表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/65

024 送り付け詐欺



「あら、骨だけじゃなくて……。これはヌメヌメした黒い液体?」


「ダメダメダメ! だめでーす!!」



 突然のことに、無理やりテーブルにあったタオルをかけた。これはマジでヤバいやつですよ!!



「突然なによ!?」


「あの、これは、えーっとですね!!」


(なに焦ってんだよ)


(まさか、バ美肉前の姿を見抜かれるなんて思ってもみなかったですよ!?)


(どうせ適当な方法でやったんだろ? だいたい占いなんて当たるわけが……)


(占いは魔術の一種です! マジなヤツだとマジで当たるんです!)


(ってことは、今の状況ヤバイのか?)


(そうなんです! なんとか誤魔化さないと!)


(ふむ……。なら、こういうのはどうだ?)


「えっとですね! これはあれです!」


「なんなのよ!?」


「未来は未来でも、多分200年後くらいの姿です!」


「あぁ……、なるほどね。白骨化した後の姿ってワケね?」


「そうですそうです! そんな姿、見られたくないでしょう!?」


「まあそうかもしれないけど……。あっ! つまり、占いは大成功ね!」


「ええと、多分そうかも?」


「成功ならいいわ! はい、占い料いただこうかしら?」


「ちょっと!?」


「あら? 成功したと言ったのはアナタよ?」


「なんですかそれ! 聞いてませんよ!? 送り付け詐欺ですか!?」


「もしかしてアナタ、お金持ってないの?」


「うっ……」


「仕方ないわね……。なら、イイオトコの紹介料で相殺しましょ?」


「結局それが目的かーーー!!」



 まったく、油断も隙もない人間だ。いっそここで消すというのも……。

なんて頭をよぎったが、ここは堪えどころ。騒ぎを起こすのはまずい。



(せめて街の外に誘き寄せてから、暗殺というのがスマートな殺りかたか……)


(すげー不穏な言葉が聞こえた気がするが?)


(念話なのでセーフ!)


(アウトだよ!!)


「もう! 半分冗談よ!」


「半分本気じゃないですかー!」


「だって、そんな雨に濡れた捨て犬みたいな顔するとは思わなかったんだもん」


「誰のせいだと……。だいたい、なんでそんなに先生にこだわるんですか!

 この街にだって、少なくなったとはいえ男の人は居るんでしょう!?」


「あー……。それ言っちゃうんだ?」


「え? まさか、地雷踏んだ?」


「巨大な地雷を踏んだわね」


「うぐっ……」


(視線が怖い。恐怖でぷるぷるしちゃうぜ)


(視線だけでスライムくらい仕留められそうっすね!)


「そうだわ! いいこと思いついた!」


「ロクな思いつきじゃないことだけは分かる」


「なに、簡単な話よ! アンタ、客引きしなさい!」


「は!? なんでそうなるんです!?」


「ウチがこんな閑古鳥鳴いてるのはね、近くにライバル店ができたからなのよ」


「ライバル店?」


「そ。おんなじ喫茶&バーなんだけど、そこのオーナーがまた嫌な女でね……」


「その話長いですか?」


「あざとい格好で、ウチの男どもを引っ張ってったのよ!!」


「やっぱ人の話聞いてねえな」


「だいたい、昔はここが魔王軍との第一線だったから、女子供が居なかったからこの店はやってこれたワケ!

 その頃だったらあんなアバズレ女、魔王軍に攫われてたわよ!」


「熨斗付けて返品されそうなもんですけどね」


「てことでアンタ、客引きしてきなさい! 大丈夫! 胸はなくとも男どもは釣れるわ!」


「胸なくて悪かったな!!」


(胸はない方がええやろ!!)


(てめえは黙ってろ!!)


「まったく、あれもダメ、これもダメなんて……」


「いや、やりませんけどダメとは言ってませんからね!?」


「もう、何ならできるのよ」


「なにかやる前提で話進めないでもら……。あ! そうだ!」


(なんだなんだ?)


(ひらめきが降ってきましたよ! 地中深くから!)


(ひらめきって、ゾンビみたいに地中から降ってくるのか)


「では、こういうのはどうでしょう?」


「どういうのかしら?」


「動画で、このお店の紹介をするんです!」


「えぇ……。登録者数500人ちょっとのチャンネルなのに?」


「いやまあ、少ないですけどね!?」


(少ないとはなんだ! まだ2本しか上げてないのに、頑張ってる方だろ!!)


「でもでも、この街で客引きするよりも、効果あると思いません? 全世界を相手にするんですよ!?」


「うーん……。そうねぇ……」


「考えてもみてください! 私がこの街で客引きして、一日何人に声を掛けられます?

 しかも相手はこの店に連れてきた時点で、この閑古鳥の楽園を知ってる相手ですよ!?

 それなら何も知らない相手を遠くの街から呼んだ方が、効果的でしょう!?」


「閑古鳥の楽園とは失礼ね! でもま、一理あるわね……。

 今の街の男どもは、大抵アタシが手を付けちゃったし、店に来ないかもしれないもの」


(なんか今、しれっとヤバい話が聞こえた気がする)


「なら決定ですね! ということで、撮影の準備しますよ! キッチンを使わせてもらっていいですか?」


「撮影にキッチン? 宣伝用の動画なら、カウンターの方がよくないかしら?」


「はぁ……。だーーーーーれがただの宣伝動画見るってんですか!

 やるのはもちろん、ロアン先生のお料理教室ですよ!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ほほう、お料理教室で来ますか……!! 何が出来るのか、楽しみです^^ ロアンさんもいいキャラしてます!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