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終焉の鐘が鳴る頃に  作者: iv
序章
99/268

life flour re start



 語り終えると、少女は飛び上がって羽ばたく鷲の如く地面から離れていく。それ自体はただのジャンプだったのだろう。ただし問題は彼女が次に述べた文章だ。


「ワイバーン×スケルトン」


 『普通』ではありえない掛け算。『普通』ではありえない組み合わせ。彼女を構成するそれが外部から組み上げられていく。片や空を舞い口から爆炎を放ち広大な森をも灰に還す飛竜の一種。片や命を失ったヒトが怨念などで死後動き出したとされる骸骨の化け物。全く別の出典に原理、種族。予め定められたパズルのように綺麗に当てはまるはずもない。しかし彼女だけは。金より黄土色に近い配色のショートボブ少女だけは違う。

 凸と凹を自分の意思で都合のいいように捻じ曲げ当てはめる力を、彼女は既に行使している。飛び上がり、『蝶』の如く宙を舞うキマイラの片足。その輪郭が鞭か何かのようにぐわんと歪む。上半身から腰へ、腰から更に伸ばしきった片足へと回転の力が伝わる。物理的にまずありえない角度へと、彼女の振り切った足が腿の中間あたりからひん曲がる。

 轟音、ですらない。

 いっそ平手打ち程度の軽すぎる音とともに、再生直後の『竜』の胴体半ばあたりから上が吹き飛ばされる。直前に天井へ潜んでいた『蜘蛛』がキマイラの体に飛び移るも、キマイラは平手で容赦なくそれを叩き落とす。幾体かの『蝶』を手にした金属パイプで叩き潰した大和が目撃することとなった光景。あれだけ苦戦させられた『竜』が一切の抵抗を許されず、されるがままに蹂躙される光景だ。夢か、幻を疑いたい気分だった。

 確かに攻撃的ではないにしても大和は『異能』を受け継いだ半咎人。それが成すすべもなくやられ続けるばかりだった相手を蹂躙する第三者が現れた。都合がいいにもほどがある。絶望しきった自身の意識が無意識のうちに作り出した幻想と言われたほうがまだ納得できる。

 しかし視界を覆いつくす非現実はそれすらも容易く否定する。

 飛び散る。顔面に飛び跳ねた水の冷たさが、大和の意識を現実に引っ張り上げた。


「めちゃくちゃだ...」


 金属パイプ片手に、思わず呟いていた。


「お宅のトップやシズクさんも相当だと思いますけど。それにしても本当に無限再生っすか。厄介っすね」

「どうすりゃいいんだ...あんなの!?」

「噂に聞いた『万有引力テトロミノ』で海のど真ん中にポイ捨て、とかどうっすか?」

「出来たらやってる。あいつ、胴体を常に水と接続してやがるから『万有引力テトロミノ』じゃ......あ...?」


 ふと再生中の『竜』に目を向けた大和の言葉が詰まったことで、キマイラの方も怪しんで同じように視線を投げかけた。そう、変わらず()()はそこに蠢いている。全身を液体の水で構成し、双眸は血のように真っ赤に照り付ける宝石の如き紅。

 だが明らかに細い。

 先程まで二人が向き合っていたものより、決定的に。

 ボゴッボゴォォッッ!!と泡立ち、作り変え、組み上がっていく半透明。既に上半身も八割方は組み上がったというところなのにも関わらず、先程のようにキマイラが飛び込んでいく様子はない。いや、仮に椎滝大和がキマイラの位置に立っていたとして、彼自身も同じような反応しか示せなかったはずだ。

 頬を、水滴以外の何かが伝い落ちる。変貌っぷりに勝手に畏怖した体が本人の意識とは無関係の所で体の態勢を整え直しているのだが、大和は目の前の光景に夢中でそれどころではなかった。

 今にも襲い掛かってきそうな点について変わりはない。ただ、形はまるっきり違っているだけで。


「変形機能搭載済みっすか!?」

「うっそだろオイ!!?」


 彼が気付いた時には、ドッッッッゴガアッッッッ!!!と破壊の拳が大和の目と鼻の先にあった。

 顔面を撃ち抜かれてなお意識を保つことが出来たのは本当に奇跡かもしれない。が、笑えない現実を突きつけられて絶賛困惑中なのは自分たちなのだ。後頭部から思いっきり壁に激突するも、滝のように壁に沿って流れ落ちる敵の水がクッション代わりになったらしい。脳は揺さぶられたが、立つことくらいはなんとかなりそうだ。

 一瞬の出来事だ。

 反応を示したキマイラが即座に敵の側頭部めがけて蹴りを放つも、天井へ跳ね上がった『竜』には掠りもしない。先程までは未搭載だった機能を存分に駆使し始めたのは進化とも称せるか。

 細方の『竜』

 その全体は相変わらず液体の水で構成され、双眸を赤く揺れる光で補う『異能』の入れ物。そいつが、新たに手にした両手両足を駆使した三次元的な攻撃を放ってきたのだ。水圧カッターのようなブレス一本だった『竜』の形を捨て、人型に切り替わった全体を使って。


(物理戦闘に、切り替えてきたっ!?)


