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終焉の鐘が鳴る頃に  作者: iv
一章
265/268

恒星



 広めの運動場程度の広さの空間、見上げた頭上には黒みがかった深い青色。ぽつぽつと散る光玉も相まってまるで空気の澄んだ冬の夜、山奥でしか見られない星空のよう。

 しかしその実態は発光プランクトンだ。

 外部からの刺激によって光を放つという、装飾の為ただそれだけに造り出された魔獣。彼らの仕事はこの()を内側から照らすことで、それ以外の役割を完全に放棄している。

 ぱんっ!という手拍子の合図一つで光量は自由に調整できる。夜景の如く儚い光は光量を増して、その直下にある空間を昼間のように演出する。

 空間のレイアウトが露わになる。

 白を基調とした石造りの大部屋へ、三角丁利みかどていりは遅れて入室した。

 ややあって、奥の方から歩み寄る人影が声を掛けてきた。


「丁利、二人の容態は?」


 そう尋ねてきた音賀佐おとがさかけるの表情は、半分落ち込んでいるかのように暗いものだった。『らしくないな』と三角は思ったが、直後に『仕方ない』とも思った。

 三角丁利みかどていりは魔獣使いだ。普段から生き物を改造して人工魔獣を作り出してるだけあって、仲間内では生き物の体の仕組みに誰よりも詳しい。

 故に、こうして医者代わりの応急処置を担うことも少なくない。本業では無いものの散々戦場を走り回ったのだ、命の()()は把握しているつもりだった。

 先の戦闘、みんなが少なくないダメージを負った。

 中でも二名。


「良くないよ...特に雲母きららちゃん。赤紙あかしさんも酷いけど、雲母ちゃんが()()()|にやられた首のダメージは一刻を争う。一分一秒でも早く本国に帰って診てもらわないと...」

「帰る?『帰る』だって?ヘブンライトに?三角みかどテメエ本気で言ってんのかよそれ?」


 実端みはじ速人はやとの口調には静かな怒りが込められていた。

 口調どころか表情も、眉間にしわがよって青筋が浮き上がっている。


「椎滝なんかにいいようにやられておめおめと帰れるのかって訊いてんだよオレは!!ええおい!?『異界の勇者』だぞオレらは!!そんじょそこいらの兵隊とは戦士としての格が違うんだ!プライドってもんがあるだろうが!!」

「なにそれ。あなたそれ本気で言ってるの?」

「なんだよ、何か文句でもあるのかよ梨菜なしな。オレは間違ってるか?椎滝を捕まえようっていうオレの提案は何か間違ってるか!?」

「あなたの()()()()()()()のために今なら助かる仲間を見捨てろ、と。あなたは今そう言ってるのよ?あなたが馬鹿なのはわかりきっていることだけどそれを晒さない努力をしたらどうなの」

「......ッ!!テメェ!!」

「落ち着け二人共」


 一触即発だった二人ははっとなって止まった。

 打って変わって、音賀佐おとがさかけるの口調がいつもより強めに響いたからだ。

 周りの他の『異界の勇者』も驚いていた。実端の言動に苛立っていた者も、疲れ果ててそれどころじゃない者も、みんなが音賀佐の方を見た。

 騒がしい教室に一声紛れた先生の咳払いのように、気持ちの悪い静寂。

 それが少し続いた後に、だ。


律動りつどうの言ってることが正しい。...けど速人の言いたいこともわからなくはない。僕だって悔しいさ、作戦に自信はあった。言い訳みたいになってしまうけど異分子イレギュラーが入り込んでいいようにやられてしまった」

「翔殿のせいではない。誰も予想できないでござるよ、あんな怪物が乱入してくるなんて」

「おまけに単独行動の秋冬しゅうとは行方不明、止めに入った春夏はるかも以下同文」

「止めに入ったっていうか、春夏のあれはもう椎滝を庇ってたでしょ?」

「えー...今言う事じゃないないかもしれないが...詩季姉弟に加えて玲転も行方が分からない。連絡役の煉獄騎士とも繋がらないし、あちらさんにやられたとみて間違いないだろう」


