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死の勇者TS陰子は異世界帰還者である  作者: ぎあまん


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153/183

153 世界は動く


 賞金を懸けたおもしろ大会からだいたい半年。

 世界はそれなりに動いていた。

 いまだダンジョン・フローの混乱から抜け出せないヨーロッパ。

 数多の異世界帰還者たちが国を興したことで戦国時代に突入したアフリカ及び東南アジア、そして南米。

 各地で反乱が発生したC国とR国。金さんによる半島統一を良しとしない勢力とに分かれた統一戦争。

 一時的に世界の警察を辞したアメリカはいままで手を出していた紛争から全て手を引いて静観の構えを見せつつ、南米侵攻の野心をちらつかせている。

 そんな彼の国も以前から抱えていた多民族間の問題にかけられた異世界帰還者というソースは刺激的に過ぎ、あちこちで抵抗運動と暴動と反乱の区別がつかない騒動が起きている。

 世界は現在、大量のドンパッチを頬張ったかのようにバチバチしている。

 そしてそういう流れと日本が無関係なわけもなく。

 東京には幕末の京都のようなひりついた空気が流れていた。


「あいかわらず、日本て天皇制から卒業する気はないんだな」


 魔法陣をいじいじしながら俺は耳に入って来たニュースの感想を呟く。

 どこぞで異世界帰還者の集団がぶつかりあったとかそういう話。ダンジョン攻略ではなく政治にはまってしまった連中による争いだ。

 彼らは現政府……というか日本の民主主義をぶっ壊して、天皇を頂いた新たな政治体制を作りたいらしい。

 それって幕府? と俺などは思う。

 そしてまた、そういう流れにいくつかの大型クランが名乗り上げているのがいただけない。


「私欲で覇権を得たいですっていうのを日本人は表に出したがらないよね。そのために天皇って使いやすい存在なんじゃないの?」

「まぁね。まさしく大義名分な存在だしね」


 答えたのはL。

 ここは『王国』の俺の執務室。

 最近は大きな攻略話もないので俺が直接出向くこともなく、他の攻略部隊がピンチになった時に駆けつけられるように待機していることが多い。

 なので暇。

 なので趣味に没頭することにしている。


「ん。こんなもんでどうかな?」

「どう? 火が入る?」

「後はここを繋げて……空間保護の魔法は……効いてるな。よし、起動」


 宙に浮いた高密積層型球体魔法陣は俺の合図を受けて一瞬だけ高い音を鳴らし、その後、青い光を纏った。


「成功だな」

「……うわぁ。既存の科学を嘲笑うこの現象。いまここに世界で最小の宇宙船用推進装置が完成したわけだけど? 感想は?」

「やったぜ」

「はいはい。あなたはすごいですぅ」

「で、こいつがいるってことは?」

「あなたのお望み通り、ガワは出来上がったわよ」

「そいつは重畳。後で受け取りに行くわ。邪魔だろ?」

「邪魔だけど、どうせなら完成まで見学したいんだけど?」

「へいへい」

「だって、OSとかはまだぜんぜんだし」

「そいつは俺の人造精霊が担当するから問題なし」

「でも、こんなの作ってどうするの? ロマン?」

「まっ、九割ロマン。残りは勘、だな」

「勘?」

「そっ、いつか要りそうな気がするんだよな」

「どういう状況なの、それ?」

「さあ? 衛星軌道上から地球全土に向けて大量のレーザーを降らせたりする事態なんじゃない?」

「鬼畜だわ」

「はっはっはっ、人がゴミのようだって……その高度だと人なんて見えないがな!」

「なに、この状況にあなたも勢力として名乗り出るの?」

「まっさかぁ」


 なんでそんな面倒なことをしないといけないのやら。


「名乗り出るなら言ってよ。実験したいブツは大量にあるから」

「俺よりやばい人がここにいるっぽいんですけど?」


 なんてことをやっているとスマホのアラームが鳴り、離れたところに控えていた霧が読んでいたハードカバーを音を立てて閉じた。


「織羽、そろそろ移動しましょう」

「ああ、もうそんな時間か」

「移動。なんの?」

「よその企業のお偉いさんとお食事がてら商談」

「どこ?」

「タケバエナジー」

「日本でいま一番儲かってる電力会社ね」

「そそ、青水晶発電でぼろ儲け」

「そことなんの商談?」

「んふっふっふっ……」

「やだ怖い」

「そこが儲け損なっている物をうちがもらうって商談だよ」

「またなんか悪いことを考えているね」

「いやいや、新規じゃないから。これでも」

「ふうん?」


 訝し気なLに見送られ、霧と一緒に車に向かう。

 本部の前で車は待っているのだが、そこを出た時に大勢に声をかけられた。






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[気になる点] なんとなく完結の始まりな雰囲気がするな
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