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終焉の鐘が鳴る頃に  作者: iv
一章
255/268

包囲網共同脱出作戦其の二

今回からたまに、あとがきで能力紹介的なのをやろうと思います。わかりにくい能力とかは特にね



 鼓動の音をその耳で聴く。

 椎滝大和までもが、だ。それは彼が『箱庭』という存在を深く知っているが故の、そこに属しているが故の葛藤。

 目の前の男は明らかに、『箱庭』というワードに並々ならぬ反応を示した。『その名前聞いたことある!!』みたいな有名人に群がる野次馬的なノリじゃなく、正しく『箱庭』の意味を理解する者の反応だった。

 ()()()()

 『箱庭』は社会の影に潜む組織で、ならばあらゆる依頼の過程で恨み辛みを買うことも当然ある。所属していた組織を潰されたとか、表沙汰にできない事業を妨害されたとかだ。そういった連中からの襲撃も少なくない...と、先輩たちからは聞いている。

 誰かにとっての正義は誰かにとっての悪というのは、たしか大昔に育ての親が見せてくれたアニメか何かで聞いたセリフだったか。革命家は国を憂える民衆には英雄でも、幸福に暮らす民衆からすればテロリストも同然であるように、誰かからの賞賛は誰かからの怨嗟の上で成り立っている。

 賞賛と同時に同じだけの怨嗟を背負い、箱庭は存在する。彼が反応した理由がそれなら―――...。


「......だと、したら...?」


 手札の無い大和は賭けるしかなく、結果、最善を引く。

 下手に誤魔化して否定していれば、或いはアルラも強硬策で無理やりに情報を引き出そうとしていたかもしれない。

 アルラの口角が吊り上がった。

 半分、無意識だった。ずっと行き詰ってたゲームで隠しアイテムを見つけたような、そんな純粋な喜びが現れただけの、たったそれだけの反応。

 心は踊っていた。

 片手で顔を覆って笑みを隠そうとしても吊り上がる口角を下げられない。こんな状況だというのに、今が楽しくて仕方がない。夏休み一週間で宿題を終わらせた小学生みたいに、期待が血管を巡って全身へ行き届くのを感じる。


「なあ。お前名前なんていったっけ?」

「...椎滝、大和」

「オーケー大和...契約だ」


 もしもっと普通に出会って普通に交渉していたら、恐らく大和こいつは拒絶していた。

 自分を危険に晒しても、だ。飛行船の一件だけでも椎滝大和がどういうタイプの人種かは推察できる。情に熱くて仲間想い...もちろん実力差もあるだろうが、異界の勇者(かつてのなかま)にロクに反撃出来てないのがいい証拠だ。

 そんなライトノベルの主人公みたいな性格の奴が『仲間に逢わせろ』なんて仲間を危険に晒すような要求を呑むはずがない。いや、()()()()

 だが今の椎滝大和には選択肢がない。

 アルラ・ラーファに頼る以外に、この場を切り抜ける手立てがない。そこに付け入れば―――。


()()()()()()()。奴らを撃退しろっていうなら()()()()()。代わりに俺を...『箱庭』の()()()()()()()()()()()()()()


 それは交渉という皮を被った一方的なお願い(オーダー)だ。

 唐突な申し出は既に満身創痍の大和の頭脳をいとも簡単にショートさせた。というより情報量のゴリ押しで脳みそが処理に手間取っているようだ。

 ならばと畳みかける。

 情報量を処理しきれてないうちに、頭を冷やして冷静になる前に更なる情報を叩き込む。


「早めに言っておくぜ大和。俺はお前にも『箱庭』にも危害を加える気は無い、勿論シズク・ペンドルゴンにも...だ。恨みがあるとかそういうのも違う、俺はシズク・ペンドルゴンなんて姿()()()()()()()()()()


 天秤を用意したのはアルラだ。片方の皿には大和が、もう片方には『箱庭』の仲間たちを乗せている。どちらに傾くかは大和の決断次第で、アルラはなんとしてもそれを大和側へ傾けなくてはならなかった。

 鋼鉄の羽の音が徐々に迫ってきている。

 上空から建物という外壁を徐々に削って近付いてきている。やがてここへ到達する、機関銃ばりに降り注ぐ羽に、いずれ二人は削り取られる。

 焦り(それ)すらも燃料だった。天秤を大和の側へと傾けるための重し...椎滝大和という生き物の本能を刺激するための着火剤だ。


「..................ッッッ!!」

「どうする?ここで死ぬか、それとも俺を使って生き延びるか。選ぶのはお前だ、お前が言うんだよ!!


