表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【キャラに着物を着せませんか?】初心者用、和装描写のススメ  作者: 片平 久(執筆停滞中)
❀[こんな時は?]シチュエーション別の、キャラ和装のお話し❀
15/20

[4.4]【夜祭り・花火大会編】その肆:動作など

■2017.04.17_12:15 画像追加■

足の動きに関する写真を追加しました。



-----

◆キャラが浴衣を着たら、どんなことが起きる?《動き編》

-----


 さて、着替えも終わったらお出かけです。

 今回は主に「動き」のお話です。


 浴衣姿で歩くとなると、一番戸惑うのは『足捌(あしさば)き』です。

 巻きスカートに慣れているならともかく、女性も男性も「太股やふくらはぎにまとわりつく布」を捌きながら、スマートに足を動かすのは楽ではありません。

 和装姿での歩き方の基本は「歩幅は足の長さの半分くらい」が目安です。大きく歩く場合でも、足の長さを越えない程度。急ぐ場合は『足を早く前後に出す』早歩きスタイルです。

 それ以上の幅で足を出そうとすると、巻き付いた浴衣の身頃が邪魔になります。パンツスタイルやフレアスカートの感覚で歩幅を大きくすると、すぐ着崩れます。浴衣は綿素材が多いので布同士の摩擦抵抗が大きく、擦れ合わさるとそれぞれが引っ張られて乱れるのです。

 特に下半身部分、裾の前合わせが開いて足が見えそうになる状態を【(すそ)が割れる】といい、みっともないこととされます。

 浴衣は襦袢がないので、裾が割れると生足が見えます。これはこれで「萌え」ポイントではありますが、和装のマナーとしてはNG。足首が見える程度は許容範囲ですが、ふくらはぎが見えるのは好ましくないですね。何より、着崩れる要因です。


挿絵(By みてみん)



 男女問わず、内股気味に膝の内側をこすり合わせるように足を出すと、長着の前合わせが開かず着崩れません。急ぐ時には、「(つま)」という左側の帯の下あたりに来る前身頃の合わせ目(ヒラヒラ部分)を、右手で軽くつまんで押さえながら歩きます。

 よって「キャラに何かを持たせる時には、左手に持たせる」と都合がよいです。男性はできれば手ぶらで、財布などは懐か袖の中((たもと))にしまいましょう。女性の巾着や籠バッグは左手に持って、右手は着物の裾が割れないようサッと押さえられるように、常にあけておきましょう。袖があるので「鞄の持ち手を腕にかける」のは難しく、無理にやると折角の浴衣姿が冴えません。後述しますが、和装姿では「着ているものを押さえる」シーンが多いので、片手は常にフリーにしておく方が、スマートで上品な仕草を矛盾無く表現できます。



 和装の足捌きは、意外と男性の方が困惑するケースがあります。

 女性は何のかんのでスカートの経験がありますが、男性は「足が分かれていないボトムズ」を着る機会がほとんどありませんので、ます『股下のスースーした感じ』に戸惑うようです。

 そして前述の通り、大きく足を動かすと布に邪魔される感覚に困惑します。女性以上に【とっさに足を踏み出した拍子に『おっとっと』と前につんのめる(・・・・・)】のは男性が多いです。膝に身頃の布がひっかかってしまうからですね。シーツなどを寸胴スタイルに巻いてみると良く分かるかと思います。

 和装は「右前」ですので『左足を大きく踏み出した時』と『右足を大きく踏み出した時』では、足まわりの状態が異なります。

 左足を踏み出したときには、重なった前身頃が両方とも押し出されて「下前」(内側の身頃である右手側の布)が足が見えるのを防いでくれます。とはいえ、大股になると左足のふくらはぎがチラ見えします。セクシーです。構造的に膝小僧や向こう脛は見えません。

 右足を踏み出したときには、「上前」(上にくる身頃である左手側の布)が足の間に落ちる形となって、両足それぞれが布で隠されます。滅多なことでは足は見えません。ですが、この形は「着崩れる」主要因です。和装での歩き始めは「左足から」とされるのは、この着崩れ防止の為です。

 男性キャラなどが大股歩きになると、場合によっては『左足のふくらはぎ』が裾から見えます。『右足のふくらはぎ』が見えるのは、かなり大股で歩くケースです。



挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


 急ぎ足になればある程度は仕方のないことで、ほどほどに「チラ見えの魅力」として活用できます。女性も同じですが、あまり好ましくないですね。“エロさ”より“はしたなさ”の印象の方が強いかと思います。見せるのはせいぜい「足首」までにしておきましょう。



