笑真【中学校校舎】
「おはよ~」
天気の良い朝。
中学校の校舎。
そして教室。
制服姿のエマが、中学校一年三組の教室に現れる。
エマを知っている同じ小学校出身のみんなが、声をあげた。
「エ、エマーー!!」
「おはよーエマ!!」
「エマっ」
「うん、学校来てみちゃった。へへへ。みんな心配かけてごめんね」
「……エマ、エマーーー!」
もう六月。
初めて来た教室だった。
エマは自分の席もわからなかったけど、みんなが優しく教えてくれた。
今朝は学校まで、お母さんが送ってくれた。
お母さんが運転しながら涙を拭っているのがわかった。
初めて中学校に行くのは、本当はすごく緊張して、怖かった。
でもエマはショウマと同じ名札を、そっと撫でる。
そうすると、気持ちが落ち着いた。
異次元学校から脱出できた日。
エマは、小学校の校門前で倒れているところが見つかった。
真夜中だった。
両親はもちろん、ショウマの家族も、クラスメイトの家族もエマ捜索の手伝いをしてくれていた。
散々心配をかけたのに、エマを怒る人は誰もいなかった。
そこでエマは、改めてみんなに心配かけた事を謝った。
見つかった時、何故か中学校の制服を着ていた。
出かけた時の服は、私服だったはずなのに……。
だから、この名札はあの異次元学校でショウマと交換したものだと信じている。
あの異次元学校で、ショウマと過ごした時間は本物だった。
そして、ショウマはエマの心とずっと一緒にいてくれると信じている。
息苦しくなる時もあるけれど、二人で乗り越えた危機を思い出せば、大した事ないと思えた。
新しい友達も、どんどん出来た。
猫は撫でてみたら、エマにべったりになって、毎日一緒に寝ている。
名前は『スマイル』にした。
とっても可愛い。
「エマ、陸上部に入るの~?」
教室で部活動のプリントを見るエマに、クラスメイトが話しかけてきた。
「そう思ってたんだけど、プログラミングができるパソコン部も気になってる!」
「えーエマがプログラミング!?」
「自分には無理だって思ってた事もやってみたいんだ」
「いいじゃん~!」
難しい授業の合間に、窓際の席からそっと空を見た。
青い空が眩しくて、木々が揺れて、世界が輝いて見えるようだった。
まだ泣いてしまう時もあるけれど、もう二度と異次元学校へ行こうとは思わない。
会いたいと思う時は、心の中で会えるんだって思う。
「……ショウマ……これからも頑張るからさ。私とこれからも、ずっと一緒にいてね」
『……もちろんだよエマ……』
ショウマの優しい声が聞こえた気がした。
いつも、ずっと、二人の心は手を繋いでる。
異次元学校の宝石なんかなくっても、この気持ちが大切な、輝く宝石なんだ――。
『狂った異次元学校から脱出せよ!~エマとショウマの物語~』
おしまい
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