 無言。

 天秤が激しく動き続けているのだろう。俯いた大和の表情はみるみる険しくなっていき、無意識のうちに拳を固める力が強くなっていく。

 もう一手だな、とアルラはこれまでの会話の中から使える手札を探し、そして何の気なしに呟いた。


「......お前が死んだら、奴らは次にお前の仲間を狙うかもな」


 さっきまでの会話に潜んでいたある種の地雷だった。

 駅前に居るという仲間。つまり寿ヶ原小隈は、カフスという拘束具を身に着けている。そしてそれは大和かシズクの端末の信号を受け取って起動する。

 忘れちゃいけないことだった。

 ()()()()()()()()()()寿ヶ()()()()()()()


「......妙だね」


 上空、旋回を続ける巨鳥の背に立ち、音賀佐おとがさかけるは見下ろすように下界を観察していた。


「...何が?」

「大和さ、追い詰められていながら一向に動かない。彼の『万有引力テトロミノ』なら完全な対応とまでは無理でも、地面を引っぺがして弾避けを創るくらいできるはずだ。何か企んでいると考えるべきだけど、正直予想つかないね」

「未確認のもう一人も気になるしな~...逃げ遅れた一般人とかじゃないならめんどくさいぜマジで」

「単に『手立てがなく動けない』のでは?不用意に異能を使えば拙者たちにより正確な位置を示すだけでござる」

「『死体でも構わない』は吹っ掛け過ぎよカケルちゃん。あーんな風に言われたらあっちも白旗上げずらいって」

「......つかよぉ。もうめんどくね?椎滝如きにビクついてよぉ、ちまちま空から放射攻撃ってのも馬鹿らしいぜ。最初っから全員で囲んでフクロにしちまえばよかったんだ」


 赤紙朝平あかしちょうへいのいつもの悪癖をスルーする者もいればそうでない者もいた。


赤紙あかし、念には念をだ」

射日馬いくさばぁ~...何お前ビビってんの?オレたちの、今の、敵が誰だかわかってる?」

「『()()()()()()だ。おまえこそこの作戦の重要性を分かってるのか?緩み過ぎだ、ガキの遠足じゃあるまいし」

「あぁ?」

「ちょっ!やめなよ二人共こんな時に...っ!」

錐弧すいこの言う通りだ。みんな集中しよう、相手が誰だろうと僕たちは―――」


 ジュゴッ!!?と、会話を遮りみずみずしく何かが爆ぜる。

 直後の、絶叫。

 キイイイイイィィィィィィィィィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイッッッ!!!!と、異界の勇者を乗せた巨鳥が叫び、傾く。

 ぽたぽたと雨のように顔に垂れた水滴を手で拭った音賀佐が初めて状況を理解する。拭った手にべったり広がる赤黒い液体。それは、巨鳥の背中から噴水のように噴き出したものだった。

 飼い主(?)の三角みかど丁利ていりが悲鳴を上げている。傷口の方へ駆け寄ろうとしていた彼女を、他の異界の勇者(なかま)が止めていた。

 この地(トウオウ)に来て初めて『危険』を察知した音賀佐は叫び、仲間へ危険を知らせた。


「砲撃だッッ!!」


 ジュッジュゴッッ!!と拳大の何かが巨鳥を貫通し続け、彼方へ飛んでいく。

 巨鳥の頭を砕き、迫るそれを寸でで切断した音賀佐が見極めた砲弾の正体は、眩く極彩色に光を放つただの瓦礫の欠片だった。

 がくんっ!?と足場が傾く。

 力なく墜落し始めた巨鳥の背に乗っていた二十名弱が振り落とされる。

 彼らを待っていたのは落下という、ただそこにあるだけの無機質な『危険』だ。空気抵抗や姿勢で多少数値がばらけはするが、500メートルの高さから落下した場合着地までにかかる時間は凡そ十秒前後。着地時の衝撃は人間一人を殺すには十分すぎるどころか、コンクリートに大きな陥没跡すら残して道路全体をひび割れさせる。

 しかし、焦りこそすれど真に危機と感じていた者は少なかった。

 ある者は代わりの魔獣を召喚しハンググライダーのように落下から滑空へ切り替えることで難を逃れ、またある者は全身を包む空気の流れをズラし、あらゆる角度からの空気抵抗力を底上げして安全に着地しようとした。

 音賀佐翔も、だ。


「『固まれ』→"空気"」


 地面から上空まで、塔のように一直線に固めた空気へ宝剣を突き立てる。ギャリギャリギャリギャリッッ!!ととても空気から発するとは思えない音を伴い、徐々に速度は落ちていく。

 落下中の仲間を見た。

 誰しもが着地に備える中、山尾雲母やまおきららだけは別のものに気を取られているように見えた。いいや、彼女の事だから『聞こえた』のだろう。無生物に訊ねて、帰ってきた警告が落下よりもまずそちらへ意識を裂かせたのだろう。

 誘導されるように彼女の視線の先を見ると、そこには薄汚れた灰色の頭の知らない男が立っている。

 違う、構えて...ッ!?


