01-fin 戴冠式
「静粛にっ!これより、新王ヴィラド・グロリアス殿下の即位に合わせ行われた人事を発表する!」
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王:ヴィラド・グロリアス(光聖)
宰相:イサク・ルナフォード(闇聖・公爵)
師団長:デューク・クラモール(雷聖・公爵)
副師団長:ローズ・アドルート(火聖・侯爵)
特別顧問:レイト・ノースウィンド・ルナフォード(ルナフォード家当主・公爵)
近衛騎士団長:カイン・ザイール(伯爵)
騎士団長:トウキ・ノースウィンド(ノースウィンド家当主・伯爵)
副団長:ディラン・マナテム(水聖/分家・男爵)
学園理事長:シンシア・ルナフォード(闇聖・公爵)
理事長補佐:ディアナ・ルナフォード(闇聖・公爵)
※なお各種大臣は、王即位後に指名するため後日発表する。
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王宮の前の広場に市民たちへ向けた立札が建てられる。
市民たちは概ね予想通りの結果に納得する。
そして、戴冠式が行われている王宮では引き継ぎの終った面々が集っていた。
「しかし、働き始めてもぱっとしないな。メンバーずっと変わらないし」
「まあ、あのクラスは特殊だったからね」
レイトが感慨深そうに告げると、デュークもそれに同意する。
レイトとデュークが談笑を続けているとそこへ声を掛ける者が現れた。
「もうすぐ戴冠式始まりますよ。デュークもレイトも急いでください」
「ああ、判った」
「まったく、ローズが副師団長に選ばれるとは思ってもみなかったぜ」
「これでサボれないね」
はは、とレイトが笑い、ため息をつくデュークをローズが睨んだ。
デュークを中心にレイトとローズが両隣に控える形で廊下を進み、戴冠式が行われる広間へと入った。
既に見慣れた面々が整列しており、レイトたちも急いで列に加わった。
「レイト、何をしていたんですか?」
隣に立つシャロンが尋ねるとレイトが苦笑いを浮かべながら答える。
「いや、少しデュークとおしゃべりをね」
「ふふふ、今日から王の義弟になるんですから。気を抜きすぎないようにしてくださいね」
「そうだったね。まったく、地位ばかり上がってもうれしくないんだけどね……」
そう言いながら広間の奥を見る。
前王となるレオボルトが立ち、自らの息子に冠を授けるために待機している。
「そろそろかな」
「そうですね。セイラの気配を感じます」
「じゃあ、盛大に祝福しないとね」
レイトが目を閉じ、開く。
それと同時に広間の扉が開け放たれ、ルナに呼応した精霊たちが一斉に出現した。
「ははは、なるほど。これは壮観だ。イサク、オレ……いや私の義弟はやはり素晴らしい奴だ」
「そうでしょう、何せ私の弟ですから」
そんなことを囁き合いながら真っ直ぐと絨毯の上を歩き、レオボルトの前まで行くと跪いた。
「前王レオボルト・グロリアスの名において、ヴィラド・グロリアスを次期王として任命する」
そして、ヴィラドの頭に宝冠が乗せられ、さらに、隣に控えていたグリムの手によって宝剣と指輪が授けられた。
一斉に広間に拍手の音が響き、精霊たちによって過剰な演出が加えれていく。
ヴィラドは立ち上がり、一礼すると今度はレイトたちも連れて広間を出る。
厳格な儀式であったが、無駄なことは省いていく主義のレオボルトと形だけの儀式に興味のないヴィラドによってかなり簡略されたこの戴冠式。
続いてはヴィラドの案によって実施されることになったパレードである。
「トウキさん、今日が初めての大規模な任務だからって緊張してるようですね」
「まあ、めったなことで陛下を傷つけるようなことはできないと思うけどね」
「レイトも私も、デュークもいますしね」
「そうだね。精霊たちにも頑張ってもらうし」
そう話しながら、レイトたち夫婦は一番前の馬車に乗り込む。
そして、それに続く絢爛な馬車には王と王妃、そして宰相が乗り込み、その周りを近衛たちが固める。
そして後続する馬車にはデュークたちが乗り込み、馬車は城門を出ていく。
「まさか、先陣を切ることになるとは思わなかったけどね……」
市民たちの歓声に包まれながらレイトが笑う。
「特別顧問と王女ですからね。前座としては十分でしょう。それに、兄に一番前を行かせるのはあり得ませんしね」
「まあ、僕とシャロンなら大概の事は何とかできるしね。それに、こういう演出もできるし」
レイトがそういった瞬間、パレードを行う王の乗る馬車を中心に光が降り注ぎ始めた。
「これは……」
「精霊たちにちょっとお願いして。雰囲気でるでしょ?」
「ふふ、ここまでするとヴィラド兄様には勿体無い気がしますが」
馬車は街の中心部まで行くと学園の前を周り王宮へ戻る。
沿道には多くの市民たちが王を一目見ようと集まっている。
「兄様が無事ここまで来れたのもレイトのおかげですね」
「そんなことないさ。殿下を支えていたのはイサク兄さんだし。僕はその手助けをしていただけ」
「それじゃあ、そういうことにしておきましょう。これで、国も家も落ち着きましたね」
「そうだね。慌ただしく仕事をすることはしばらくはないかな」
「それじゃあ、次は子供ですね」
「え」
「お父様もお母様も待ってますから」
「……善処するよ」
シャロンの発言に困惑するレイトだったがパレードは続いている。
「婚約はすぐしたし、正式に夫婦となってから5年か……確かにそろそろ子供ぐらいいてもいいのかもしれないね……」
「私も来年25ですから、それに他の皆さんもレイトを狙っているようですし……」
「なかなか諦めてくれないんだよね……」
「全員側室として迎え入れてみますか?」
「いやいやいや……王族でもないのにそんなことするわけには……」
「変なところで誠実ですよね」
「一途だとは言わないんだね」
「まあ、嫌われている気はしませんが、半ば無理やり私の方から結婚に踏み切ったところもありますし」
「まあ、そうでもされないと一生独身貫いたかもしれないけどね」
「そうですか……ふふふ、」
「……さて、そろそろ学園の前を通るね」
「ええ、あなたの終わりと始まりの場所ですね」
「そうだね」
「これからも、末永くお願いしますね。レイト・ノースウィンド・ルナフォード様」
「こちらこそ、シャロン・グロリアス・ルナフォード姫」
馬車の中で二人を手を取り合った。
END1:Throne of the sun.