* * *



 続いて、腕の動きです。

 腕を動かす度に『袖がヒラヒラと揺れる』ので、動きが出ます。これを意識した動きをさせたり、思わぬ袖の動きにトラブルが起きたり。腕の動作に伴うシーンは大活躍です。


 浴衣を含め、袖の長さは身長とのバランスや好みで多少変化しますが、基本形は一尺三寸、約50cmです。真横に腕を伸ばすと、帯の下線あたりまで来ます。手を下ろした状態だとお尻のあたりまで届きます。

 当然、腕を動かすと何かに当たったりもしやすくなりますので、汚れたり、何かに引っかかったり、とイベントは盛りだくさんです。

 実際によくあるシーンが、何かをとろうとして腕を伸ばした際に、袖がテーブルの上のものに当たるという状況です。食事の席だと料理にあたって汚れますし、コップを倒して水をこぼしたり、ペンを落としたり。和装になれない内は頻繁に起きるミスです。自然に作中シーンにも盛り込めるでしょう。

 これを避けるために、手を伸ばす場合は必ずもう片方の手で袖を押さえるのが、和装での仕草です。袖が垂れ下がるのを押さえるように、脇に向かってそっと押さえましょう。男女問わず何気なく行うのがスマートな仕草ですね。


 大きく腕を動かす、頻繁に動く場合は【たすき掛け】の出番です。

 「腰紐(こしひも)」として用いた紐や、それと同等程度の紐で、袖を押さえてしまいます。実際のたすき掛けの動作を作中で描く必要はないかと思いますが、慣れた人なら「サササッ」と大体三動作くらいで巻いてしまいます。よくある手順で描写すると、こんな感じでしょうか。

 1)紐の片方の(はし)を口にくわえて、どちらかの手の袖の真ん中あたりを持ち上げるように前から後ろに紐を回す

→2)そのまま後ろに回した紐を、逆側の手の肩から前に下ろしてくる

→3)同じようにもう片方の袖の真ん中を持ち上げるように前から後ろに回して、反対側の肩から前に紐を下ろしてくる

→4)口にくわえた紐の端を外して、鎖骨のあたりで蝶々結びにする


 浴衣だとあまり帯を気にしなくてよいので、たすき掛けは楽です。

 和装で外出する場合、予備の紐を一つ荷物として持っておくと、何かと便利ですよ。



 和装だと気軽にできないのが『手を肩より上にあげる』動作です。

 これは男女でちょっと感覚が異なります。


 女性の場合、袖の構造がよい仕事をしてくれます。腕が動かしやすいのは女性の方だったりします。女性の袖は、邪魔になる場合「くるくる、と腕に巻き付けてしまう」という必殺技(?)が使えます。トイレなど、人目を気にしなくてよい時などには便利です。なお、男性の袖は「腕に巻き付け」ができる構造になっていません。

 また前に大きく手を出すと、「振り」から二の腕がのぞいたり「身八つ口」が開いて脇の肌着がチラ見えします。つい、手を突っ込みたくなりますね(?)


 袖部分はある程度独立していますので、腕を上げた場合は袖のヒラヒラが全部ずり下がってきます。袖口のゴムもボタンもありませんので、そのまま肘のあたりまでズルズルっと。この状態は和装では「はしたない」とされますし、何より袖の布が全部しわになって脇に落ちてきますので邪魔になります。

 加えて、肩の上部(肩山)は繋がっていますので、腕を上げると襟周りが乱れます。女性は【衣紋(えもん)()く】といって、後ろ襟は首に沿わせず斜めにずらして隙間を作りますので、これが乱れて見栄えが悪くなります。

 女性キャラが高いところに手を伸ばす場合、もう片方の手で袖を押さえる仕草を入れると上品に映ります。一番良いのは「伸ばした手の袖口を、もう片方の手でつまみ押さえる」仕草です。両手を一緒にあげるのは避けましょう。


 男性の場合、袖の構造が大きく女性と異なるので注意が必要です。

 男性の袖は【身頃(身体側の布)と袖が縫い綴じられて、ひっついている】形です。実際に腕が通る部分だけ貫通していますが、ヒラヒラ部分は縫われて袋状にひっついている状態です。

