新しい世界、開けちゃうかも
「お姉ちゃん、脱がないの?」
「あ、私、水着を着てないんですよ」
「別にいいんじゃない?」
「いや、よくないと思いますよ!?」
いくら夢の世界とはいえ、公衆の面前で全裸になるような勇気はない。
「大丈夫だよ、ほら」
「うん?」
ミュウちゃんが指差す先を見る。
「フォオオオォォォ!!!」
そこには水着美少女とともに、ごく普通に全裸の方もいた。
お互い気にすることもなく、楽しそうに会話していらっしゃる。
これもひとつのファッションだとでもいうかのように。
え、ありなの?
これが自由ってことなの?
自由の街ってこれのことなの?
「ほら、お姉ちゃんも脱いで脱いで」
「え、いやその……」
きっとここで裸になっても、周りの人は気にしないんだろう。
だからといって、多くの日本人は人前で裸になる習慣などない。
試されてる。
私は試されているのか。
こうなったらやけだ。
え~い!!
「……やっぱり無理~!」
無理無理無理!
私は砂浜に膝をつき、おのれの無力さを悔やむ。
そんな私にミュウちゃんが寄り添ってくれる。
「ミュウちゃん……」
「ねえ、お姉ちゃんは温泉で水着をつける?」
「え、いや……」
「それと同じことだよ」
同じじゃないと思うけど……。
それに私は人見知りするせいか、温泉でもお湯につかるまではずっとタオルを巻いている。
女性しかいなかったとしても、私に全裸なんて大胆なことは無理だ。
文化とかもあるので批判はしない。
でも、見るのはいいが、やるのは無理。
「生まれたままの姿になれば、すっごく開放感があるのに……」
「だったらミュウちゃんも水着なんか着てないで脱ぎましょうよ」
「お姉ちゃんへんた~い!」
「なんでですか~!」
理不尽な……。
でも、もしかしたら脱ぐことで驚くべき開放感を得られる可能性もあるよね。
新しい世界、開けちゃうかも。
どうせ夢の世界だ、失うものもない。
知り合いがいるわけでもないし。
いくか、いくか?
いくぞ!
「あら? イチゴさんじゃないですか」
あっぶねええええ~!!
知り合いか?
慌てて声のした方を振り返る。
「フォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
そこにいたのは、なんとすべてを解き放ったユーノさんだった。
女神様の生の果実が目の前に実っている。
あまりの衝撃に固まってしまった。
固まりつつも、夢と希望を胸に視線を下へとずらしていく。
しかし、見えそうになった瞬間、不自然な光線がそれを遮った。
くっ、上は丸出しなのに下は守るのか。
その自主規制の基準がわからない。
私は上も守るべきだと思いますよ!
そうでなければすべて公開するべきでしょ!!
まぁ、そこはR-18の世界で解放していただこう。
いくら自由の街とはいえ、よくないよね、そういうのは。
あ、もしかしたらあの橋からアイキャンフラーイすれば行けるのかな、R-18。
「ミュウちゃんもこんにちは」
「こんにちは~」
あれ、ふたりは知り合い?
あ、そっか、スタンプの2か所目を頼んでたんだったね。
それにしてもなんでここにユーノさんがいるんだ?
しかも人前で全裸。
いいのか女神様。
いや、むしろ生まれたままの姿を隠そうとする方が不自然なのか?
そんなことを考えながら、ユーノさんの裸をじっと見つめていた。
するとユーノさんが恥ずかしそうに体をひねって、大事なところを手で隠す。
「あの、そんなに見られると恥ずかしいです……」
「あ、すいません」
私は謝りながらも、視線を外すことはなかった。
なんか恥ずかしがられると逆にドキドキしてくる。
それに手で隠したことで、光線が無くなってぎりぎりまで見えるようになった。
いい、いいですよ、ユーノさん!