 続けざまに、吼える人型となった『竜』が一本の槍となって天井より降り注ぐ。原理はさっきまでの水圧のブレスと同じで、超高圧まで持って行った液体を『竜』の口にあたる部分から放出しているだけだが、もはやそれは槍と言うより道路工事なんかで使われるパイルバンカーのような衝撃だ。狙いは壁に寄りかかって立ち上がろうとしている大和。

 意識事揺れ動く体に鞭を打ち、何とか横へ飛び跳ねることで回避するも、今度は天井から降りてきた『竜』の直接攻撃が待っている。


「怪我人ばっか、狙ってんじゃねえええええええええッッ!!」


 ドパンッッ!!と横から放たれた突きが液体の拳を弾き飛ばす。まず真っ先に弱者を排除しにかかろうとした臆病者の『竜』の肢体を容赦なく叩き折る。黄土色のショートボブに体のラインが浮き彫りになるジャージのような恰好の少女。出会ったばかりのキマイラという少女が間髪入れずにひねりのエネルギーを存分に駆使した蹴りを叩き込むも、次の瞬間には『竜』がぱっと消えてしまう。

 消えたという表現は正しくない。

 正しくは、背景に()()()()()、だ。もとより二人のいるこの空間は『竜』の異能によって完全に支配下に置かれ、壁や天井からも滝のような水がひとりでに行ったり来たりを繰り返しているのだ。そんな中に半透明の実態を放り込んだらどうなるのか。密林に住まうカメレオンのように背景に溶け込む『竜』を見分ける手段と言えば、両目にぎらつく一対の赤光のみ。

 その場から音が消え失せた。壁を伝い落ちる膨大な水の飛沫と天井から滴り落ちる雨漏り程度の水滴以外の一切が音の概念を置き去りにしていく。一人取り残された椎滝大和の目前でそれは発生した。

 つまり、激しい衝突に伴い放出された衝撃波だ。

 見えない波紋が足元から広がりつつある。未だに大和の手の先から滴り落ちる鮮血も液体の上にぱたりと跳ね落ちて、衝撃のミキサーによってあっという間に混ざって掻き消える。『竜』とキマイラの衝突だ。自らを『普通』の人間と称する怪物と、自らを異能の器に定め知性の大部分を一時的にとはいえ失いながら戦い続ける戦闘マシンの激突とは、ましてや真の一般人が付いていけるはずもない。

 ただあるのは、自分がキマイラと名乗った少女に守られているという実感だけだった。


(畜生っ)


 情けない、なんてもう思わない。

 出来ることと出来ないこと。冷静に判断したうえで行動してこその『異界の勇者』だ。適材適所と言う言葉の通りに、まず椎滝大和自体に対した戦闘能力も悪魔じみた計算能力も戦況を一変させる頭脳も無いことは自分が一番わかっている。

 だから大和は引っ掻き回すことにした。一対一で均衡する状況を僅かでも傾けたいのなら、二対一に持っていく必要はない。0.1でも或いはそれ以下でも、僅かな重心の偏りでも生み出せればそれでいい。そのほんの些細な偏りが状況を一変させる鍵となるのだから。

 大和はまず血の赤で染まった両の掌を振り回す。当たろうが当たるまいが知ったこっちゃない。とにかく『竜』の行動の選択肢を狭めたり、行動のパターンを少しでも解析する手助けになればいいだけなのだ。例え『竜』にとって回避するまでもない程度の攻撃だとしても、だ。些細な一手が敵将を討ち取る足掛かりとなった例など、歴史を漁ればどこにでも転がっているように。激痛を堪えながらもしっかりと握りこんだ拳を、勢いを付けて四肢を得て三次元的攻撃を繰り返す『竜』の顔に向かって突きつける。


「当たらなくてもいい。踏み台の一つに成れるならそれでッ!!」


 予想に反して、四肢を得、物理的な攻撃を可能とした『竜』が回避行動をとった。直前にまで迫っていたキマイラの徒手空拳からリソースを割いてまで大和の真っ赤に染まったのろまな拳を、首を傾けるだけで回避する。

 そしてその僅かな隙、『普通』を装う怪物は見逃さない。

 力強くも女性らしい声が充満する。


()()()()()()()()()()()()()()()ッッ!!」


 その一言は大和の心臓を飛び跳ねさせるには十分すぎた。

 トリガーとなるボタンを指で軽く圧して、その器具を自身の頭蓋に突きつける手順を一瞬でこなす。一瞬にして、『キマイラ』の肉体に『シズク・ペンドルゴン』がインプットされていく。姿形は変えられずとも。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 部屋全体を覆い隠す液体の水を個体へ。

