139 異世界帰還者の胎動 05
驚愕の事実に驚く。
「え? 俺が本気でそんなことしたと思ってんの?」
異世界転移した連中全員を殺して経験値総取り。
晴れて他の連中よりレベルが高いぜヒャッハー!
え? マジで?
「んなことしてるわけないだろ? なぁ?」
君らもそう思うよね?
と、視線を向けるとクランメンバーの何人かが目を背けやがった。
……おい、待て君たち?
「ぎゃははははは! なんだよ部下にも秘密にしてるのか? だっせぇな!」
「いや、だから違うって……」
ああ、なんかクソどうでもよくなってきた。
「……まぁいいや。それよりもそれ」
話を変えて、俺はええと……こいつ誰君だ?
ネーム:刎橋貴透
レベル:400(限界値)
クラス:人災乃化身
ふんふん。
なるほどね。
「おい! 勝手に【鑑定】するな!」
「まぁまぁ、貴透君。それよりそれ」
怒る貴透を無視していまだに持ってる腕を指さした。
「それ、アオリちゃんの腕、返してくんない?」
いま、気絶して俺が抱えている小隊長の名前は蛍屋アオリちゃん。
元OLの重装戦士レベル68(年齢非公開)だ。
「はぁ? なんでだよ?」
「なんでって……ああ、もしかして、使う気だった?」
「はっ?」
「いや、モテそうにない顔してるからさ。その手でさ、コレする気だったのかなって」
と、俺は空いてる右手で拳を作って上下する。
「なっ!?」
「人の趣味はそれぞれだから別にいいけどさ。アオリちゃんがキモがるからやめてくんないかな?」
「ざけんな! するかそんなこと!」
「ほい、サンキュウ」
投げつけて来たからキャッチしてアオリちゃんの腕を繋げる。
ゼロから再生も可能だけど元自分の腕が転がってる状況ってキモいからな。
「てめぇ……マジでムカつくな」
「ありがとう。お前みたいなのに好かれるって、ナメクジにキスするよりキモいからそれでいい。嫌っていて」
その方が潰す理由ができるから。
「っ!」
顔が真っ赤な貴透君をにやにやと見つつ、俺はわざとらしく指を鳴らす。
それで出てくる【無尽歩兵】たちをボス部屋に雪崩れ込ませる。
ケチが付いたからさっさと終わらせてしまおう。
「それで、貴透君。なんの用だっけ?」
「お前に挑戦する」
「なんで?」
「英雄ぶってるお前が気に入らないからだ。オレと同じ虐殺者のくせにそんなことないみたいな顔しやがって。お前の真実を世間に晒してやる」
「わあおもしろーい」
「てめぇ!」
吠えた貴透君の姿が消える。
消えた……と周りは見えてるのかもしれない。
が、俺にはわかる。
盾持った【無尽歩兵】を一体喚んで守らせる。
硬い音が響き、そちらを見れば驚く顔の貴透君だ。
「ふむ……挑戦か」
このまま弄ってやるのもいつも通りでいいんだが、いつも通りも芸がない。
なにかいい方法はないかなと考えていると……ピンと来た。
「そうだ」
「?」
「いいね。挑戦。いいワードだ」
「何を言ってる?」
「ゲームをしよう。賞金は五百億円」
「はぁ⁉」
「俺に挑戦する大会だ。お前だけじゃない。金目当てに勘違いした馬鹿が集まって来るかもな。そいつらを俺が倒す。楽しいだろ?」
「……ざけるな」
「なら、俺をふざけさせない程度に強いんだってことをそこで証明してみな」
追加で召喚した盾持ち【無尽歩兵】に囲ませて、身動きが取れなくなったところで【転移】で飛ばす。
転移先は……こいつの実家の前でいいか。
そこまで【鑑定】が済んでいることを脅威と感じるか否か……まっ、どっちでもいいけど。
「さて、危なかったな」
いまだ気絶しているアオリちゃんの代わりに攻略部隊の面々に声をかける。
霧がぎりぎりだと言っていたのは事実だ。
俺の到着があと少し遅れていたら彼らは間違いなく殺されて、俺への血の挑戦状の役割を押し付けられていたことだろう。
「みんなが無事でよかった。この危機を察知して俺に早い行動を促した霧にはちゃんと感謝するように。そ・れ・と……」
じろりと睨む。
「俺を経験値独り占めすればいいじゃんなんてせこい考えをするような奴だと勘違いしてる連中には、ちょっと長めのOHANASHIが必要みたいだから、この後、練武館に集合な?」
「「「うひぃぃぃぃ」」」
悲鳴を上げたってもう知らん。
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