「『神花之心アルストロメリア一点集中ワンポイントブースト...『()』」


 ズドンッッ!!と、衝撃が空を伝わり空を翔けた。

 瓦礫が貫いたのは、奇しくも誰よりも自信をもってこの任務にあたっていた赤紙朝平あかしちょうへい。ごぽぉ...ッ!!?と液体混じりのくぐもった嗚咽は、次の瞬間には本人と共に彼方へ吹き飛ばされていた。

 誰かが咄嗟に赤紙を呼んでいる。返事はなく、空中で吐き出された血液がびちゃびちゃと撒き散らされる。

 あれは、敵だ。全ての異界の勇者がようやく共通の認識を得て、しかし緊張によって極限に引き延ばされた走馬灯のようなスローな時間の中で、灰被りの男の口が言葉を紡ぐ。


「...『()』」


 質量を備えた突風は着地直後の勇者を襲う。

 轟ッッ!!と。ストリートのあちこちに足跡と亀裂を残し、隙間を縫うように『異界の勇者』を潜り抜けた。

 各々の方法で地面へ降り立った全員が風の行方を捜し、ストリートの入口を示すアーチ状のゲートの上に見つけたそれは紛れもなく人の形をしていて、吊り上げた手の中に仲間を一人掴み取っていた。


「山尾ッ!!」


 誰かが叫んで、ぺきっ!!という枝を折るような乾いた音がした。

 山尾雲母の一切の抵抗が消え失せる。ぐったりと四肢が力なく垂れさがって、投げ捨てられた少女は車両の残骸の上に落下しても何の反応も示さない。


「ひっ...!!」

「嘘だろ...!?」


 場が敵の空気に呑まれかける中、音賀佐は固めた空気の壁から宝剣を引き抜きながら周囲へ声を張り上げる。


「総員警戒ッ!!」


 カカッカッ!!とチョークでコンクリートに陣を引く。加えて、どこからか持ち出した巨大な両手斧を手に飛び掛かる者もいた。

 音賀佐が咄嗟に動いた二人の勇者を制止しようとして、しかし二人はそれより速い。チョークで引いた陣が影と重なり、生まれたのは羽虫のような羽を備えた真っ黒なハリネズミ。外見的にはウニに近いが、回転しながら針の先端から酸を分泌する姿はこの世のどの生物とも合致しないだろう。

 無数に沸いたそれがアルラ・ラーファを取り囲み、球体状に包み込む。中心へ集まろうと群がるハリネズミの群れへ、草書記くさふみしるすは躊躇う事なく両手斧を振り下ろした。

 さながらスイカ割り。真っ黒な球体が中央から真っ二つに裂け、連続して縦横斜めとハリネズミの集合体を中身ごといくつかのパーツへ斬り分けた。

 トドメに、紫炎が焼き尽くす。

 射日馬いくさば乱世らんせ。突き出した照準の左腕に沿って、右手の親指をマッチのように擦りつけ着火する紫炎は形状温度共に自由自在。更にはハリネズミの酸に引火すること大爆発を引き起こし、アーチは球体状に空間をくりぬかれたかのように焼け飛んでしまう。

 一連のコンビネーションは、時間にして五秒も掛かっていなかった。


「......ッ!上だッ!!」


 そして降り立つ影が居た。異界の勇者たちの中心、着弾点に亀裂とクレータが生じる。

 風圧がそこから全部の方向へと広がって、着地と同時に限界まで押し込んだバネのように体を縮こめていたアルラが『神花之心アルストロメリア』を共に溜めた力の全てを開放することで生じる二度目の暴風があった。

 靴の裏が宝剣の剣身と重なった。咄嗟に防御を間に合わせて音賀佐を、しかしアルラは更なる強化をもって弾き飛ばす。

 ビリヤード、もしくは糸で吊るした鉄球の衝突実験を想像するのが最も近い。

 アルラが移動に開放した全ての力を押し付けられて、音賀佐翔は先ほどまでハリネズミが群れていたアーチの真下まで軽々と吹っ飛んでいった。


「ッッ!!」


 その場で静止したアルラを取り囲んで、異界の勇者たちは各々の武器を構えた。

 最低十メートル、アルラから最低でも十メートルを目測で測って距離を置いている。敵の基本戦略が近接戦闘だと割り出す咄嗟の判断力は流石だが、しかし余裕の態度を崩さないアルラに誰も手を出そうとしないのは、現状が向かい合ったカウボーイのような膠着状態の均衡を自分たちの方から崩さないようにするためだろう。

