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死の勇者TS陰子は異世界帰還者である  作者: ぎあまん


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159 剣聖君は不幸かもしれない


「うーん」


 サチホちゃんが寝て暇になった。

 時計を見る。

 早朝な時間。

 外ではそろそろ夜が朝に侵食されつつある。


「遅くね?」


 亮平たちのことだ。

『鉤爪騎士団』とチャンバラチャンチャンさせに向かわせたんだが、こんなに時間がかかるはずもないんだが?

 霧をちらりと見る。

 本に夢中だ。

 だが、霧はもう今回の件を俺に投げた。

 自分の役割でないことに関して、霧はあまり干渉しようとはしない。

 未来が見えてしまうということは、それだけ世の中が面白くなくなってしまうということであり、そして面白くない世の中は俺の望むところではない。

 だから霧は沈黙している。

 そういうことだろう。

 とはいえ異世界時代の恩人がひどい死に方をするような事態を見過ごしているとも思わないので、まだ大丈夫であるとは思う。

 だがだが……「まだ大丈夫だろう」と動かない間に亮平がひどい目に遭っていて、それで霧に冷たい目で見下されることになったりも……あ、それいいな。

 いやいや……クランマスター的にはあかん奴かな。


「ちょっくら出てきまー」


 ちょっとな、ちょっと結果を確認するだけ。

 親分が全部終わった後に現場を確認に行くみたいな気分。

 そんなことする奴はだいたい、痛い目に遭うパターンにはまるんだが……。

 俺の場合はどうかな?


「いってらっしゃい」


 あっ、転移する瞬間、霧が笑った気がする。

 心配性めと馬鹿にされたか? それとも掌で踊らされた感じか?


 東京湾のとある場所にできたダンジョンゲート。

 実際に冒険者ギルドにはそう報告して『王国』が独占権を獲得してある。

 だ、が、正体はちょっと違う。

 ダンジョンはダンジョン。

 だけど、ここは本当のゲートではない。

 本当のゲートはもっと別の場所にあって、ここは俺が用意した偽装ダンジョンゲートだったりする。

 はっはっはっ、俺だって色々と遊んでいるのだ。

 あまり長々と放置していると冒険者ギルドから「大丈夫? クリアできない? 独占権解除してもいい?」と打診が来るので適当なタイミングで攻略したと報告して偽装ゲートを消し、また別に偽装ゲートを用意するを繰り返している。

 クランの本部とかにこっそり作っていてもいいんだけど、あまり秘密にしすぎるのも問題だ。

 ここはクラン員に装備させることを決定した新武器なんかを訓練させたり、アーロンに傭兵的な戦い方を伝授してもらったりする場所としても利用しているからだ。

 本命は違うけどな。

 ダンジョンというのはそれぞれで中の様子が違う。

 ここは浅い層が広い間を多用した作りなので、訓練なんかで使うのにベストすぎるのだ。

 都合のいいダンジョンというのはなかなか現れないから、こういうのはできる限りキープしておきたい。

 で、俺がそんなダンジョンをキープしてる本命はなにかというと……


「ここなんだけどな……っと」


 考え事に耽りながらダンジョンを少し進むと、待ち合わせにした場所へと到着した。


『水竜王の寝殿』

#####世界の水竜王の寝所を模した移動式迷宮要塞。内部兵力構成は機密事項。開示にはコードが必要。コードを入力しますか?


【鑑定】の仕事はいつも通り。

 だが、誰の姿もなかった。

 鍾乳洞にいるかのようなひんやりとした空気。うーん、マイナスイオンに満ちておる。知らんけど。

 そしてここにはそんな空気があるだけだ。

 モンスターの発生は俺の配置した無尽歩兵が湧き潰しすることによって抑えてある。

 無尽歩兵を止めればモンスターがここにやって来るので、そいつらで訓練をするという流れだ。

 で、無尽歩兵が叩けば叩くほど青水晶も落ちるので、それもせっせと回収している。まっ、俺の目的に比べれば少量だ。

 世界中で消費された青水晶の残りかすが集まってくれればとっても手っ取り早い。


「ヘイ、カマン」


 俺は無尽歩兵とともに配置している幽灯導師を一体呼び寄せる。

 カンテラを持ったボロキレローブの幽霊という雰囲気の幽灯導師は、数の暴力の極致を目指した俺の死霊軍団の中でもその数の暴力部分を補助してくれる存在だ。

 カンテラから生み出す無数の鬼火を使って様々な働きをしてくれる便利屋だ。


「監視の鬼火は?」

「…………」


 俺が聞くと幽灯導師はカンテラを揺らした。

 ちゃんと記録しているということだ。


「ご苦労さん」


 幽灯導師にアクセスして記録を覗く。

 取り巻きを連れた亜良と亮平&ガールズが同じ場にいる。

 戦闘になる前だな。

 早送りで戦闘は飛ばす。

 殺さずで勝利したらしい。さすが剣聖。

 そこからが不思議だ。

 なぜか亮平たちは先ほどまでの遺恨を忘れたのかのように揃って迷宮の奥へと向かっていった。


「ふむ?」


 これはどういうことだろうか?


「なんか怪しいな」


 映像記録だけではなんとも言えない。

 しかたない。

 ここは白魔法の出番か。

 俺は意識を集中し、この空間の過去へと目を向けた。


「…………なるほどね」


 しばしの時間が過ぎた後、俺は納得の声を出す。


「なるほどなるほど。なかなか手が早いじゃないか」


 まさかこんな風に早くに転がって来るとは思わなかった。


「まぁだが……ここに来たのは失敗じゃないかな?」


 なにしろここは、ただのダンジョンではないのだ。





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