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悪女と呼ばれた私、転生先でも悪役です  作者: 小乃マル


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14/44

ある悪女の話③

本日、8:00と16:00の2回更新です。

【連載 vol.3】悪女:金成かねなり絵莉朱(えりす)の学生時代①



〈前回の記事は こちら 〉


 関わる者を次々と不幸に陥れる、“稀代の悪女”こと金成かねなり絵莉朱(えりす)

 太田(おおた)(じゅん)さんを継父に迎え、やがて東京都内の公立中学校に進学した絵莉朱は、“悪女”としての片鱗を現すようになる。


 当時の学校の様子を知る関係者はこう語る。

「大人に対して反抗的な態度をとる子だと聞いていたので、学校としても警戒していた、というのが正直なところです。担任にも、ベテランの厳しい先生をつけていました」


 その甲斐あってか、絵莉朱は派手な見た目ではあったものの、しばらくは特に問題を起こすこともなく、静かに生活していたという。

 しかし、三年生に進級したばかりの時に、事件は起こった。

 同じクラスの男子生徒との間で発生した金銭トラブルだ。


 我々は、当時絵莉朱と同じクラスに在籍していたという女性に話を聞くことができた。


―――当時の絵莉朱は、どのような人物でしたか?

「見た目は派手で目立っていましたが、特に印象に残るような子ではありませんでした。仲が良い子も、いなかったんじゃないかなあ。いつも一人で、机に突っ伏しているような子でした」


―――絵莉朱に関して、何か悪い噂があったりは?

「噂はありました。先程も言いましたが、派手な見た目でしたし、当時から整った容姿をしていましたから。『柄の悪い仲間と夜遊びしているらしい』とか、『援助交際してるのを見たって人がいるらしい』とか。どれも信憑性に欠けるものばかりでしたけど」


―――“金銭トラブル”とは、具体的にどのような?

「クラスの大人しい男の子に、絵莉朱がお金を要求していたのです。顔面蒼白のその子が、震える手で絵莉朱にお金を差し出しているのを、私もこの目で見ました。一万円という、中学生にとっては大きな額だったので、クラス全体が騒然としたのを覚えています」


―――つまり、“カツアゲ”ということでしょうか?

「まあ、本人達は否定していましたけどね。男の子の方も、多分報復を恐れていたんでしょう。その後、当事者の親を交えた話し合いが行われたみたいで、どういう形で決着がついたのかまでは知りません。ですが、後日行われた学年集会の内容から考えると、そういうことだったんでしょうね」


―――事件後の様子は?

「絵莉朱は学校を休むことが多くなりました。大問題になりましたから、さすがに居づらくなったんだと思います。学校の先生達も、絵莉朱が来る時にはピリついていましたね。そういえば、その時の被害者の男の子が、少し前に弁護士になったと聞きました。この事件がきっかけで、目指すようになったとか」


 我々は、事件の被害者である男性の家にも取材に向かったが、男性から話を聞くことはできなかった。

 しかし、対応してくれた男性の母親が、「あの事件については思い出したくない」と言っていたことから、いまなお事件が被害者家族の心に影を落としていることが伝わってきた。


 一般的に見れば、金銭的にも恵まれた環境にあった絵莉朱が、なぜこのような事件を起こしたのか。

 本人がいない今となっては、知る由もない。


 子どもの頃から周囲を巻き込み、多くの人間の心を傷つけてきた“悪女”、絵莉朱。

 次回も絵莉朱が学生時代に起こした事件について、引き続き取り上げようと思う。



【連載 vol.4】に続く




取材/山田

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