 彼らは異界の勇者。数多の戦場を駆け、数多の敵を討ち取ってきた歴戦の兵。ならば当然知っている、稀に現れる...圧倒的な自我を主張する『個』がもたらす被害の痛みを。

 下手に均衡を崩せば、全滅とまではいかずとも手痛いダメージを被るのは自分たちだと。


「(かっ、囲んだよ!?今なら、全員でやれば...!)」

「(よせ我高わがたか!よく考えろ、囲ませられたんだ。対角線上に味方を置いて、おれたちが下手に攻撃できないように...!)」


 そんなひそひそ声の相談すら聴きとれる。いざとなればこの位置から最低でも三人は仕留められる。これは自信でも過信でもない。今の時点で出そろっている情報データに基づく冷静な分析だ。

 そう考えた根拠の一つは、『神花之心アルストロメリア』の新技...一点集中ワンポイントブースト

 トウオウの無法者...無機物ゾンビの群れ。それらで出力調整を繰り返して完成へ至ったこの技は、いわば()()()()()()()()()()()()

 満遍なく割り振っていた『強化』を文字通り一点へ集中する。レーダーチャートの五角形を一ヵ所へ絞り込む荒業は、これまで以上に万能な状況へ対応するための切り札となる。


(しかしまあ、()()()()()だな)


 前腕を縦に奔る赤色の線、滴る血と痛み。辛うじて皮膚一枚で済んでいるのは、単に運が良かっただけだろう。実際、斬られた瞬間すらこっちは認識できなかったのだから。

 傷口が風に吹かれて初めて痛みを認識するほどの切れ味に、強化した動体視力ですら見切れないほどの剣速。

 つまり、目下一番の問題は――――――。


「何者かな?君は」


 かつ、かつ、と足音が一歩ずつ。軽く振るった剣先から獲物の血が飛び散って、宝剣は銀に輝きを放つ。

 音賀佐翔おとがさかける、異界の勇者を束ねる者。

 宝剣に認められた【蛮勇】の勇者。仲間の勇者たちにすら『異能』の情報開示を上から禁じられている、ヘブンライト王国の最高戦力の一角。契約者から与えられた前情報、いわく。


「『箱庭』レベル、か」

「?」

「...いや悪い、こっちの話だ」


 一軍事国家の最高戦力と同格扱いの『箱庭』連中に驚くべきか、他でもない『箱庭』メンバーからそんな連中と同格扱いされた目の前の男に驚くべきか。

 何にせよ、だ。


「何者か...いやそんな名乗る程のもんじゃねェけどよ。一応名乗っておくと俺の名前はアルラ・ラーファ、訳あってあんたらをボコボコにぶちのめすことになったごくごく普通の一般市民だ。以後よろしく」

「音賀佐を初見でぶっ飛ばす一般市民がいてたまるかよ...ッ!!」

「なるほどアルラか。そうだね、君ほどの強敵は久しぶりに見る。覚えておくよ」

「そりゃどうも、他に質問あるか?()()()()()()()()


 『始める』。その一言にただでさえピリついていた空気が帯電するかのような熱を帯び始め、あちこちでズリズリと靴底の擦れる音が連続する。

 べきべきべきっ!!とアルラは何の気なしに首を鳴らしていた。準備運動でもするかのように手足をぶらぶらと振り回して、縦に切れ込みを入れられた右腕を誇示するように見せつけ、極彩色が包み込む。

 血が止まり、割れた皮膚は徐々にその裂け目の深さを失っていき、やがては。


「...傷が!?」


 癒える。

 これくらいならものの数秒で。

 勿論、『神花之心アルストロメリア』の応用。普段から散々使い古した『寿命』を代償とした治癒力の強化だが、タネを知らない初見の敵からは未知の再生能力としか映らない。

 数で負けなら空気を支配しろ。

 集団意識に『脅威』を植え付け無敵の強敵を演出すればいい。いくら歴戦の兵士でも、リーダーが初動で後れを取ったという事実を突きつければ否定はできない。

 ましてやそれが、『強さ』において誰よりも信頼できる音賀佐翔ヤツならなおさらだ。


「質問、か。そうだね、まだあと一つ訊きたいことがあるけれど、いいかな?」


 余裕の態度は崩しちゃいけない。

 何よりもまずいのは、二十名弱の勇者全員が冷静さを取り戻すことだ。

 早々に一人を潰したのは焦りのトリガーを作るためというのが理由の一つ。もう一つの理由は、索敵の要だという山尾雲母ゆうしゃを真っ先に潰して()()()()()()


()()()()()?」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()



能力紹介 山尾雲母やまおきらら


能力:【自棄】の異能『物体交信テレパスアンテナ


感覚拡張系の異能。物質の記録を『声』という形で受信する能力。ただし、咎人である山尾の意志とは無関係に自動オートであらゆる物体から声を受信し続けてしまうため、普段はピアスに偽装した遮音魔装で自分が指定した物体や人物以外の声を遮断している。発現当時、二十四時間四方八方から聞こえ続ける『声』に精神を病みかけて以降、極端に大きい音を聴くと半狂乱に陥るようになってしまった。

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