[4.5]【夜祭り・花火大会編】その伍:行動など
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◆キャラが浴衣を着たら、どんなことが起きる?《いろいろアクション編》
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先の【4.4】までを通じ、基本的な『立ち居振る舞い』について紹介してきました。今回は、もっと『具体的なお祭り/花火大会シーンにおける、諸行動』についてです。
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お祭りといえば、やはり「縁日の屋台」ですよね。飲食物、遊戯、素通りするなんて勿体ない。
では、浴衣姿で屋台を楽しむ場合の留意点は何でしょうか。
まず飲食物の場合、先に紹介しました【袖に注意】です。
『かき氷を受け取ろうと手を伸ばしたら、袖がシロップ入れに当たって汚れた』
『焼きそばを食べようとしたら、袖が容器の上を擦ってソースまみれ』
『氷水のケースで冷やされたペットボトルジュースを選び取ろうと腕を伸ばしたら、そのまま袖まで水に浸った』
……現実では、誰もが一度は通る道です。ほら、思い当たりませんか?
ここで袖を汚さない仕草ができると、スマートですね。思わずそのキャラを見直したくなります。
基本は「伸ばす手の袖をなるだけ押さえる」ことと、「腕はゆっくりと動かす」ことです。大きく急ぐ動作になれば、その勢いもあって袖のヒラヒラも大きく速く動きます。その分、威力も増しますので、いろいろとダメージも大きくなります。両手を同時に動かすことは避けて、おっとりゆったりとした動きで飲食しましょう。
男女問わず、さりげなく袖を押さえて物を受け取る仕草に、物慣れた落ち着きや育ちの良さを感じ取って見直したりするかも知れません。
「物の受け取り」において難儀するのは【既に手に何かを持っている場合】です。
女性だと、巾着や籠バッグに財布やスマホ、化粧ポーチなどを入れているでしょうから、手ぶらというわけにはいかないですね。ですが、洋装の時のように「肘に引っかけて持つ」が困難なので、荷物をもてあまします。
荷物バッグをスマートに持ちたい場合、おすすめなのは【斜め掛けで使うショルダーバッグ】です。リュックタイプだと帯にあたりますし、見た目もイマイチです。紐が長い巾着程度なら、袖を押さえる方の手に持ったままでもなんとかなりますが、しっかりした持ち手のバッグだと格好が悪いですし邪魔ですね。
さあ、こんな時こそ「荷物持ち」の出番です。揶揄する訳ではなく、連れの誰かが屋台から物を受け取る人の荷物を持ってあげましょう。友人・知人グループで行動している時ならば、その気遣いは大きなプラスです。もちろん、手ぶらの男性陣が屋台から物を受け取るのが、一番スマートですけれどね。
袖を気にして受け取りに戸惑うシーンで、スッと横から代わりに受け取ってくれる気遣いに、心ときめいたりしますね。
それが手荷物であっても、屋台から受け取る飲食物であったとしても。
相手キャラの『それ、持つよ』の一言は、キャラを気遣う心意気にあふれています。
続いて遊戯の場合です。
縁日の遊戯といえば、金魚すくいやスーパーボールなどの縁日掬いモノ、ヨーヨー釣りなどが定番です。恋人たちが二人並んでヨーヨー釣り……『爆発しろ!』とやっかみたくもなりますね。
射的などを除くと、縁日遊戯の多くは【しゃがんだ姿勢】をとるものが多くあります。よって、しゃがむ動作を綺麗に行いましょう。『手を膝裏に入れて、裾を押さえながら腰を落とす』動作です。
そのまま腰を落とすと、裾が地面に触れて汚れる原因になります。『無造作にしゃがんだ拍子に、誰かに裾を踏まれる』のも、ある意味お約束。これは、男性に多い失敗談です。女性はロングスカートの経験があれば気をつけますが、男性はまず気を配った経験がありませんので、やってしまいがち。
自分の浴衣が汚れるだけならまだしも、他人の浴衣の裾を踏んでしまってトラブルに……なんてことも起きやすいです。ワルに絡まれるシーンの切っ掛けに如何でしょうか。
そして金魚すくいやヨーヨー釣りでは「しゃがんで下を向く」体勢です。このポーズ……ドキッとする光景があります。
相手が女性の場合、なんと言っても【うなじから背中に向けてのライン】が見えることです。先述の通り、女性は【衣紋を抜く】といって、衿とうなじの間に拳一つ分くらいの隙間を作って着付けます。頭を真っ直ぐ立てていてそれですから、下を向いて項垂れると、場合によっては背中の一部がのぞき込めてしまいます。肩甲骨が始まるあたり部分までは、チラ見えできるかも知れませんね。
身長差があれば無理をしなくても自然と視界に入ってしまう、うなじのライン。不思議と艶めいて見えます。意中の相手でなくとも目が離せなくなるかも知れませんね。
また掬いモノをするにあたって腕を伸ばしていると、背中側から見ているキャラには『身八ツ口からのチラ見え』チャンスがあります。同様に「振り」から除く二の腕なんかも見えるかもですね。十代の青少年だと、それだけで興奮するかも。
相手が男性の場合、前の衿合わせから懐が見えることがあります。カシュクールの上着を着たことがある方はおわかりでしょうが、前屈みになるとどうしても衿あわせは“開き”やすくなります。男性の着付けでは帯など合わせ目を止める部分が腰下あたりと、かなり下方です。その分「開き」も大きくなりがちです。
