せ、瀬戸内のマーメイドだと……
それにしても、全裸の女神と水遊びをしてる日本人って私くらいだよね。
ということでミュウちゃん脱がそう。
「ミュウちゃ~ん!」
「ふえ?」
私は突然叫び声をあげながら、ミュウちゃんのいる方へジャンプしようとした。
しかし、いけないことはできないようになっているのか。
足がつりました。
「痛いよ~!」
「どうしたのお姉ちゃん!」
泣いてわめく私を見て、慌てて駆け寄ってくるミュウちゃん。
「ひゃわっ」
そのミュウちゃんも何かに足をとられたのか、私にむかって倒れかかってくる。
つった足を放置してその体を受け止めたものの、耐えきれず転倒。
「大丈夫ですか? ここは瀬戸内のマーメイドと呼ばれた私に任せてください!」
せ、瀬戸内のマーメイドだと……。
絶対嘘じゃないですか。
でもとりあえず助けてください。
私たちふたりは、ユーノさんによって鮮やかに回収されて浜辺に戻ってきた。
「ありがと~、ユーノさん」
「無事でよかったですミュウちゃん、イチゴさんも大丈夫ですか?」
「痛いです~」
無事に戻ってこれたものの、足がつったままだ。
座って足を伸ばしてるのに何度もつってしまう。
「とりあえず私の魔法で治しますね」
ユーノさんが私の足に手をかざすと、そこが光に包まれる。
「およよよ?」
なんだか温かくてくすぐったい。
すぐに痛みはひいていった。
「治りました~」
「よかったです」
でも夢の世界で足がつるとは思わなかったよ。
変なところでリアルなんだから。
「お姉ちゃん、運動不足なんじゃ……」
「もしくは栄養が足りていないとか」
「うう……、筋肉疲労じゃないですかね? ね?」
運動不足はこの世界に来てから大分解消されているはず。
しかし栄養については自信がないね。
なぜだか甘いもの率がものすごく高いし。
そろそろサプリメント生活でも始めますか。
そんなことを考えながら、ふと視線をそらすと、すぐ近くにお店があるのを見つけた。
いかにも海の家って感じの建物だ。
人の姿を見かけないけど、営業してないのだろうか。
「あそこでちょっと休憩しませんか?」
足がつったばかりで、水遊びをする気力を失った私はふたりに休憩を提案する。
「うん、また足がつったら危ないし、休憩しよ」
「そうですね」
ふたりともやさしいなぁ。
ということで海の家まで移動する。
一応自分ひとりでも歩けるけど、ユーノさんが肩を貸してくれたので甘えることにした。
私のすぐ近くで揺れる生の果実は魅力でいっぱいだ。
思わず吸い込まれそうになったけど、なんとか思いとどまって無事に海の家までたどり着いた。
この海の家は海の上に建っていて、扉も壁もほとんどない開放的なお店だ。
そして店員さんもいない。
営業してないのかと思ったけど、入り口近くに券売機のようなものがあった。
いや、これは券売機ではなく自販機か。
お汁粉が湧いてたりする世界だからね。
特に問題もないだろう。
カレーもラーメンもうどんもある。
さっきからいろいろ食べててお腹が空いてるわけではないので、ここは冷たい甘味にしようか。
「イチゴさん、なにか食べるんですか?」
「え?」
自販機前で品定めをしていた私にユーノさんが聞いてくる。
そういえばただ休憩しに来ただけだったか。
いや~、でもね、さっきからユーノさんの果実が目の前で揺れてるわけですよ。
食べたくなるわけですよ。
でもそういうわけにもいかないので、私は代わりに食べられるものを探してるわけですよ。
「イチゴ白玉ぜんざいにします」
「しますって……、食べるんですね」
ユーノさんがちょっと苦笑いした。
「私も食べる~、イチゴ白玉~」
「では私も」
結局ふたりも食べるんだ。
私はまとめて3人分を注文して決済する。
それを見てユーノさんが慌てて自分のカードを取り出す。
女神様もそのカード持ってるんだ……。
「お金払いますよ」
「いえいえ、いいんですよ」
ここで改めて決め顔をする。
「ふたりからはいろんなものをいただいてますから、ここはごちそうさせてください」
「いいんですか、ではお言葉に甘えさせてもらいますね」
「お姉ちゃん、ありがと~」
ミュウちゃんの水着姿もユーノさんの生パイも堪能しちゃってるからね。
イチゴ白玉では返しきれない価値があるよ。
しかもこれからこの白玉でイケナイ妄想をしちゃうのにさ……。