 会話へ差し込むように、射日馬乱世が淡々と告げた。

 それに音賀佐が『そうか』と短く返す。

 こんなにいたたまれない静寂を感じるのはいったいいつ振りだろうか。と、その場の何人かが記憶を探っていた。もしかしたら、あの戦争以来かもしれないと、忌まわしい記憶の底に沈めた汚泥を掬い上げかけて、慌てて忘れようとした誰かがいた。

 プオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォン......と、金管楽器のような咆哮が気を利かせたように鳴り響く。

 甲高く、それでいてまったく不快感を感じさせない高級な楽器のようなそれは、一同が集まるこの空間のの声だった。


「......珍しいね、『蛇船ケートストス』が鳴いてるよ」


 ふっ、と思わず微笑を浮かべながら石射稲三いしいいなみが言った。

 空中機動要塞『蛇船ケートストス』。

 『蛇』と名に付くものの、全体像は鯨に近かった。それを麺棒かなにかでこすって伸ばしたような縦長の胴体には四対八基の翼のようなヒレが生え、石射の後天的な改造により空だって泳ぐように飛ぶことができる。

 体表を覆う薄いベールのような鱗は周囲の景色を投影することで、カメレオンのように環境へ溶け込めるので敵に気付かれずに接近することも可能だ。エサの代わりに魔力を適量与えれば活動可能で従順。

 製作者曰く『傑作中の傑作』。

 生物改造のエキスパートで魔獣使いの三角丁利みかどていりと元の世界のあらゆる現代物を魔工学で再現する魔装鍛冶師の石射稲三いしいいなみの合作で、『異界の勇者』の国外でのあらゆる活動の拠点となることを目的に生み出された生物だ。

 『異界の勇者』のいる空間は蛇船ケートストスの『腹』と呼ぶべき部分だった。

 下顎の後部、本来生物に必要不可欠なあらゆる内臓が位置しているであろう部分を、伸長させた胴体の後方へ詰め込むことで生まれたスペースだ。

 加えて、魔装による改造で物理的な給餌や排泄を必要としない蛇船ケートストスに食道は必要なかった。心臓や肺、脳、そのた諸々必要最低限の内臓機能だけ保てればいい。空いたスペースには搭乗員の為の個室や訓練室に割り当てられている。

 金管楽器の咆哮に呼応するように、天井を照らす照明の魔獣がチカチカと明滅する。

 まばらな灯りはどれかが明滅している間も他のどれかは輝き続けているので光量に変化はない。ただ、その光景が今の異界の勇者(じぶんたち)の心境を表しているようで、射日馬乱世は妙に胸がざわついた。


「これから僕たちは三手に分かれる」

「なっ!?」


 区切るように明確に口調を切り替えた音賀佐に、実端が前のめりに突っかかった。


「全員で相手してもやられた敵と戦うのに、更に戦力を分けるってのか!?オレは反対だ!全員で動くべきだ!!」


 『負けた』ではなく『やられた』という言葉を選んだのは実端速人に残ったせめてものプライドの表れだったのだろう。

 本人は無意識だ。だが、彼と十年以上もの時間を過ごした仲間達クラスメイトは気付いていた。

 握った拳がぎりぎりと震えている。

 同じ感情を覚えた者は少なくない、ぽっと出の謎の男にいいように返り討ちにされて、悔しくないなんて言えばそれは絶対に嘘だ。『異界の勇者』でも武闘派に数えられる備文びぶん群衆ぐんしゅう仲津木なかつぎ穏歩おんぷなどの面々は特に、だ。

 皆が音賀佐の次の言葉を待っている。

 それ次第でどちらの言い分に乗るか決めよう、と。武闘派の面々ははらわたの底を這いまわるえもしれぬ感情を押し殺しながら問答を聞いていた。

 

