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ここがそうなのか……

 そうしてしばらくすると道を渡り切り、島に到着する。

 真ん中に高台があって、その上に鳥居がたっていた。

 どこから登るんだろうか。


 私があたりをキョロキョロ見ていると、ミュウちゃんがさっと手を放して走りだした。


「階段は裏側だよ~」


 そう言ってミュウちゃんは先に行ってしまう。

 私とユーノさんは少しだけ歩く速度を上げて追いかけた。


 小さな島なのですぐに裏側に回ることができる。

 そこにはまっすぐ鳥居まで伸びる階段があった。


 鳥居といっても、私たちがよく目にする赤いものではなく白い色をしている。

 空の神社も写真で見る限りでは同じく白い。

 なんでだろうね?


 そんなことを考えてるうちに鳥居の真下までたどり着いた。


「神社まで行きたいって願うんですよね」


 もう一度確認してユーノさんの方を見る。


「そうですよ、お先にどうぞ」


 にっこりと笑いながら先を譲ってくれる。

 不安なので先にお手本を見たかったけど、せっかくの好意を無駄にはできない。


 心の中で願いながら、鳥居の下をくぐり抜ける。

 すると私の体がふわっと宙に浮いた。

 ちょちょちょちょっと!


「キャアアアア!!」


 何かに吸い寄せられるように、私は空にむかって飛んで行った。

 水着姿で空を飛ぶ体験なんかできる人、ほとんどいないんじゃないだろうか。 

 もはや気絶した方が楽だね。


 と思ったけど、慣れてくれば意外ときれいな景色を楽しむ余裕が出てくる。

 なぜだろう、今ここで生まれたままの姿になりたいと思ってしまった。


 程なくして空に浮かんでいた島に到着する。


「ここがそうなのか……」


 誰もいないので少し格好よさげなポーズをとってみる。

 その瞬間に後ろからふたりが飛んできた。


 振り返ると、思いっきり私めがけて突っ込んでくるのが見える。

 ちゃんと着地するはずなんだけど、ついふたりを支えに入ってしまった。


「ぎゃああ!!」

「お姉ちゃ~ん!」


 魔法のおかげか不思議と痛くはなかったけど、ふたりの下敷き状態になってしまう。


 でもこんな状況で珍しくラッキーハプニングが起きなかった。

 この神聖な場所の力なのだろうか。


「すみません、大丈夫ですか?」


 ユーノさんが申し訳なさそうにしながら手を差し伸べてくれた。


「いえ、私がいなければうまく着地できたはずなので……」

「そんなことありませんよ、ありがとうございます」


 ユーノさんはふんわりとした笑顔を浮かべながら私の体を起こしてくれる。

 あれ、いつの間にか水着からいつもの服装に戻ってるね。


 さすがに神社であの格好はできないのかな。

 私たちは大丈夫だろうか。


 ミュウちゃんの方をみると、なんと同じように普段着姿になっていた。

 ちょっと待って、私だけ水着とか嫌なんですけど。


「あの、ユーノさん、私もいつもの服装に戻してほしいのですが」

「え? どうしてですか?」

「だってなんか、罰当たりといいますか……」


 しかもふたりはいつの間にか着替えてるし。


「イチゴさんはそういうオカルトを信じる人なんですか?」

「いや、目の前に女神様がいますからね……」

「あ、そういえば私って女神でした」


 ええ……。

 そんな大切なことも忘れちゃえるの?

 自由な人だね。


「まあ、天使みたいな水着なので大丈夫ですよ」

「適当言ってますよね!?」

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