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愛妻語録  作者: keikato
91/724

91 虫の声

 寝ろうとしたら窓辺で虫の鳴き声がしていた。

 網戸にでもとまっているらしく、名前までわからないが、リーンリーンとなんとも涼しげな声で鳴く。

 なんだか、すごく得をした気分になった。

「おーい、ちょっと来てみろ」

 妻にも聞かせようと呼び寄せる。

「ほら、虫の声がするやろ」

「そんなことで、いちいち呼ばんでくれん」

「なんか得した気分にならんか?」


 妻いわく。

「ぜんぜん。あんたのうちを呼ぶ声を聞くと、なんかすごく損した気分になるんやけど」


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