 よって、実際に『ヒラヒラと揺れる』部分は、袖の手首側の下部分だけです。脇側の布ははためくだけです。

 この構造であるため、「手を伸ばす・上にあげる」場合、『常に袖が引っ張られる』状態です。女性と同じように「上にあげる」と肘の上から肩までズルッとずり下がります。身体側が縫い綴じられているので、必ず引っ張られます。斜め45度くらいでも肘を越えてずり上がるでしょう。前腕はもとより二の腕すら露出します。

 かといって、女性のように「袖口を押さえる」と、今度は腕が上がりません。もしくは、縫い綴じられている前身頃が引っ張られて襟元が開き、着崩れます。

 男性が腕を大きく動かす時には、素直に生腕を露出させましょう。それが和装のセクシーさです。いっそのこと、最初からたすき掛け姿や腕まくり状態でもいいですよ。

 誰かを見つけて手を上げて呼んだり、縁日で射的やボールゲームをしたり。

 意外と腕を上げて動かすシーンはあります。不意に腕まくりされて、今まで見えていなかった腕の生肌が見えると、最初からノースリーブや半袖で見えているより『ドキッ』とするかも知れませんね。


* * *


 座る場合はどうでしょうか。


 野外のお出かけですので、地面に直接腰を下ろすなら「体育座り」です。 座る際には、男女問わず「膝裏と膝頭を両手で押さえて腰を下ろす」形にしないと、裾が乱れて大変です。また座った後も向こう脛あたりを押さえるようにして、裾が乱れないように注意しましょう。

 敷物があるなら、女性はそのまま「横座り」がいいでしょう。和装の場合、左側に足を伸ばす向きの方が裾が乱れません。男性は「あぐら」でもいいですが、下着が見える覚悟でどうぞ。丸見えです。なので、和装だと男性も「横座り」することが増えます。もしくは片膝立ちでしょうか。

 和装で野外にいる場合、座る場合は「段差がある場所」が楽です。敷物がない状態で、平らな場所に座るのは、ポーズもいまいち締まりません。(体育座りですからね)

 階段や堤防など、腰高より低い段差に「腰を下ろして」腰掛けましょう。腰より高い位置に「よじ登って腰掛ける」のは、男女問わず和装では厳しいものがあります。足が開きにくいので、登れたとしても座ったときの裾周り(下半身部分)が乱れて格好がつきません。カップルなどで力強い連れがいるなら「腰を持って抱き上げるように」高い位置に座らせることができるかも知れませんが、自分で登るのはやめておきましょう。

 男女問わず、腰掛けて座った場合「足を組む」のはNGです。そもそも浴衣の裾が絡んで足が組みにくいですし、無理にやると裾が割れて着崩れます。男性もあまり足は開かず、せいぜい握り拳が入るくらいにしておきましょう。実際に着て座ると、自然と姿勢はよくなるものです。

 単に「しゃがみ込む」場合、膝は開かないのが大原則です。特に男性は、普段は股を開いてしゃがむポーズが多いと思いますが、和装では前身頃が引っかかりますし、何より裾が開いて下着が丸見えになります。ヤンキー座りは、やるのも大変ですし単に格好悪いだけです。

 ヤンキー座りにさせたいならば、最初から【尻っぱしょり】といって上前と下前を持ち上げて帯に挟み込んでしまう格好をさせましょう。時代物で職人さんなどがやっている格好ですね。この場合、下に股引などを履いていることが前提なので、履いていないなら「下着、丸見え」になることはお忘れ無く。


 なお、この「尻っぱしょり」ですが、男女問わず【トイレのシーン】で用いる格好だったりします。洋式・和式を問わず、トイレの個室に入って用をたす場合、最初にこの尻ぱっしょりをして裾が床や便器につかないようにしておきましょう。

 現実的には避けて通れない「トイレのシーン」。要領さえわかっていれば、それほど大変ではありません。用をたした後は、再び身頃を下ろして上前と下前の重なりを整えればOKです。

 なお、和装において帯や腰紐の位置は「腰骨のあたり」です。つまり、ここより上は紐で固定されています。トイレのことを考えると、下着や下履きのステテコは「ローライズ」が楽です。普段トランクス派の男性も、和装の時はローライズブリーフにするとトイレで困りませんよ。




動きなどの紹介は、もうちょっとだけ続く予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