つまり、場合によっては胸元の生肌が見えるのです。身長差にもよりますが女性の方が小さい場合だと、ちょうど自分の視線の先に鎖骨や胸元がくることでしょう。ほら、そこから生肌が見えるのですよ……ドキドキが止まりませんね。
とはいえ「右前」の着付けですので【相手が自分の左側】にいる場合は自然と見えます。逆からだと残念ながら見えませんので、「掬いモノの遊戯」をする時には、相手の右に陣取りましょう。
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さて、作中でのイベントはドキドキロマンスばかりではありません。
当然「ちょっと物騒なシーン」だってあるでしょう。縁日やお祭りでは、血気盛んな輩に絡まれてしまう可能性もあります。そんな時はどうしましょうか。
まずは、逃げましょう。
暴力アクションシーンでないなら【逃げるが一番】です。
ですが「浴衣姿+下駄履き」では、思ったように走れません。ここに注意すると、そのシーンにリアリティが出ます。
男女問わず「いつもと同じスピードで走れる」とは絶対に思わないことです。
先述の「足捌き」の説明でも触れましたが、浴衣をはじめとする和装は「ぴったり張り付いた巻きスカート」です。足の長さ以上の歩幅で足を踏み出そうとすると、膝に前身頃の布がひっかかってしまい『つんのめって転ぶ』に向かって一直線です。
和装では「不意の動作」へのリアクションが困難になりがちです。大きく足を踏み出した最初の一歩目ほど、そうなってしまいます。そうして相手に追いつかれてしまうのも、リアリティですね。
さらに下駄履きです。都会暮らしで早足歩きが得意だったとしても、下駄履きでの“セカセカ歩き”は慣れない人には困難です。旅館のスリッパ履きで全力疾走するイメージを持つと、困難さがわかりやすいでしょう。
そのうち『下駄の前緒(鼻緒)に引っかかる感じで、前のめりになってしまい、つんのめる』のが関の山です。あえなく逃亡失敗です。
では、本気で相手から逃げ切るつもりならばどうするか。
まずは下駄を脱ぎましょう。裸足でGO!です。
特に浜辺での花火大会など、足下が砂地だと駒下駄は「砂に埋まってしまう」ため、歩きにくいことこの上ないです。早歩きなんて出来ません。その点、ビーチサンダル履きは助かります。
よほどの砂利道とかで無い限り、土の舗装道や石畳、アスファルト敷きの道ならば、裸足で走った方がよほど安全です。ついでに下駄を相手に投げつけたりすると、武器になります。
そして次にするのは『わざと大股開きになって、腰を半分落とす』動作を一度やっておくことです。これは【わざと裾を割っておく】ための動作です。お相撲さんの四股を踏む動作の前段階、いわゆる「腰割り」の動作です。腰を落とさずとも、肩幅以上に大股開きになるだけでも十分です。
これによって、大きく走るような足運びになっても身頃が膝にひっかからなくなります。当然裾は乱れますし着崩れますが、逃げる時にそんなこと気にしていられません。
多少時間の余裕があるならば、上前(左側の前身頃)の裾を持って、帯に挟み込んでおきましょう。半分だけの「尻っぱしょり」です。これならば足が問題なく動き走ることができます。
やむを得ず、もしくは意図的に「暴力行為」になった場合はどうでしょうか。
繰り返しになりますが、和装は巻きスカートです。足使いはかなり制限されます。
【蹴り技】は使えない、と思っておいた方が良いです。例外は、尻っぱしょりにしている場合ですが、裾が降りた状態では「ハイキック」や「ヤクザキック」は当然のことながら、「ローキック」すら困難です。足を蹴り出した瞬間に、浴衣の身頃に邪魔されてバランスを崩し転ぶのがオチです。これはこれで『情けない、格好悪いシーン』として使えますね。
となると主な攻撃手段は【打撃】です。
和装での「パンチ」は、袖布の揺れが綺麗で動画の絵面としては眼福モノです。時代劇などの殺陣シーンでは刀や棒術がメインですが、同じような風情になりますので描写の参考になさると良いかと思います。
注意すべき点としては、男性の場合は「袖付け」の問題がありますので【肩が伸びない】ことが多いです。袖の縫い綴じに動きが邪魔されて、思ったより威力がでないことがあるそうです。
「ヒラヒラする袖」は、場合によっては「防御」にも使えます。相手のパンチを袖で受けて相手の手を封じるなんてことも、ケンカに慣れたキャラなら出来るかもですね。ただ、「腕をとって脇に挟む」のは、袖付けが邪魔になって(脇が開かないため)難しい場合があります。
また「ヒラヒラする袖」は弱点になることもあります。動いている腕をとるのは容易ではありませんが、布をつかむのはまだ楽です。男性の和装の場合は、袖を引かれると身体ごと引っ張られますので、容易に体勢を崩すことができます。
動きやすさや弱点軽減を考えると、ケンカに臨む前には「袖まくり」をしておきましょう。
あまり無いとは思いますが、女性が反撃する場合。
【蹴り】がなくて【打撃】中心なのは同じです。女性の場合は、袖付けが独立しているので比較的パンチを出しやすいです。とはいえ、無理は禁物。
個人的に女性キャラにおすすめの反撃方法は【下駄を脱いで、手に持ち、殴りかかる】です。
武器はあった方がいいですよ。二枚歯の駒下駄だとさらに良いですね。そして相手がひるんだ隙に、全速力で走って逃げましょう。
「夜祭り・花火大会編」は、もう一話続きます。
既にそんな内容が増えている気がしますが、次回はR18/R15シーンを踏まえた、異性との接触などを含む内容があります。
R15タグはありませんが、自己責任で閲覧下さい。