 吹雪吹き荒れる星の極の如き冷気を帯びたキマイラの肢体が、お手本のように『竜』へと滑り込んだ。


「ハアアアアアアアアアアアアアッッッ!!」


 ドゴバキメギグシャガゴゴバァァァッッ!!と。

 その音は人の拳や脚力が織りなすにしてはあまりにも暴力的だ。シズク・ペンドルゴンの冷気を帯びた手刀や蹴りは『竜』を瞬時に凍てつかせ、凍り付いた場所から勢いと力のままに打ち砕いていく。

 実際に攻撃が加わった時間は五秒にも満たなかっただろう。

 降り注ぐ流星の通り道の如く、『シズク・ペンドルゴン』をインプットしたキマイラの攻撃の後には何も残されない。かつてイナゴの大群が作物を喰いつくしながら大移動を繰り返したように。赤き光灯る双眸ごと凍てつき凍り付いた人型の『竜』が粉々に打ち砕かれて、結晶のように飛び散ったのだ。


「良し!」


 ぱりりん!といっそ弱々しく、薄氷を踏みつけたような音のそばで椎滝大和はガッツポーズをとっていた。砕け散った。粉々に打ちのめされたのだ。あれだけ攻撃を繰り返したところで再生を辞めなかった『竜』も、巨大冷凍庫のような冷風を撒き散らす空間へと変貌を遂げた部屋の中では、再び現れる気配すら消え失せる。

 止めとばかりに、血塗られた赤の手首が何かをがっしりと掴む。

 足元を埋めつくす液体の水へと落下した『竜』だった水の破片。そのボウリング玉程度のサイズを持つ氷塊へと伸びる。それ自体にどんな『異能』の手が加わっていたのか、今ではもう判断のしようもないのだが。後は伸ばした手の先を、固く。

 握りこんで、


「ッッッ!!」


 叩きつけた。

 次の瞬間には、『竜』の残骸など跡形もなく消え去っていた。

 『万有引力テトロミノ

 咎人が触れし万物の高さを、即ち座標の一角を意志のままに書き換え、別空間へと移行させる世界にも両手で数えられるほど存在しない希少な転移系の『異能』

 ()()()()の高校生上がりな椎滝大和にはもったいない、使い方次第でどこまでも化ける可能性を秘めた異能の一角。


「終わっ、た...?」


 疑問形なのは確信がないからだ。


「はあ、はあ。あーつっかれた...戦ってみるもんじゃないっすね自然系の咎人なんて。結局色々と分からずじまいでしたけど、系統は『嫉妬』辺りっすかねえ」

「それより、忘れてた。爆弾、ああホードも心配だ!それにシズク...は心配いらないや」


 聞かれていたなら拳骨でも飛んできそうな会話であるが、『箱庭』の直接戦闘員兼サブリーダー的ポジションであるシズク・ペンドルゴンの拳骨は割とシャレにならない。冗談抜きで頭蓋骨から脳みそが飛び出してもおかしくないのでこれくらいにしておこう。

 それに終わったとはいえ、全てが丸く収まったわけではないのも事実だ。


「ホードさんも大概なんでもこなしちゃいますし、ほっといても心配ないと思いまーす」

「そういえばアイツ、海獣族なんだからばったり『竜』と出くわしてても割と軽傷で済んでたりして。水に強いってのは本人から聞かされてたんだけど」

「そも『未来探索ストークエイジ』をフル活用するだけで問題に対する最適解を導き出せるんですから並大抵のことではくたばらないでしょうよ。あれ?でも確か乱用しすぎると脳がショートして半植物状態になるんでしたっけ。そこんところのデメリットはあたしのと似てるのかな?」


 実際に、椎滝大和は脇腹の傷もほったらかしなうえに新しく負ってしまった両手の裂傷。幾度となく撃ち込まれた攻撃による鈍痛が引いたわけではない。途中参戦のキマイラは特になんともなさそうだったが、どうやら『竜』への攻撃時に多用していた脚から僅かな出血があるらしい。大和のほうはすぐにでも病院に駆け込みたいと思っていた。

 お手製ボーラに使ってしまった包帯を取り除いた脇腹の傷からも現在進行形で流血が進んでいるらしい。既にぼろぼろの衣服もいつの間にか『竜』の液体と自身の流血でびしょびしょに濡れて着衣水泳後のような有様だ。

 いったいどれだけの血液を体外に出してしまったのだろう。考えるだけでも気が遠くなってくる。滴り落ちた血液の大半が足元一帯を埋めつくす水にかき消されているが、ここはトウオウが誇る世界最高峰の技術を惜しげもなく搭載した飛行船だ。緊急時に備えていくつかの輸血パックも常備されていることだろう。

 改めて、全て終えてみて息を吐く。

 本当に危なかったと、客観視してみると一手一手が常に博打のようなモノだ。その状況で使えるものを使って対策を組み上げられる、と言えば聞こえはいいが要するに計画性の無さが露呈しただけ。反省点をいくつ挙げても即座に改善できるわけでもなし。

 ふとキマイラの方を覗いてみるも、どうやら別れてしまったシズクと合流するため連絡を取ろうとしているらしい。

 ザアザアと壁を流れ落ちる滝のような水の流れの中から出口を探そうと、痛む両手で水を掻き分けているときだった。


(あれ...?)