「速人、僕はまだ『戦う』とは言っていないよ?」

「言ったようなもんだろ...!隊を分けるってことは複数の目的へ同時に向かおうってことだ!どこかしらでも最初の目的(しいたき)に狙いを定めてるってことは椎滝と戦うってことだ!!あの化け物は椎滝の協力者で確定してんだから戦闘は避けられねーだろ!!」


 憤慨してまくしたてながらも、以外にも冷静だった実端に仲間達クラスメイトが感心していると、横から草書くさふみしるすが空気を読まず口を挟んだ。


「何故に三手に?『退避』と『追跡』で二手ふたてではござらぬのか?」

「『退避』『追跡』、それから『捜索』だよ。乱世らんせが説明した通り秋冬、春夏、返は行方不明だ。未知が多いこの異国に皆を置いては帰れない」


 正論だった。

 誰も口を挟まない。挟む余地がない。実端と同様の考えを抱いた者も中にはいたが人命を第一とする音賀佐の提案にこれをもって異を唱えれば、瞬間、『勇者』とは真逆の存在に成り果てることを理解していた。


「『追跡』『捜索』のそれぞれのメンバーは後で希望を取ろう。とどめ錐弧すいこは負傷した二人を連れてヘブンライトへ離脱。丁利は四人の移動用に魔獣を用意してくれ」


 思わぬタイミングで名を呼ばれた我高わがたか錐弧すいこ跳飛はねとびとどめが驚いて肩を跳ね上げていた。

 どうして自分たちが?という疑問はクラスメイトも同様らしい。梨菜なしな律動りつどう


「戦闘が得意ではない錐弧はともかく、止を『退避』に配置したのはどうして?雲母きららが離脱した現状で彼女はあたしたちの索敵の要よ」

「だからだよ」


 確信をもって告げる音賀佐に、梨菜が首を傾げる。


「敵には大和が居る。止が索敵の要ということを向こうも理解している。仮に止を連れて戦闘に入った場合、彼女が狙われる可能性は高いと思う」


 なるほど、確かにとみんな納得していた。

 指名された二人も納得したようだった。

 二人の方へ振り返った音賀佐が丁寧に『お願いしてもいいかな』と問いかける。

 あうあうあう...と返答に困っている我高の分も、跳飛が『うん、任せて』と答えた。

 方針は決定した。

 霞掛かっていた今後が明確に言語化されて、失いかけていた闘志のようなものが面々の表情に現れ始める。

 何一つとして口を挟むこともできず、実端は不貞腐れたように腕を組んで音賀佐へ背を向けていた。ふんっ、と苦しそうに笑ってからややあって。


「時々、お前が【蛮勇】だってこと、忘れそうになるぜ」


 実端が絞り出した精いっぱいの皮肉だった。

 投げかけられた本人よりも、やり取りを聞いていた仲間クラスメイトの方が表情を豹変させていた。

 おい!と声を荒げかけた射日馬を音賀佐は片手で制止した。『僕は、毎日噛み締めてるよ』と穏やかに返されて、実端もそれ以上は何も言えず押し黙る。

 【蛮勇】という音賀佐の罪名はいつからか、安易に口に出すことも憚られるタブーとなっていた。

 あの戦争のせいだった。

 六年前のあの戦いを『傲慢と蛮勇の終末戦争』と初めに呼称したのは、確か自国、ヘブンライトの一新聞記者だったはずだ。

 この世界に君臨する七の魔王の一人、『傲慢の魔王』率いる軍勢に挑み、破れ、あまりにも多くを失った『異界の勇者』は戦地から帰還して、その光景に生き残った全員が驚愕して言葉を失った。

 くしゃくしゃに丸められて道端に捨てられていた新聞記事を拾って広げると、今度は泣きそうになった。

 当時から『異界の勇者』を纏め上げ、自らも最前線を駆け勇敢に戦う音賀佐翔は国軍のプロパガンダとして上から利用されることも多く、民衆にもその名と、罪名を広く知られていた。

