたくなるもんな」

「それは……、わからないですけど……」


 でもわたしは知っている。赤城さんと並んで星守さんも中の上ぐらいには成績がいいことを。

 だから着崩していてもそんなに大きな声で言えないんだよなぁ。テストだけはちゃんとできるので。

 赤城さんに至っては、かなり頭がよくクラス内で5本の指には必ず入ってくる。バイトもしてるのに、その胆力はどこから出てくるんだか。


「まーいいじゃんそんなことは! あたし今日給料日だし、せっかくだから美容室行かない?!」

「お、いーじゃん」

「えっ?!」


 嫌です。とは言えないんだけど、喉の奥からものすごく嫌そうな声が出た。

 以前美容室に行くという話はしていたが、まさかこんなところで掘り起こされるとは思ってもみなかった。

 だいたいわたしのくせ毛モワモワ三つ編みヘアがショートボブになったところで楽になるとは思えない。

 髪の毛の総量は減るだろうけど、なんかこう。イメージがパッと思いつかなくて。


「青原改造計画、第2弾。やっちゃいますか!」

「おもしろそー。って思ったけど、それは2人でやってきなよ」

「なんでよ。舞は来ないん?」

「つゆはその方がいいだろ?」


 星守さんがやたら不敵な笑みで赤城さんのことを見る。するとどういうことか。少しだけ頬を赤面させた赤城さんが突然星守さんに暴力を与えた!


「んだよ、何すんだ!」

「うるせー! そういうのはいいんだよ!」


 はて。いったい今のアイコンタクトで何が起こったというのだろうか?

 ぽへー、っと見ているところに、ポケットでスマホが振動する感覚がした。なんだろう? 赤城さん以外からは滅多に通知のこないスマホなのに。いったい誰から……。


「え?」


 スマホを開くと、1件の通知。ツブヤイターからだ。

 見知ったIDがフォローしたのを見て、急いでツブヤイターへと向かう。


《白雪にか@お仕事募集中 さんがあなたをフォローしました。》


「ん、どしたん?」


 興味本位で覗いてくる赤城さん。でもその前に発したわたしの一言で引っ込むことになった。


「あぁっ!!!!!」


 それは声にもならない感激のシャウトであった。


「うるさっ。どうしたんマジで」

「どうしようどうしようどうしようどうしよう! にか先生にフォローされた!!!!」

「……あー。なるほど」


 なんでそんなにどうでも良さそうな顔してるんだよこのギャル!!

 おま、お前! あのにか先生だぞ?! わたしのリスペクト相手で、普段からイラストの参考にもさせていただいてて、フォローだって簡単にはしてくれないような神絵師様だよ?! それをなんだ、あーなるほど、って! あなたは直接依頼したことあるから相互フォローなだけだろ!!!

 というのを口にしても分かるわけないと思うので、一言こう言ってやった。


「親の七光りがっ!」

「それ関係ある?!」

「だってぇー! 赤城さんはにか先生が公式絵師だからフォローされるのが当たり前だと思ってるかもしれないけど、わたしにとってはそうじゃないんだよ! これはむしろどこからやってきたのかよくわ、からな……」


 ……赤城さんの顔を見る。ニマニマしてた。さっきも言ったけど、赤城さんのVの姿。朝田世オキテの公式絵師はにか先生だ。

 そして赤城さんはわたしの配信では露草という名前で昔からリスナーをしていた。確か前に聞いたことあったよね、好きなイラストレーターは誰? って言う話を。

 まるで点と点が豪速球で弾き飛ばされる感覚。その答えは、この目の前にいるギャルの仕業なんじゃないかって。


「あ、ああああ、あなた! もしかしてわたしの事話した?!」

「もっちー」

「あああああああああ!! 親の七光りなんて言ってすみませんでしたーーーーー!!!!」

「あはは、青原。イメージ壊れるからその辺にしておきなって」

「あっはい」


 ともかく。まさかにか先生がフォローしてくださるなんて思わなかった。

 これで公に絡む、なんてことはしないけど、また後方腕組み音瑠香として活動に励みが出るというものだ、うんうん。


 と思えばまた通知だ。ん? あなたの呟きを白雪にか@お仕事募集中さんが拡散しました?

 まただ。また。2つ3つとわたしの作品がにか先生によって拡散されていく。待って?! わたしなんかした?! なんでこんな事になってるの?!


「うわすっごー。拡散止まらないじゃん」

「赤城さん。わたしたち仮にもVコンビですよね?」

「仮にも、は余計かなー」

「なんとか止めてください。わたしにか先生が怖いです!」

「あー。あはは。あの人、こんな感じだから」


 うわ、ドンドン拡散とフォローといいねがついていく!

 うわっ怖い怖い怖い! 現代のホラー現象だ!!!

 そんな最中にお昼休み終了のチャイムが鳴るのだから、本当にやめてほしい。だって今、恐ろしい出来事が起こってるのに、ここで生殺しって、マジですか?!

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