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夢の世界へ行って気付いた、私にとっての本当の幸せ  作者: 朝乃 永遠
夢と希望の街
29/111

ひどい妄想日記だね

 水着をローブの内ポケットに収め、部屋漁りを再開する。

 しかし、小さな部屋で物も少ない。

 探すところはすぐになくなってしまった。


 怪しいのはやはり水着か……。


 あらためて部屋を見回すと、あることに気づいた。

 ソファの座るところの下が、多分引き出しになっている。

 すぐに確認するため、それを引っ張ってみた。


「あっと……」


 そこに入っていたのは大量の下着。

 なぜ下着だけがこんなに?

 しかもかなりエッチなものが多いように見える。


 何かに導かれるようにその中に手を突っ込んだ。

 ……何してるんだ私。


 我に返って、今度は頭でも突っ込もうかと思ったその時。

 手に何か固いものが当たった。

 何だろう?


 それをつかみ、下着の海から引っ張りだす。

 出てきた物は日記と書かれた1冊のノートだった。


 なぜこんなところに入れてるんだ……。

 まるで隠してるみたい。


 いけないと思いつつ、今さらなので日記を開く。

 だってここにヒントがあるかもだしね。


 しかしその中は期待していたものとはまったく別のものだった。

 全体的にまずい表現がされていて、とても読むのが恥ずかしい。

 その中でマシなものを探して読んでみる。


『今日もお嬢様は妖精のようにかわいい、食べてしまいたい』

『朝、お嬢様を起こしに行ったら胸の突起を拝むことができた、いい1日になりそう』

『あ~! お嬢様~! あ~!!』


 意味不明。

 かなりエッチな、恐らく妄想日記。

 この後は私と同じ職場になってからのものになっていく。


『今日も苺さんは超かわいい、ロリに目覚めたかも』


 誰がロリだ。


『深夜残業中、苺さんが珍しく居眠りをしていた、いけない子、お仕置きしないと』


 怖い、何されたんだ……。


『居眠り中の苺さん、そっと机の下からパンツを見る、苺パンツ』


 本気でのぞいてるぞ、こいつ。


『ふたりきりの深夜残業、苺さんにエナジードリンクを口移しでもらった、ファーストキス』


 まったく覚えがないんですけど!?

 え、うそ、本当にやったの私……。


 あの精神状態なら何をやっててもおかしくないけど。

 でもこれは完全に妄想だと思う。


『私と苺さんの体だけの関係が続く、心も満たしてほしいよ……』


 何が「心も満たしてほしいよ……」だよ。


 ひどい妄想日記だね。

 これ以上読んでも手掛かりはなさそうだ。

 もっとひどい展開になるのも怖いし。


 そっと日記を閉じ下着の中に戻そうとしたとき、1枚の紙が挟まっているのに気づく。


 そこには「私の夢」と書かれていて、裏返すとそれは写真だった。

 撮った覚えのない、私も写っている写真。


 私とアミちゃんとヨシノちゃん。

 それから知らない小さな女の子。

 みんながまるで家族のように仲良く笑顔で写っている。


 これは……?

 ヨシノちゃんの夢?

 求める未来の写真を撮ったってこと?


 この世界ではそんなことができるのだろうか。

 でも見ていると優しい気持ちになれる。

 こんな未来があるのなら、悪くないなって思う。


 そう思いながら写真を日記の間に戻した。

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