 それが災いしたのだ。

 国家の為に東奔西走し数多の武勇を意図せず広めていた音賀佐は、マスコミにとっても戦争の敗北を象徴させるに都合のいいプロパガンダとして機能してしまった。

 さも敗戦の全責任が【蛮勇】の勇者ただ一人にあるかのように浮説された。

 本人は気にしていないように振舞っていたが、今に思えば堪えていたのだろう。それも本当にギリギリのところまで。グラスいっぱいに注いだワインは辛うじて表面張力で溢れずに済んでいただけで、あと一滴の悪意さえあったなら、今頃どうなっていたか。

 また、蛇船が鳴く。

 ずっと微かに感じていた違和感の正体に唐突に気付いて、主人である三角は思わずといったように呟いていた。


「怯えてる...?」


 三角の冗談だと思った棟敷とうしき関将せきしょうが薄くバカにするように訊ねた。


「怯えてるって、蛇船ケートストスが?」


 揶揄うような口調を無視し、三角は術式を通じて蛇船ケートストスの心象を覗き込む。

 全身の神経が何十倍にも膨れ上がるような感覚にはいつまでたっても慣れず、五感全てが剥き出しになったような感覚の鋭敏化の直後に身震いした。

 繋がった広大な視界の一点へ蛇船ケートストスは異様な気配を感じ取っていた。


「間違いない...地上をすごく気にしてる」


 地平の先を積乱雲が黒々と覆ってにじり寄ってくるような、漠然とした危機感が膜を成して三角を覆っている。

 感覚を同期させたことで三角も全く同じ悪寒に全身の表皮を突き刺され、吐き気に似た気味の悪さを共鳴させる。

 ずっと蛇船ケートストスは警告を発していたのだと、今になって知る。

 では何に?という三角が覚えた当然の疑問の答えを、真っ先に音賀佐翔は予感する。

 セーフティスペースの出入り口から専用の通路を辿り、口内へ。部分的に石射による魔装改造が施された体内を更に上へ上へと梯子や通路を経由して昇っていくと、潜水艦に取り付けられるような大型のハッチを開けて外へ出た。

 彼は、蛇船の頭上...眼球と眼球の丁度中間の地点に立って遥か先の地上を見下ろした。

 遠すぎて良く視えない。

 一番近い陸ですら六キロほど離れているのだから当然だ。ここは海上、蛇船ケートストスのステルス能力を以てしても敵は未知数。念には念をと見つからないために距離を取った位置。

 きらりという金属的な光の反射が陸と海の境界ギリギリの大地に視えた。


「んー.........」


 少女は、退屈そうに唸っていた。

 遥か水平線へ浮かぶ()を脅かすのに、一番効果的な策を選んだはずだった。

 敵の位置を特定し終えた直後、自分を迎えに現れたヴェルインへそれを嬉々として伝えたところ、彼女は呆れたように眉間を指で押さえるような仕草をしていた。


「暇っ!!っていうか狭っ!!いくら何でも準備に時間かかりすぎよ!」


 暴君が騒いでいる。

 通信越しにそれを聞きながら、従者ホード・ナイルもまた呆れて大きく息を吐き、肩を落としていた。

 電子音が連続している。


『突拍子もない馬鹿げたアイディアに協力してあげてるだけでも感謝してほしいくらいですよ。ずっと使っていなかった物だから準備に時間が掛かるというのも前もって伝えましたよね』


