表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/111

ねぇねぇ、今のびっくりした?

 私は3人分の飲み物を購入し、お店の中のテーブルに着いた。


「どうぞ~」

「ありがとう~」

「ありがとうございます」


 ふたりに飲み物を渡して、一息ついたところでユキちゃんに声をかける。


「ねえ、ユキちゃんもこの旅についてきてくれませんか?」

「ふへ?」


 自分で神様にお願いしたことだから、できることはやってみたい。

 それにここまでしてくれてるということは、神様は私を助けてくれるはず。


「えっと、私お店があるからそんなに長くはいられないんですけど……」

「ダメ?」


 お店のことで断られるのは予想していたこと。

 それでも上目遣いをしてお願いしてみる。

 はたしてユキちゃんに効果があるのか。


「行きます!」

「わ~い!」

「わ~い!」


 ユキちゃんの了承を得ることができたぞ~!

 私とミュウちゃんは手を取り合い喜んだ。


「でもお店もあるので、次の街でまた呼んでもらうということでいいですか?」

「はい、それでいいです!」


 次は愛の街だ。

 道中を共にすることはできなくても、その街で一緒にいれば何か進展があるかもしれない。


 もちろん私が幸せになることは忘れてないよ。

 ということで、今は遊びますか。


 飲み物を片付け、砂浜に戻る。

 そこでいっぱいユキちゃんとラブラブした後、いったんはお別れとなった。

 私とミュウちゃんは、ここに来るときに見かけたクジラに乗って次の街を目指すことに。


 当たり前のようについてきてくれてるけどいいのかな?


「あ、そういえばお姉ちゃん、スタンプはいいの?」

「うん、大丈夫だよ」


 だってもう手に入れてるからね。

 でもミュウちゃんの記憶までなくなってるのはなんでなんだろう。

 あそこの神様はミュウちゃんなんだよね?


 願い事を聞いてくれたのは別の神様なのかな。

 そもそも願いを叶えてくれてるかもわからないか。

 疑問は解決できてないけど、とりあえずクジラの乗り場にむかう。


 マップを確認すると、乗り場は秋のエリアになっている。

 今まで進んできた、道をさらに歩いたところにあるようだ。

 うまく時間が合えばいいんだけど。


 そもそもあれがどういう存在なのかもわからない。

 アニメ調にデフォルメされたクジラなんて、不思議現象すぎる。

 でもあのクジラが愛の街まで運んでくれるって、誰かが言った気がしたんだ。


 ミュウちゃんと手をつなぎながら道を進んでいくと、遠くにその姿が見え始めた。

 うん、やはり私があれに乗って次の街へ行くことは運命なのだろう。

 世界は私を中心に回っている。


 そんなこどもみたいなことを頭に浮かべていたら、クジラが急に港を離れて行ってしまった。


「ええ~!?」


 そんなバカな。

 世界は私を中心に回っているのではなかったのか?

 離れて行くクジラをぼうぜんと見送っていると、急に方向転換してこちらにむかってくるのが見えた。


 まさかむかえに来てくれるのか?

 道の海側に寄って、手を振りながらクジラを待つ。

 なんてやさしい奴なんだ。


 そう思って笑顔でお出迎えをしていると、奴は私たちの前を通り過ぎて行った。

 どうやら勘違いだったらしい。

 とても恥ずかしくなった。


 これはあれだよ。

 見知らぬ人が私に手を振ってると思って、とりあえず手を振ったら後ろの奴だったみたいな。


 とても恥ずかしい。

 しばらくぼ~っとしていると、さっき通り過ぎたはずのクジラが戻ってきてくれた。


 私がゆっくりと横を見ると、そのクジラと目が合う。

 そしてまたも不思議現象で、私の頭の中に直接話しかけてきた。


『ねぇねぇ、今のびっくりした? 私、クジラのクッシー、よろしくね!』

「むかつくんだよてめぇ! プリティな目しやがって!!」


「お姉ちゃんいきなりどうしたの!? 恥ずかしいからやめて!」

「私、恥ずかしいの!?」


 うわ~ん。

 もう心がボロボロだよ~。

 社畜のときみたいだよ~。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