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死の勇者TS陰子は異世界帰還者である  作者: ぎあまん


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96 王国編 プロローグ


 そこまで寒くもないクリスマスイブの早朝。

 俺はジャージ姿でランニングしていた。

 学校は休みに入っているし、人の姿も少ない。吐き出す息が白くなるのを楽しみながらたったか走る。

 隣の市との境辺りまで行って戻って来る途中のことだった。


「うん?」


 フェリー乗り場のとこまで戻ってきたところでその姿を見た。

 やぼったい緑のジャージが懐かしい。かつて通っていた中学の物だ。

 朝練に向かう途中か? それにしてはもう遅い気がするが?


「どうかしたか?」

「…………」


 俺の問いに、彼女は答えなかった。

 ぼんやりと海……よりやや上を見る姿勢で止まっている。


「ちょっと……」


 と、肩に手を伸ばしたところで何かの力を感じた。

 おっとこれは……。


「うわっ!」


 俺の手が肩に触れた途端、その子は驚いて全身を震わせた。


「え? え? え!?」

「なにしてんの?」

「なにって……朝練に?」


 混乱している女の子にもう一度問いかけると、そんな答えを返してくる。

 俺は黙ってフェリー乗り場のところにある時計を指さす。


「え⁉」


 時間を確認して驚いている。


「え? なんで? やばっ!」

「気をつけてな」

「す、すいません!」


 よくわからないまま謝って去っていくかつての家族を見送り、俺は白いため息を吐いた。


「いまの、危なかったよな?」


 不自然な動きが空間に満ちようとしていた。

 いまはもう名残もなく消え去ってしまっている。

 だが、わずかに触れた感覚には予感があった。

 あれは……もしかしたら?


「異世界転移か?」


 いまでも誰かが異世界に呼ばれ、そしてすぐに戻ってきているのかもしれない。

 そうやって誰かが、あるいはナニカが、異世界帰還者を量産している。


「なんのために?」


 俺の時とは何かが違う。

 RPG型戦国シミュレーションのような世界で、ユニットのように能力を手に入れ、レベルを上げる。

 勝ち残った勢力に所属していた者だけが記憶と能力を残してこちらに戻って来る。

 そしてこちらの世界では密かに各地にダンジョンが現われ、今度は探索型RPGに参加させられている。

 かつては生きて帰るために。

 今度は物欲を満たすために。


「なんのために?」


 世界は変わろうとしている。

 変化なんて基本は誰の都合も考えない理不尽なものなのかもしれないが、いま起きていることと隕石が落ちて恐竜が滅ぶのとは話が違う。


「いや、違わないのかな?」


 隕石が地球に落ちたのがただの偶然でなければ……だが。


「なにを考えているのやら」


 どこぞでこの光景を観察しているナニモノかの意図なんて読めるわけもない。

 ただ、これだけは言える。


「俺の家族に手を出したら、ただで済むと思うなよ?」


 たとえそいつのいる場所がこの世ではない場所であろうとも。


「必ず見つけて、滅ぼしてくれるぞ」





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