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夢の世界へ行って気付いた、私にとっての本当の幸せ  作者: 朝乃 永遠
夢の世界と始まりの街
18/111

む~、イチゴさんと一緒に行けないのが嫌なんです~

 ……10分後。

 ようやく全員が調子を戻したところで話を再開する。


「イチゴさん、もう一度女神様に会いに行ったほうがいいと思いますよ」

「そうですよね……、でも会えますかね?」


 モモちゃんが言うように、もう一度会って詳細を聞き出したいところ。

 でもあそこが女神様の家だとしたら、何で消えてしまったのか。

 家の中に入っていった様子もなかったし。


「その家に住んでたらいつか会えるんじゃないですか?」


 ユキちゃん、女神様の家を勝手に使ってたら罰が当たりそうだよ。

 せっかく天国らしき所に来れたのに、追い出されたりしたくないんだけど。


 それにあそこが女神様の家と決まったわけではないし。

 そんな場所があったら、神聖な場所としてみんなに知れ渡ってると思うんだけどね。


「とりあえずもう一回覗きに行ってみますか?」

「そうですね~、いるかもしれませんし」


 いなくても女神様の家ってはっきりすれば少しはマシだ。

 何度か通ってればそのうち会えるかもしれないしね。

 その間の住む場所には困るけど……。


 やっぱりその時は勝手に使わせてもらおうかな。

 あの女神様ならきっと許してくれるに違いない。


「よし、私もついていきますよ~!」

「いいんですかモモちゃん」

「はいっ」


 モモちゃんが楽しそうに笑う。


「う~、私も行きたいけどお店が……」


 ユキちゃんは一緒に行けないことを残念がっている。

 お店を閉めるわけにもいかないもんね。

 とはいえ、これだけ長い間おしゃべりしててもお客さん来てないけど……。


「もし女神様がいたら連れてきてあげます!」

「む~、イチゴさんと一緒に行けないのが嫌なんです~」


 え、今なんて……。

 いつの間にか好感度上がってる?


 やっぱりここは天国なのか?

 夢じゃないか?


「それじゃあ今度、ユキちゃんの都合のいい日に一緒に遊びに行きましょう」

「本当ですか~! やった~!」


 クフフ。

 満たされる、満たされる~!

 おっと、あまり浮かれてる場合じゃないな。


「それじゃあ、そろそろ行きましょうか」


 私は平静を装い、モモちゃんに声をかける。


「はい、でも女神様の所に行く前にお汁粉を汲みに行きましょう」

「あ、そうでしたね」


 萌え上がりすぎて忘れていた。

 そのための水筒を買いに来たんだったね。


「女神様、噂では甘いもの好きらしいですよ」

「へぇ、ちょうどいいですね」


 ユキちゃんのお役立ち情報が本当なら、お土産代わりに持っていくのも悪くない。


「じゃあユキ、ちょっと行ってくるね」

「うん、またね~」


 軽く手を振って、モモちゃんは先にお店を出ていった。

 ユキちゃんも手を振ってそれを見送る。

 仲良しさんなふたりが微笑ましい。


「ユキちゃん、私も行ってきますね」

「あ、ちょっと待って下さい」


 私も挨拶をしてお店を出ようとするとユキちゃんに引き止められる。

 お店の奥に入っていって、何かを手にして戻ってきた。


「これ持っていってください、おまけです」

「いいんですか? ありがとうございます」


 雪見団子って書いてあるね。

 ユキちゃんだから雪見なのかな?


「私だと思って食べてください、なんて……」

「ブッ」


 何という発言……。

 やばい、好感度が上がりすぎているぞ。

 私は苦笑いしながら、雪見団子を魔法のお弁当箱にしまった。


「それじゃあ行ってきます」

「また来てくださいね~!」


 お店を出てモモちゃんと合流する。

 後ろではユキちゃんが思いっきり手を振って見送りしてくれていた。


 私も胸の高さで軽く手を振る。

 それをお互いが見えなくなるまで続けていた。

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