 源泉はただの水だ。この場に存在する全ての水は『竜』によって操作され、『竜』にとって最も都合のいいフィールドを形成していたことは語るまでもない事実。だが、それが。

 何の変哲もない水の、はずだ。


(どうして、まだ水が流れ、て......?)


 ドパアァンッッ!!と。

 爆音が『異界の勇者』の背後を撃ち抜いた。


「が、あ...?」


 息が、漏れる。

 肺から空気以外の熱保つ何かが込み上げてくる。次の瞬間には口から飛び出た鮮血の塊が足元の液体に混ざり散っていく。とっさに、驚いたように声を上げるキマイラは天井を見上げている。


「終わって、なかったんすか!?」


 雨漏り屋根のように水滴滴る天井に、だ。

 両の掌でべったりと張り付き、まるで蜥蜴のような恰好で。四肢を持つ人型の『竜』が大顎の奥を覗かせている。しかし今すぐに行動しようにも時は過ぎ去ってしまっていた。大和の傷は決定的、完璧な不意打ちというのもあるが、大和が受け止めてしまったのは時にコンクリートや鉄筋ビルすらも容易く粉砕してのける高圧の『水』というある意味最悪の自然物だ。

 衝撃でその他の傷口まで完全に開いてしまったらしい。

 ぶり返すように、激痛。

 出血の勢いまでもが打って変わる。びちゃびちゃと撒き散らされる赤と薄れゆく意識の底で、だ。空中に噴き出される血を避けるようにして、『竜』が接近していた。

 もう一度、世界から音が概念と共に消滅する。

 狙ったように手製のスタンガンを脳へと打ち付けたキマイラが跳ねた衝撃だった。自身で掛けた圧によるものか、彼女の脚部に僅かな切り傷から糸を引くように赤が噴き出される。この戦闘においてキマイラが負った初めての明確なダメージ。しかし。

 そんなことで、本当の怪物は止まらない。それどころか、キマイラ本人が自身の掛けた圧による負傷に気付いてない節さえあった。

 グギンッッ!!と。キマイラは勢いよく捻じ曲がっていく『竜』の様子を見届けることなく、慌てたように椎滝大和へと駆け寄っていた。しかし大和は正常な呼吸すらままならないらしい。薄れかけた意識の底で、彼女の代わりに視界へ映しあげた『竜』

 降り抜かれた飛び蹴りの勢いを殺すことなく壁に激突し、そのままぱりぱりと崩れ落ちて滝の一部に混ざっていく。


「ヤマトさんっ!ヤマトさんっ!!しっかり!」


 ぱちんっ!と。

 大和の体のどこかで、ただし目には見えない何かが弾ける音がパズルを組み上げる。

 『竜』の行動については、最も触れあって実際に肉体へ叩き込まれることでパターンを組み上げた。何もしゃべることはないが、それは喋れないから、()()()()

 ここまで追い詰められながらも、彼は必死に抗っていた。


「そういう、ことか」

「ええ?ちょ、待ってくださいよおヤマトさんに死なれたらあたしも困るというかだからそんな死に際の遺言みたいな雰囲気出すのはやめてくださいよおっ!?」

「ここから、離れるんだ......ッ」


 自らの力で立ち上がろうとするも、直ぐに冷たく冷え切った氷水の空間に反して温かい人肌の感触が寄り添って来た。もう一人ではまともに歩くことすらできないと判断されたのか、自分より低身長の巨乳少女が肩を貸してくれたらしい。不覚にもちょっぴり血行が良くなって出血がひどくなりそうだったのでこんな時だから煩悩は心の奥に閉じ込めておくことにする。

 耳元で、少女が叫ぶ。


「離れるってどこへ!?」


 景色に溶け込むようにして復活する幻獣。

 半透明と赤き瞳の『竜』。正しき心と純潔を好み、卑しき生命と不純を嫌う伝説に近い存在を模す何者かの『異能』の姿。

 極限まで高められた憎悪の類が顕現する。

 全てのしっぽどころか、本筋を確かに握り離すまいとする青年は、己の経験が導き出す模範解答を弾き上げる。



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