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夢の世界へ行って気付いた、私にとっての本当の幸せ  作者: 朝乃 永遠
夢と希望の街
23/111

本当なんでこんなに懐かれているんだろう

「わぁ……、私お祭りってひさしぶりです~」

「そうなんですか?」


「あのブラックに勤めてからは全然ですね」

「ああ……」


 わかるよ、それ。

 遊ぶのが怖いっていうかね。


「なので今日はイチゴ先輩といっぱい遊びます!」

「はいはい」


 アミちゃんが私の腕にピタッと抱きつく。

 本当なんでこんなに懐かれているんだろう。


 そしてなぜか私もすんなりと受け入れている。

 同じ状況だからなのかな。


 その後、アミちゃんはものすごい勢いで屋台を回っていった。

 今まで遊べなかった分、一気に取り戻そうとしているかのようだ。

 たこ焼き、焼きそばなど、次々と胃袋におさめていく。


 私はその間、焼きおにぎりだけ食べた。

 街が西洋なのに、お祭りの様子はすごく日本っぽい。


 それはやっぱり私たちが日本のお祭りしか知らないからかな。

 まあ外国のお祭りがどんなのかも知らないけどね。


 ベンチに座って、アミちゃんは今わたあめをもぐもぐしている。

 かわいいなと思った。

 まるでこどもみたい。


 あれ、そういえばアミちゃんも昔の姿なのかな?

 もともと大人には見えない外見だったけど。

 う~ん、確かに幼さが増しているかも。


 私がじっとアミちゃんを観察していると、その視線に気付いたのか赤くなっていく。


「あの、なんですか……」

「いえ、かわいいなって思いまして」


「むほっ!?」

「あはは」


 恥ずかしくなったのか、アミちゃんは私から顔を逸した。


 夢と希望の街か。

 やっぱり初めにここに来てよかった。

 ユーノさんのおかげだね。


 それともこのアミちゃんとの出会いも調整していたのかな。

 私たちの夢が繋がったことに意味があるんだろうか。

 空に花火が打ち上がる。


「おぉ~! 花火だ~!」

「たまたまよく見える場所にいましたね」


 私たちの座っているベンチからその花火はよく見えた。

 過去に私の見たどれよりも近くで見ることができている。

 花火ってこんなにもきれいだったのか。


 思えば私はいつも桃ちゃんや雫さんのことばかりだった気がする。

 それが私の幸せだったから。

 でもここには私との思い出を持った2人はいない。


 もしこの世界に留まるのなら。

 私は自身の幸せを見つけていかないといけない。

 変わっていかないといけない。


 その時、私の手にアミちゃんの手が重なってきた。

 不思議に思いアミちゃんを見ると、その視線は花火に釘付けになっている。


 頬が少し朱色に染まっているように見えた。

 でも花火の光ではっきりとはわからない。


 ただその横顔はすごくきれいだと思った。

 まるで女神様のように。


「きれいですね~」


 急にアミちゃんがこちらを振りむく。

 ぼ~っと見てたのでドキッとした。


「そうですね」


 なんとか笑って誤魔化した。


 ここは夢と希望の街。

 アミちゃんとの出会い。

 そして理由のわからないこの胸の温かさ。


 きっと何か意味がある気がした。

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