 呆れを通り越して若干の怒気すら含んでいる。

 シズク・ペンドルゴンはそれをつまらなそうに聞き流す。

 完全な暗闇に覆われた細長い円柱状の空間で、少女は体育座りをしてその日の内に経験した素敵な出会いを振り返っていた。

 自分の話などちっとも聞いていないと態度から察したホードの口角が吊り上がったことを、そこそこ長い付き合いのシズクもまた何となく察知した。


『...一応言っておきますけど、貴方が乗り込んだ()()は平和転用兵器の一種です。干ばつ時に微細なドライアイスを詰め込んだ砲弾を上空12000メートルへ撃ち出すことで空気中の水分の凝固を促し、人工的な降雨を促す気象操作用加速輸送砲(マスドライバー)。断じて!搭載物を亜音速で発射して耐久対加圧を測る測定実験機だとか、ましてや乗り遅れを二時間前に飛び立った飛行機まで送り届ける人員輸送装置とかじゃない!!』


 加速輸送砲(マスドライバー)と言えば聞こえはいいが、実際には砲弾は大気圏外まで脱出することも無く、惑星の範囲内で物資を撃ち出すことに特化した大掛かりなピストン式の砲台だ。要するに大掛かりな迫撃砲のようなものだと、持ち主のあーだこーだを聞き流したシズクは勝手に解釈していた。

 狭い壁面を手のひらでなぞると均一な太さと深さの溝が皮膚を過ぎる。

 一つ一つに機能面での意味があって、無くしてはいけないものなのだ。砲塔内での空気圧の拡散方向がうんぬんと自慢げに話していたホードの姿を思い出す。

 通信魔装で繋げた先、やや薄暗いコントロールルームで指示を受けていた当のホードはというと、シズクよりも自分の大切なコレクションの方が心配でたまらないようだった。

 そわそわという焦りが魔装越しの息遣いからでもわかりやすい程にシズクへ伝わってくる。デスク一体型のコントロールパネルを指でなぞり、弾き、リアルタイムで微細な角度調整を終えて言う。


「っていうか壊さないでくださいよせめて!私物ですからこれ!バカ高いんですから!!」

「あっ唇の皮剥けた。乾燥かしら」

「聞いちゃいねえ!!」


 状況の割に驚くほど間の抜けた少女の声。

 直後に、ギュイン!!という電子音を伴い巨大な筒が動き出した。

 やっとか、とシズクが立ち上がった。

 『合図も遠慮も要らないわ、さっさとやってちょうだい』とだけ伝えると、間もなく待ちわびた瞬間が訪れた。

 頭のてっぺんから足の裏まで突き抜けるような重圧と衝撃に遅れて、膨大な熱が細胞の一つ一つへ浸透するような感覚があった。

 瞬間、シズクの瞳に映る世界が炎と光に明滅して、広大な大空へ跳ね上がる。

 ボッッッッッッッ!!!!と。

 砲が空間を捻じ曲げたかのような音と共に少女を打ち上げたのだ。

 空気摩擦で全身が焼け削げる。熱したヤスリを超高速で皮膚へ押し流され続けるような、常人が発狂死しかねない激痛と呼ぶ事すらおこがましい痛みの暴風雨。

 逆に、その痛みを、『生』の実感だと楽しむかのように。

 遥か先の正面の景色に魔獣の頭を捉えた高さまで上がってきて、シズクは眩光を解き放った。加速は止んで空中で制止する。

 音賀佐翔だけが唯一...観測者足り得た。

 ()()()()()()()()

 次の瞬間には眩い純白に転じたエネルギーは命を照らし育む恒星のようで、森羅万象を焼き尽くす恒星のようでもあった。

 生と死の象徴。

 決して相容れることのない両極を一身に押し込め、かつそのどちらにも振舞えてしまう究極の理不尽。まさしく太陽のような、万象の介入を一切赦さない絶対的な『力』の形。そんな感想が音賀佐翔の頭の片隅に湧いて、直後に閃光に照らし殺された。


「『まもれ』ッッ!!→"死――――――...


 『異界の勇者』の誰かの瞬きの刹那、純白の色彩は流星となって地と平行に巨鯨を射抜いた。

 轟王を通り越し、空間は逆に凪いでいた。

 眼前で炸裂する落雷のように。



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