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死の勇者TS陰子は異世界帰還者である  作者: ぎあまん


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「ていうか、俺が行くことに誰も反対しなかったのか?」

「出資者の要望には最大限応えていくのがスタイルですので」

「へぇ」

「……と、いうのは建前でして、お嬢様のことは事前に調べております」

「なるほど」

「剣聖、佐神亮平に認められるような実力者に文句などあるはずがありません」


 そう言って彼は冒険者ギルドのアプリを見せた。

 同類だってことを示すとともに、調べる方法があるということも教えているのだろう。


「ギルドの内部評価を高めると色々と権限を与えてもらえますよ」

「ふうん」

「おや、あまり興味がない?」

「興味がないというか……全体的に胡散臭くないか?」

「冒険者ギルドが、ですか?」

「ギルドも含めて、ダンジョンとか青水晶とか」

「それはわかりますが、それなら我々が見回った状況もまた胡散臭いでしょう? 違う異世界。だけどやらされたことは同じ。作為がないなんて言われたらそれこそ嘘です」

「つまり?」

「神に逆らうのは不可能。なのでこの変化がどのようなことになるのか、それを慎重に見守るしかない……といったところではないですか?」

「なるほどね」


 ミニバンに乗るなり、俺とアーロンはこんな会話をしていた。


「それより、そろそろ千鳳のことを話しませんか?」


 言い出したのはアーロンだった。


「彼女が話したそうにしているのですが?」


 千鳳が後ろの座席で少し困った顔をしている。

 別に意地悪をしたかったわけじゃない。

 あえて聞く気がなかっただけだ。


「翼人ね」


 俺がそう言うと千鳳がびくりと震えた。


「俺が気になってることといえば元からの地球人なのか、それとも異世界から来たのか、ぐらいだな。ああ、後、翼は収納してるのか? もしかして切ってるとか? ちなみに原住民だろうが移民だろうが翼人だろうが人間だろうが、それでいままでより扱いが悪くなるとかいうことはないから」


 ていうか、千鳳さんにとって俺は爺さんの孫っていう扱いだろ?

 俺の態度を気にする必要もないと思うが。


「あ……祖父の話では古くから地球にいる種族です。翼は隠しています」

「ふうん」

「あの……本当にそれだけですか?」

「それだけかな」

「でも……」

「あのさ、千鳳さん。俺って異世界に行って帰ってきたりしてるんだぜ。それに比べたら実は地球にも翼のある人がいましたなんてそんなに驚きの要素はないと思うな」

「う……」

「こっちにあるファンタジーな小説とか映画とかの大本のネタとかが他にも実在するのかもって考えるだけじゃん? 翼人ってことは翼があるんだろ? それなら日本なら天狗、西洋なら天使の元ネタ扱いされてたかもとか?」

「ええと……あの……」

「そんなことより戦闘は大丈夫なんだよな?」

「え? なにか確かめていたのでは?」

「能力値は確かめたけど詳しくは見てないよ。常人よりは強いよな」

「戦闘能力に関しては私が鍛えていますので安心してください」

「傭兵として?」

「もちろん」

「ならいいんじゃないかな? ミスターが指揮するんだろ?」

「お嬢様は独自に行動されるのでは?」


 アーロンの疑問に俺は「まさか」と笑った。


「そもそも、俺がそこに行く意味がまだ理解できてないしな」

「……国家の危機並の危険な兵器の話ですよ」

「確認できてるわけじゃないだろ?」

「それはそうですが」

「気になるのは敵組織の方だな。なんか強い奴が出てきたら動くよ。それまではお手並み拝見だな」

「「…………」」


 なんだか気まずい空気が流れているような気がするが、これは俺が悪いのか?

 だけど、いきなり呼びつけて謎な新事実を暴露された上にハリウッドのアクション映画みたいな危機を説明されてもな。

 こっちもテンションの上げ方に戸惑うって話だよ。


「気になると言えばむしろうちの爺さんだろ。金持ちだからって色々関わり過ぎじゃないか?」

「それに関しては我々も気になりますが……」

「調べたりした?」

「いまのところ良い付き合いができていますからな。雇い主の腹を無駄に探って不興を買うのも愚かというものでしょう?」

「さいですか」

「大旦那様は鷹島家にとって大恩人です! それが全てです!」


 うん、千鳳はそんな感じな気がするよ。


「やれやれ……」


 今夜は一体、なにがどうなることやら。



†††††


「ゴーはここにいるのか?」

「はい。この山のどこかまで特定し、追い込みました」

「まったく、物を持つ能力だけあればいいものを」

「クラスは斥候からスタートしたようですね」

「そうだ。その後、補給隊員にクラスチェンジした。戦闘には向いていなかったんだな」

「そのようで。とはいえ斥候の時の能力のため隠れることに関しては侮れません」

「それでもここに追い詰めた。別勢力がいるという話だが?」

「はい。山向こうに司令部を作っているようです」

「ゴーを追っているのか? 奴がどこかと連絡を取ったのか?」

「それは不明です」

「敵はなんだ?」

「国家所属の諜報部という様子ではありません。民間の傭兵のようですが……」

「日本で傭兵か? まぁ、こちらも他人のことは言えないが」

「長引くと危険です。どうしますか?」

「……そうだな。まっ、長引かせなければいいんだ」

「はい」

「なにをしてもかまわん。俺たちは今夜中にゴーか、ゴーに預けてあるものを回収して国外に出る。焼こうが消そうが好きにしろ。脱出手段は確保してある」

「了解しました」



†††††


 一時間ばかり車を走らせて目的地に到着した。


「敵は……山の向こうか」


 俺がざっと辺りを見回して呟くとアーロンを迎えた何人かが驚いた様子で俺を見た。アーロンの部下は白人とか黒人ばかりだ。こんな田舎町でこの集団はかなり目立つだろう。

 人避けの結界も敷いてあるのか。現代戦術は柔軟にファンタジーを受け入れているんだな。

 いや、ボスが異世界帰還者なんだからそれも当然か。


「兵気が見えないのか? お前ら戦争屋ウォーモンガーどもだろうが?」

「いや、兵気というのはそういうものではないと思いますよ? 人が集っているときに起こる気流の変化とか、炊煙とかのことでは?」


 アーロンが苦笑を浮かべてそんなことを言う。


「やれやれ……」


 クラスとレベルなんてもので楽をしている連中はだめだな。ぬるい。


「その調子で目標を見つけてくださいませんか? そうすれば我々が楽できる」

「俺が全部解決していいんならそうするが……その時には来年からの契約金の心配をしないといけないかもな」

「ははは、それは手厳しい」


 俺の言葉を本気で受け取っているのかどうなのか。アーロンは軽く笑い、部下から受け取ったタブレットに目を落とした。


「では、まずは我々の働きを見てもらいましょうか」





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