なろう主「俺様のハーレム爆誕!」の巻。
「あのねご主人様……、私、赤ちゃんができちゃいました」
愛らしく見えるように気を使いながら、醜く夕食を貪る汚物に告げますが、どうやらそういう事が起こると自覚は有ったのでしょう、余り驚かずに受け止めた様子でご主人様は食餌を中断し、納得した表情でこちらを向きました。
「まぁロリっ子孕ませプレイが楽しくて、毎日張り切ってやりまくってたし、いつかは出来ると思ったけど早かったな」
自分の種で私を孕ませた事は、どうやら汚物にとっては誇らしいのでしょう、何度も目の前で揺れる二重顎を見つめつつ、子供を生む事の許可を得るための言葉を口にします。
「だからね、私……、ご主人様の赤ちゃん、ちゃんと産んであげたいんですけど、ご主人様は許してくれる……?」
ここで汚物の許可が降りないのなら、私はこのまま故郷の全てを犠牲にする覚悟で落ち延びて、宛のない逃亡生活の中で出産を考えなければなりませんが、何も出来ない貴族の小娘と従者の逃亡劇は恐らく、目的を果たす前に終わりを迎える旅になるでしょう。
だからこそ上手くご主人様を乗せる方向でかなければ、今まで汚物の手で死んでいった犠牲も報われず、希望を繋げないと私達は緊張していますが、そんな思惑など毛先も知らない脂肪の塊は、私の頭を乱暴に撫で付けながら言葉を吐き出していきます。
「馬鹿だなメリー、俺は最強で金に困ってないから甲斐性があるし、ガキ位いくらでも産めばいいんだぞ、まぁでも、まずその前にロリっ子ボテ腹プレイを楽しもうな?」
汚物の言う甲斐性という言葉の意味、それは暴力で民を支配して搾取する事に他ならないのですが、その邪悪を通り越した愚かさに本人は気付いないのでしょう。その厚顔無恥で誇らしげな笑顔に吐き気が湧いてきますが、今に始まったことではないし、計画通りに物事が進んでいると意識を切り替えて、私は慣れ親しんだ媚びた笑顔を貼り付けて、次の言葉を口にしていきます。
「あ、でもでも、さっきアリサさんが教えてくれたんですけど、子供がお腹に居る時はエッチなことしちゃダメだって言ってました、だからご主人様に我慢してもらう事になるかもです……」
汚物には司教様が協力者だというのは伏せておく事にしたので、妊娠中の身体の懸念についてはアリサから教えられたと伝え、続きはアリサから話してもらうことにしました。
「旦那様がメリー様を大層可愛がられているのは存じ上げておりますが、メリー様の身体は女としては不完全です。こうした時期に激しい性交渉をなさるのは母子共に命に関わる危険がありますので、出来れば控えていただきたく思います」
命にかかわると告げるアリサの言葉を聞いた汚物は、あからさまに不満気な表情を浮かべて反論を口にします。
「おい何くだらねーこと言ってるんだよ。俺は今日もメリーに無限の性欲全ブッパしてスッキリする予定だったんだぞ?俺様の性剣セクスカリバーにはメリーという鞘が必要だ。それにたとえ死にかけても俺の回復魔法で元に戻せばいいんだし、そんな下らんこと気にする必要ないだろ?」
私の身体を物扱いする酷い返事を聞いてアリサは、滅多に見せない引きつった笑顔を貼り付けたまま絶句しましたが、汚物の奴隷として過ごした私にとって、むしろ今の発言は、いかにも傲慢な欲望優先の姿勢はいつも通りだと理解が出来ますが、アリサは私の命に関わる問題を汚物の性欲と天秤にかけられ、結果的に壊れても治せば良いと軽視された事で、怒りと呆れで思考が止まったようです。
このままでは話が進まないと思い、私は二人の間に入ってアリサが落ち着く時間を稼ぐことにしました。
「えっとね、ご主人様が私を大好きなのは嬉しいけど、やっぱりご主人様の赤ちゃんが危ないのって、ちょっと怖いなって思うし、ご主人様の赤ちゃんを元気に産んであげたいです……」
身体の事ではなく、子供を思う姿を見せれば父親として自覚が湧くなどと、汚物がまともな精神を持っていると考えた訳ではなく、アリサの思考が落ち着く時間を稼ぐ為に、私は汚物の寝汗で粘つく腹に飛び込みます。
「うーん、でもメリーで童貞卒業してからずっとチンイラを我慢していないからなぁ……。チンイラを収めるのにオナニーするとしても、ここにはオナホもドーガサイトも無いし、やっぱりメリーじゃないとなぁ……」
飛び込んだご主人様の身体は相変わらず獣のように臭く、口からは私の知らないない言葉が、下水の匂いを纏った食べこぼしと一緒に吐き出されます。
いつも通りの不快な発言の意味は、要するに子を気遣う事も我慢する気もないし、堪え性のない汚物は突っ込む穴が欲しくて堪らないから、死んでもいいから獣欲を受け止める相手しろ、そうい意味だと理解しました。
汚物のドレーとして過ごす内に、私も随分と異界語を推測できるようになったものだと、上から落ちてくる食べこぼしを浴びながら、苦い笑いの中で自嘲気味に感じました。
「旦那様が性豪であるのは存じておりますし、夜の件につきましてですが、旦那様がお嫌でないのでしたら、今晩から私が御相手を務めるのは如何でしょうか?」
「ん~、俺さ、今の所はメリーが一番だから他に女作る気も沸かねーんだよなぁ……、それにアリサってさ、俺のストラクゾーンからちょっと外れてるんだよなぁ……」
薄暗い笑いを浮かべる私を他所に、崩れかけた従者の仮面を取り繕ったアリサは、再びご主人様に向けて言葉を発しますが、汚物は反論を述べた後に食べこぼしを吐き出す下水孔を閉じ、何処か遠くを見るような仕草で考え込みましたが、この下水孔は根っからの少女趣味なので、この沈黙の意味は、私を心から愛しているという訳ではないでしょう。
事実、この屋敷に来た最初の頃の汚物の視線は、アリサの大きな胸やお尻を嫌らしく追いかけていましたが、最近は毎晩獣のように私を犯し抜いた事で余裕が出たのか満腹の獣が獲物を見逃すように、余り興味が無いように眺めているだけなので、成人を迎えているアリサの身体は、宣言通り趣味に合わないのだと思います。
「旦那様は世界の王になられるお方、そのような殿方が、たった一人しか女を囲えないという法はありませんし、寵愛を受けたい者も多く存在しますから、応えることも強者の余裕かと思いますが、いかがでしょうか?」
ご主人様の少女趣味、そんな唾棄すべき淀んだ欲望をアリサは理解し、不満を全面に出している汚物を納得させるよう、説得の言葉を重ねてゆきます。
「まあ……、確かに俺様は最強主人公だし、ハーレムがないと話にならんのもわかるんだが、やっぱメリーに慣れるとさ、他の女ってブサイクとしか思わんぞ?そんな三次だと、俺のセクスカリバー反応しないんだよなぁ……」
醜い自分の姿を見たこと無いご主人様が、私以外の女に手を出さなかった理由を語り、身勝手で呆れた理由を聞いたアリサは絶句していますが、少女趣味の獣は自分の言いたい言葉を投げつけるように、会話にならない一方的な言葉を吐き出し続けます。
「この世界のへーミンって、女でも日焼けしてきたねー肌で髪の毛とかもバサバサで、女のくせに匂いもイイ匂いしないし、掌もなんかゴツゴツしてるんだよ?あんなんに手を出すくらいなら、大人の玩具でも使って、エロドーガでヌイた方がマシだし、メリーがやっぱサイツヨすぎなんだよなぁ」
最後は私を使うという言葉で終わる辺り、やはり自分の女も子供も大事にする気が無いと言ってるのと変わりませんし、そんな掃き溜めの様な匂いの生き物と比べれば、よっぽどこの世界の平民の方が綺麗なのですが、この汚物は自分の事を客観視など出来ないのでしょう。
実際、私はご主人様が発する饐えた悪臭をどうにかしようと、毎日多くの時間を掛け丁寧に発生源を洗っては居ますけれど、その腐った匂いは一向に取れる気配がないのです。
「あははー、私はご主人様に喜んでもらえて嬉しいです―」
きっと汚物は全く気がついていないからふざけたことが言えるのだと思いますが、それでも誉められたと喜んでおく方が良いでしょうし、その暴言の全てを聞き流して媚びた声を上げておきます。
「メリーはニジゲンにも劣らない最高のドレーだからな、俺が猿になるのは仕方ないといえる!メリーは自信を持って誇っていいぞ!」
「わーい、ご主人様に褒められちゃった、えへへー」
相変わらず全く嬉しくもない賞賛ですが、それでも目の前の汚物袋が自身の中に詰まった汚い汁を撒き散らす相手をより好みするのは喜ばしいことです。
無駄に理想が高い好みを考えるなら、貴族の子女位しかご主人様の相手は務まらないでしょうから、こちらで餌を与えて手綱を操り易い上、私の考えに賛同してくれる方は多いと思います。
そんな私の考えを読んでいるのでしょう、アリサは話を纏める方向へと会話を進めていきます。
「もちろん旦那様が仰る通り、メリー様以上の美少女は中々見つからないでしょう。それでもお子が生まれるまでお相手を出来ない、そうなるとメリー様も心苦しいと思います」
「うー、ご主人様に我慢してもらうなんて申し訳ない気持ちになります―、メリーはドレー失格です―」
アリサの言葉を後押しするように、私はいつもの様に大げさに嘘泣きをして、弛んだ脂肪の海に顔をうずめて縋り付きます。
「メリー様もこう仰っていますし、ここはメリー様が安心して出産されるまで旦那様の一人寝を誤魔化す道具、その位に考えてみてはいかがでしょうか?」
「うーむ……、実際ガキまた作ればいいからどうでもいいし、メリーの身体も回復魔法で大丈夫だと思うが、メリーは俺の一番大事なドレーだし、やっぱここはご主人様として度量を見せるのも兼ねて、他の女で我慢する方が良さげだな!」
相変わらず吐き気がする程に下衆な性根ですが、策が一歩進んだ事は喜ばしいので、私は笑顔で感謝の言葉を告げておきます。
「ありがとうございますご主人様!メリーは優しいご主人様に拾われて、本当に幸せモノだと思います~」
「ぐふふっ、俺は最強で最高の男だからな、この程度でメリーが喜ぶなら軽いもんだぜ!」
自覚のない邪悪とはこんなにも醜いモノだと感じながら、誰一人として心を交わす事もない三文芝居を見つめるのは、汚物の腹を満たすための贅を尽くした料理だけですが、笑えない喜劇の空寒さに凍えたのか、湛えた暖かさを表す湯気はすっかり消えてしまっています。
「あー、話してたらメシが冷えちまったな、冷えたら不味いから取り替えてくれるか?」
そんなこの狂った喜劇の主人公であるご主人様は、冷めた観客が気に入らないと、ナイフで皿を叩きながら厨房へ追い返せとアリサ言いつけます。
「わかりました。では替えを持ってまいります」
我儘な主演の一言に対し、反論など出来ない助演のアリサが了承したことで、空寒い喜劇の凍えきった観客たちは、自らが供された相手に手をつけるられることもなく、この冷め切った部屋を追い出されてゆくのでした。




